10月の向日葵

実砂菜

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不登校疑惑

3

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アポイントを取ろうとしたが保護者に電話が繋がらず、結局伶は、帰り道に大樹の自宅アパー トに立ち寄っていた。
アパートを訪れるのは2回目。といっても、前回は前を通過しただけだ。
というのも伶の所属する小学校では、4月早々に担任教師が、受け持つ児童それぞれの家を把握するため前を通っていくというイベントがある。
伶が子どもの頃には、一人一人担任が家に上がっての家庭訪問があったものだが、やはり共働きやひとり親家庭が増えたからだろうか、近年ではそういった学校も多いようだ。

アパートの前。車を停め、見上げる。
2階建ての、どこにでもあるような…いってしまえば安アパートだ。恐らく間取りもあまりないと思われる。
学校で確認してきた、大樹の家庭調書を思い出す。確か、ひとり親家庭なのに子沢山だった。40代後半の母親に、子どもは大樹を含めて5人。
年長の2人が双子の姉妹で、確かもう20代。既に家を出ている。
その他、保育園に通う、弟と妹が1人ずつ。
子どもの父親は全員同じなのか?つい、下世話な想像をしてしまう。
母親は確か、近くの定食屋にパート勤務をしていたはずだ。定時は確か17時だったから、現在時刻、18時は多分帰宅していると思われるが…。

玄関ドアに近付くと、幼い子たちがはしゃぐ声が聞こえてきた。保育園児の弟と妹だろうか。最近人気のアニメキャラクターの名前を叫んでいる。
ほっこりして、少しだけ、緊張が解れた。
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