Dual Life

某勇者

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本来なら誰でも焦るであろうこの状況の中で、俺はひどく落ち着いていた。
冷静に考えて、条件を組み立てる。
まるで、ゲームのような条件を。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
勝利条件
・黒幕の無力化
  ・リーアの無力化
敗北条件
・キルの死亡
・リーアの死亡
・黒幕の逃亡
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こんなところだろうか。
勝利条件が厳しいうえに、敗北条件が多い。
…でも、FBの時もそうだ。
自分にできることをやる。
それ以上でもそれ以下でもない。
それに、これ以上憂いている暇はない。
………なぜなら、すでに戦いが始まっているから。
リーア「そこ!」
キル「おらよ!」
リーアの攻撃をはじき、再び距離をとる。
なるべく戦いたくはない。
どうにかして、リーアの目を覚まさないと。
でも、自分からの切り口はない。
リーアを介して、黒幕の目的をつかまないと…
キル「なんでこんなことをするんだ?」
リーア「あなたには関係のないことよ!関係あったとしても、あなたなんかに話したりはしない!」
キル「『あなたなんかに』か…」
リーア「なによ?本当に関係ないでしょ?…まさか、私とあなたの間に接点があるとでもいうの?」
キル「まあな。」
リーア「…あなたのウソには、惑わされないわ。私はあなたと会った覚えはない。会った覚えがあるのはお母さんと、周りの子たちだけよ。」
キル「ま、そうなるか………なら、いい方法があるぜ?」
リーア「何?」
俺は剣を構えて、全力で突進した。
リーア「甘いわ!」
リーアはいとも容易くかわし、反撃をしようとする。
…完全にだった。
キル「甘いのはそっちだろ?」
リーア「えっ!?」
その反撃に、俺はさらに反撃する。
リーア「ッ!………あれ?」
キル「反撃を誘われているのに気づかず、相手の隙に反撃しようとして、返り討ちに合う……反撃したがる癖、まだ治ってないのか。」
リーア「……いったい、どうして………」
キル「そんなの、1つしかないだろ?」
そして、俺は反撃の一手を打つ。
キル「…俺が、お前を知っているからだ。」
リーア「…………そう……なの…?」
流石に効いたのか、リーアがうろたえる。
リーア「会ってないはずなのに、私の癖を知ってる……わからない。」
これで解決するならいいのだが………
リーア「…いや、私と会う以外にも、知る方法があるはず。簡単に信じたらダメ………相手がどういう『スキル』を持っているかを見極めないと…」
まだ、チャームは解けなかった。
多分、リーアだけチャームが深い。
なら、もっと反撃の機会をうかがわないと…
だけど、今のでまあまあ警戒された。
次あたりで決め切らないと、そろそろまずいかもしれない。
でも、この反撃記憶ならいける。
あいつが1番忘れていないようなことは、これ以外に思いつかない。
もう不意打ちは効かなそうだし、実力で!
キル「そこ!」
リーア「っ!」
俺はリーアを知っているが、今のリーアは俺を知らない。
なら、相手の動きを読める俺のほうが有利だ。
キル「おらっ、これでっ、どうだ!」
リーア「ま、まずい……このままじゃ、押し負ける…!」
リーアは相当焦っている。それに、特に強化されたりしてなければ…
リーア「…!しまった!もう魔力が!」
キル「MAXで390秒だったよな?最初から飛ばすからそうなるんだよ。」
リーア「あなたは……一体誰よ!誰なのよ!?」
リーアは普段隠し持っているナイフで瞬時に切りつけようとする。でも、
リーア「っぁ!」
キル「隠し玉も、知られちゃただの一手だ。」
軽くかわされた上に、手に持っていたナイフを弾き飛ばされてしまい、リーアは大きく動揺している。
キル「残存魔力なし、隠し武器もなし。お前が新たな策を考えていなければ、これで…チェックメイトだ。」
リーア「……………………」
リーアは諦めたのか、膝をついた。
キル「リーアの近接戦闘の腕前、かなり良かった。ま、相手が俺だったからな…」
リーア「………ごめんなさい、お母さん。」
俺はリーアの背後に回る。
それで察したのか、リーアが目をつむる。
リーア「私、お母さんの役に立てなかった………」
キル「いや、多少は役に立てただろ?」
リーア「…もういいの、早く殺して。もう……終わらせて!」
キル「そうだな。終わらせようか………この戦いを。」
リーアはこれから殺されると思っているけど、実際は違う。
俺はリーアのチャームを解くために戦っている。
一番のねらい目は、リーアが無抵抗かつ無防備な時。
なんとかこの状況に持ってこれた……でも、これなら解ける!
俺は、ひっそりとリーアに近寄り………











キル「はむっ。」
リーアの右耳の先端をくわえてやった。






リーア「ふえっ!?い、いったい何をしてるの!?」
リーアは慌てた様子で耳を引き抜き、必死に距離をとる。
その光景は、まさに………思い出の通りだった。
キル「……ははははは、あっははははははは!あっはっははははははあ!」
リーア「な…!なな、なに笑ってるのよ!この変態!」
キル「ははは、悪い悪い。でも、思い出さないか?」
リーア「思い出す?こんなこと、一度も………あれ?前にもあったような………どうして?」
ビンゴ!深いチャームでも、流石にこの記憶は消せなかったか。
キル「小さいころ、お前が村のベンチで寝てた時だよ。深い眠りについていたリーアに、俺がいたずらで耳をくわえたら一瞬で起きて、あとは今の通り。んで、あの後リーアにぼこぼこにされてたとこまで、しっかり覚えてるぜ?」
リーア「覚えてる。あなたの言った内容が、そのまま記憶に残ってる。……でもそれだと、私がもともと覚えていた記憶と食い違っちゃう……どっちなの?私がもともといたのは、どっちなの?」
ここまで来た。
あと一手。
あと一手あれば、リーアを取り戻せる。
…でも、その一手がない。
今の俺にできることの中に、彼女を救える選択肢は…
いや、ある……かもしれない。
自分の『スキル』を言い換えれば、魂を操れるということ。
なら、彼女の魂に干渉できれば…!
?「だめよ、リーア!帰ってきて!このままじゃ、彼に操られちゃうよ!?」
黒幕はようやく焦り始めた。
黒幕は言葉を投げかけて、自分のもとへと手繰り寄せようとしている。
黒幕が何もしなければ、できたかもしれない。
でもこの状況じゃ、試せそうにない。
リーアは今迷っている。
俺か、黒幕か、だ。
今自分にできることは一つ。
彼女の思いに賭けることだ。
キル「………お前には、酷な話かもしれないが……」
俺は、リーアに手を差し伸べる。
キル「自分の運命は、自分で決めろ。」
リーア「…私は……」
リーアは迷った。
迷って、迷って、迷い続けて………
俺を選んだ。
?「リーア!!!」
キル「それが、お前の選択か?」
リーア「………うん!」
?「!!そんな、リーア……リーアぁ!」
黒幕は必死に呼びかけるが、リーアの意思は変わらなかった。
キル「なら…俺は、それに答えるまでだ。」
俺は、出来立ての呪文を唱える。
キル「『Soul Purification』」
発動させた直後、突然の痛みに襲われる。
何事かと体力を見てみると、通常ゲージはそのままに、ソウルゲージが2割ほど削られていた。
そうか、これは魂を使った魔法。
コストとはいえ、魂を削られるのはきつい。
……まて、コストとして払った魂は、いったいどうなるんだ?
いやでも、今は効果が先だ。
優しい光のベールがリーアを包み込む。
それは、暖かさすらも感じそうな光だった。
キル「安心して、意識を委ねてくれ。」
リーアは少し不安そうにしながらも、光に意識を委ねた。
これで、準備はできた。
俺は祈る。
その祈りに反応して、光が収束する。
収束する光は、リーアの中へと入っていった。
?「……一体、何を?」
キル「今にわかるよ。」
直後、リーアから光が発せられる。
それは、光がリーアの魂に溶けたことを表す。
リーアの肩を持ち、支えていると…
リーア「んんん…キル?」
?「!?」
キル「おはよ。気分はどうだ?」
リーア「スッキリしたわ。…ごめんなさい。そして、ありがとう。」
キル「どういたしまして。」
?「い、一体何が!?」
黒幕は相当驚いている様子。
他には特に何も…ん?
いつの間にかデバフがついている。
しかもイラストが魂。
キル「リーアからチャームの効果を取り除いた。簡単な話だろ?」
?「と、とと、と、取り除いた!?」
そうして会話している間に、俺はそのデバフを確認する。
『ソウルコスト150』02:27
・魂ゲージ-150
なるほど、魔法のコストに使った魂は時間経過で回復するのか。
?「そんな………私のかわいい子供が……」
リーア「私はあなたの子じゃない!」
?「………」
キル「話してくれ。お前の素性を。」
?「…『Cat Queen』それが、私の名前。」
キル「Cat Queen…それって本名か?」
CQ「いいえ。本名は昔捨てて、もう覚えてないわ。」
キル「捨てた、か。それじゃあ改めて、どうしてこんなことをしたんだ?」
CQ「私はね…………」


CQ「ずっと差別されていたの。」


~Character~
・キル
16歳の人間。
スキル『魂の器』
クールで冷静沈着。
親に捨てられた。
戦う姿に影響され、戦える人になろうとする。
簡単な武器と防具の扱いに慣れた、いわゆるオールラウンダー型である。

・リーア
16歳の猫型獣人。
補足:猫型獣人は人間に猫耳と尻尾が生えた感じ。
人間よりも身体性能が高い。
猫らしく?魚が好きでマタタビの匂いで酔う。
スキル『氷結の力』
クールで冷静沈着。
キルの幼馴染。
魔法の力に憧れ、魔法使いになろうとする。
魔法の扱いに格段に長けている。

・ジェフ
38歳の人間。
スキル『鍛治』
優しくて情に厚い。
キルに対して兄貴のように振る舞う。
『鍛治』の力を得たことをきっかけに鍛冶屋を始める。
扱うのは無理だが、作るなら何でも。

・マーズ
274歳のエルフ。
補足:エルフは長寿で、大体1500~1600年生きると言われているが、実際はわからない。
正しいのなら彼女は人間に例えると17歳半くらい。
スキル『縫い物』
優しい。メチャクチャ優しい。
この村の古参。
『縫い物』のスキルを見て即縫い物に没頭した。
何かしらめでたいことがあると、すぐにプレゼントを送る。本人曰く、「そうしないと気が済まない」とのこと。

・フルブレイカー
通称FB。
34歳の人間。
無慈悲で残酷だが、少しだけ慈悲もある。
過去に342件ほどの犯罪を犯した。
スキル『時間差魔法』
このスキルを利用して逃げたり、反撃したりされ、国の兵士を大量に送り込んでも捕まえられなかったことも30回ほどある。

・スート
19歳の人間。
ロスティア城下町の警備員で、話し相手に親しげに接する。
スキルなし。
スキルこそないものの、彼なりに努力している。

・Cat Queen
28歳の猫型獣人。
本名は昔に捨てて忘れたらしい。
人種差別による復讐心に燃えている。
スキル『猫の女王』
仮名はここから来た。
猫型獣人の力を、限界を超えて引き出せる。
また、同じ猫型獣人に対して魔法の効果が上がる。


~Skill~
・キル『魂の器』Lv.2
 ・スキルを持った敵を倒した時、
  その敵の魂を取り込める。
 ・取り込んだ敵のスキルが使える。
  性能は少し向上している。
  ~現在の獲得スキル一覧~
  ・時間差魔法
   対象にした魔法を
   好きなタイミングで好きな対象に
   発動させることができる。
   魔法ストックは1→3つまで。
 ・魂を1割削り、
  取り込んだ敵を呼び出せる。
  ステータスは従来+Lv依存。
  帰還した際に魂が戻り、
  通常体力が帰還時の体力に応じて
  回復する。
  (例:FBが体力8割で帰還
    →魂ゲージ全快、体力98%)
  呼び出している間は対応スキルの
  効果向上が無くなる。

・リーア『氷結の力』
 ・強力な氷の力を操れる。
 ・固有奥義『 氷爪連撃ひょうそうれんげき
  ・発動中、攻撃力が1.3倍
       魔法攻撃力が1.5倍
       防御力が0.7倍
       魔法防御力が0.8倍
       素早さが1.7倍
  ・爪に鋭い氷がつく。
   攻撃力・魔法攻撃力依存。
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