平和の為のリベリオン

某勇者

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1.始まり

1-3 協力戦

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第16砦の側で待機し始めて10分。
まもなく、第16砦の攻略が始まる。
ただ、明らかな違和感があった。
レス「ずっと声が聞こえない…逃げたのかな?」
最後の砦なら敵がうじゃうじゃいそうなものだけど、一切の音沙汰がない。
…何か企んでるのかもしれない。
姿形を噂の姿にして、準備万端。
時間になって、僕は勢いよく飛び出す。
そして辺りを見回したけど、魔物はいなかった。
間違いなく何かがある。
そう思って捜索したけど、一体もない。
それどころか荷物もない。
隠れてる気配もない。
完全にもぬけの殻だった。
もしかして、通信が筒抜けだった?
いや、それなら第9拠点の時点でできたはず。
とすると、僕が来たから?
有り得なくはない話だった。
なら、この後はどうすれば……
と僕が考えていた、その時だった。
突如として、目の前に巨大な魔物が現れた。
レス「!?」
???「貴様か、第9砦を破壊したのは。我が名はデストロイヤー、破壊神のデストロイヤーだ。」
どうしていきなり現れた?
多分だけどテレポート?
レス「……」
デストロイヤー「ほう、沈黙か。貴様はどうしてそのような力を手に入れた?貴様はどこで生まれ、どこで育ってきた?私は貴様に興味があるのだ。」
レス「………」
デストロイヤー「なお沈黙を選ぶか…いいだろう、破壊するだけの簡単なことだ。貴様の正体を知れないのは心苦しいが、沈黙を選ぶなら仕方あるまい。今から…その鋼鉄の体、破壊してやろう。魔物軍幹部の力を知るがいい!」
そう言うとデストロイヤーは手に持っている棘棍棒を振り上げ、僕に向かって振り下ろした!
僕は咄嗟に盾を生成してガードしたが、それでもダメージを食らった。
名前と肩書きからして嫌な予感はしていたけど、僕とデストロイヤーの相性は致命的に悪い。
油断すれば砕かれかねないほどの馬鹿力だった。
なんとか防げたけど、まともに食らったらまずい。
デストロイヤーはもう一度振り上げてきた。
その隙に素早くデストロイヤーの背後に回り込み、背中を複数回切りつけた。
デストロイヤー「ちょこまかと逃げる奴だな。だが、それも無意味だ。貴様の攻撃は少ししか効いていないが、こちらは一撃、重い攻撃を当てればそれで勝ちだからな。」
デストロイヤーは相変わらず大振りの一撃を狙う。
僕もその隙をついて何度もダメージを与える。
多分この体の大きさからして体力も多いから、本当に少ししか効いてないとは思う。
でも関係ない。
ずっとダメージを与えていれば、いつかは倒せる。
そうしてチクチクと攻撃を繰り返して、多分1分は経過した。
デストロイヤー「くそっ、鬱陶しい!チクチクと攻撃を続けおって…ならば、これで終わりだ!」
そういうとデストロイヤーは構えを変える。
この構え…回転切り!
デストロイヤー「食らえ!」
僕は反射的に飛んで、ギリギリ回避できた。
お返しの一撃をお見舞いしようとした僕の目には…
レス「え…?」
眼前に迫り来る棘棍棒が映っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……………うう?
あれ………ぼく…なにを…………
そ…うか……まとも…に、くらって…………
だ…めだ……もういし、きが…………
…ごめん………………………
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しばらく耐えてはいたものの、レスはその場に倒れこんでしまった。
デストロイヤー「ふん、やはり一撃か。メタルの体とて、気絶してしまっては意味がない……ん?」
デストロイヤーがレスに目をやると、レスの体に異変が起きていた。
その体はとても不安定な状態だった。
体全体が水のようになっていて、重みで形が少し崩れている。
その表面はわずかに波打っており、ところどころ溶けかけている。
それでも、元々の人間の姿は残っていた。
デストロイヤー「ほう……非常に、非常に興味深い。こいつは、魔王城に持ち帰るか。そして魔王様に献上すれば、大きな進歩となりうるだろう。」
そうして、デストロイヤーがレスに触れようとしたその時、複数の足音が響き渡った。
アルト「待て!」
デストロイヤー「ちっ、来てしまったか。」
ジャック「あっぶね!?何とか間に合ったか。」
デストロイヤー「今からこいつを連れて帰ろうかと思ったが、まあいい。勇者を全員倒せばいいだけの話だ。」
そういうと、デストロイヤーは大きく距離を取る。
デストロイヤー「せめてもの慈悲だ、作戦タイムを与えてやろう。今のうちに自分が今いる立場を理解し、そして絶望しているがいい。」
すぐさま、勇者一行は冒険者たちに指示を出す。
アルト「僕たちはあの巨大な魔物を倒すから、皆は逃げて、フィーゾ軍を呼んできてくれ。」
冒険者「おい、あそこにいる噂の奴はどうするんだ?」
ジャック「あいつは…とりあえずおいとこう。この面倒事を終わらせてから、ゆっくり話を聞くとするぜ。」
ノーゼ「とりあえず逃げて、早く!」
その言葉を皮切りに、冒険者が一斉に逃げ出した。
…たった1人、ニコを除いて。
ソーマ「あれ、逃げないの?」
ニコ「…この子を、任せてください。」
アルト「……事情は後で聞くとして、今は頼んだよ。今守れるのは、君だけだからね?」
ニコ「はい。」
ジャック「よし、んじゃ行くか!」
勇者一行は武器を構え、距離を詰める。
デストロイヤー「ほう、勇者だけでくるか…いいだろう。我の名はデストロイヤーだ、冥土の土産にくれてやろう。ではこちらからも…行くぞ!」
そう述べたデストロイヤーも距離を詰めていき、そして今…激突する!
デストロイヤー「食らえ!」
デストロイヤーは大振りの攻撃で一撃必殺を狙う。
ノーゼ「無駄よ。」
ジャック「オラオラオラァ!」
その攻撃を勇者一行は華麗に避け、その隙に連撃を叩き込む。
デストロイヤー「チッ、ならこれはどうだ!」
デストロイヤーは先程の攻撃とは打って変わって、素早い一撃を叩き込む!
ジャック「ぐぇっ!」
アルト「ジャック!」
軽めとはいえ、相当な威力。
攻撃をモロに食らったジャックは大きく吹っ飛び、地面を2度跳ねて転がっていく。
慌てて勇者一行はデストロイヤーから距離を取り、ジャックの元へと駆けていく。
アルト「大丈夫か!?」
ジャック「大丈夫じゃねぇ、アイツの攻撃が強すぎる。」
ソーマ「確かに。ジャックが4割強も喰らうなんて、今までに無かったよね?」
ノーゼ「今までの最高被ダメージはジャック基準で2割弱……圧倒的に違うわね。」
ソーマ「ごめん、緊張して防護魔法をかけ忘れてたから…」
ジャック「同じく。さっきの攻撃も避けれたはずだけど、緊張と急に来た衝撃で動けなかったし。」
デストロイヤー「どうした?速さ重視の一撃でこれか?なら、まともに当たれば間違い無く倒せるな。」
ソーマ「とりあえず回復させるね?」
直後、ジャックの傷がみるみる消えていく。
ノーゼ「残存魔力は8割、4発喰らえば終わりね。」
アルト「なら、喰らわなければいい。」
勇者一行は陣形を立て直し、攻撃を再開する。
アルトがデストロイヤーの気を引く。
その隙をジャックが連打で刈り取る。
ソーマは防護と回復でアシストする。
ノーゼは相手にデバフをかけまくる。
焦ってきた相手をアルトが気を引く。
そうやって相手をループに嵌めて、次々とダメージを与えていく。
これが勇者一行の真骨頂。
デストロイヤー「ぐぬぬぬぬ……………これ以上いいようにされてたまるか!こうなったら…」
そういうとデストロイヤーは再び距離を取りつつ、手のひらに魔力を貯めていく。
そして出来上がったのは……
勇者一行を死へと誘う黒炎だった。
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一方で、ニコは必死にレスを起こそうとしていた。
ニコ「起きて!ねぇ、起きて!レス!」
ニコは必死に呼びかけるが、一向に起きる気配はなく、その身体は静かに波打っている。
ニコ「ねぇ!レ…あれ?触れない…?」
ニコはレスを起こすために身体をゆすろうとしたが、その手はレスの身体をすり抜けてしまう。
その感触は、水に手を入れた時と酷似している。
ニコ「触れないなら…どうすればいいの?」
どうすればいいか悩むニコ。
考えても答えが浮かばず、徐々に焦りが出る。
ニコ「せめて生きてるかどうかがわかったら…でもどうやって………こうなったら、えい!」
ニコは半分やけくそになり、レスの身体に手をつっこむ。
その手で感じたのは、微かな温もりと…
弱々しいレスの鼓動だった。
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その頃、フィーゾ軍は冒険者の連絡を受け、全速力で第16砦へと向かっていた。
フィーゾ軍兵隊長「皆のもの!我々はあと少しで勇者一行のもとに辿り着く!目的は勇者一行の援護!それと………」
例の魔物の捕獲・尋問、そして生贄だ!
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……なにも、みえない。
……なにも、きこえない。
……ゆうしゃ……がんばって、ね。


破壊神に敗れて意識を失ったレス。

興味深き者を手に入れる為に戦うデストロイヤー。

人類を救う為に戦う勇者一行。

命の恩人を救う為に試行錯誤するニコ。

街の安全を守る為に向かうフィーゾ軍。

レスを中心として起こる、4つの動き。

それぞれが、何かの為に行動を起こす。

その先には、何があるのだろう?







波乱の展開は、まだ続く。







あとがき
めっちゃ遅くなったごめーん!!
話の構成がなかなか……
とりあえずお待たせしました!
次がもっと遅くなる可能性は…ある。
まあ最近休み入ったので
少しは早くなる…かもしれない。
不安要素しかないけど、次回をお楽しみに!
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