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某勇者

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雪サイド「降り止まぬ雪と孤児解放前線」

01.√select・S

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俺の名前はハルト。
今は朝食のスティックパンを食いながら観光中。
にしても、複雑だ。
一度通った道から2回曲がれば全く知らない道。
好奇心が疼いて止められない。
んじゃ路地裏も見てみるか。
路地裏の狭いところを通っていく感覚が楽しい。
俺はガッツリ楽しんだ。
それじゃ、次は……
ハルト「ん?」
俺が路地裏を覗き込むと、そこには少女がいた。
髪は茶髪で、12,3歳くらい?
地面に座り込んでいて、何やら元気がなさそう。
もちろん好奇心の塊であった俺は近づいた。
普通に危ない状況かもしれないし。
近づいてわかったけど、前髪の先端が水色だ。
元々は水色髪で、茶色に染めたのか?
待て、水色髪って生まれてくることないよな?
確か染めないと水色髪は無い気が…
いや、常識が変わるんだ、それもあるかも。
後で調べるとして、まずは少女の安否が先だ。
俺は少女に近づき、話しかけた。
ハルト「なぁ、大丈夫か?」
少女「………」
少女はこちらを見ているが、反応がない。
震えてはいないから、寒さが原因じゃないと思う。
ハルト「元気なさそうだけど、何処か具合が悪いのか?それとも怪我をしてるのか?」
少女「……………」
再度話しかけたが、何も喋ろうとはしなかった。
理由がわからない以上、対応のしようがない。
一体どうしたものか…と悩んでいると?
グゥゥゥゥゥゥ……
何処からか腹の虫が鳴った。
周りに人がいないこの状況で、俺じゃないとしたら…目の前にいる少女しかない。
少女「…おなか、すいたの……」
少女はそこでやっと喋った。
ハルト「ああ、腹減ってるのか。ならこれ食うか?」
俺は残り1つのスティックパンを手渡す。
少女は両手でそのスティックパンをつかみ、一口食べた。
少女「…!おいしい…ありがとう。」
ハルト「どういたしまして。」
とりあえず、元気は取り戻したみたいだな。
後はこの子が誰の子なのかだ。
外に誰か何かを探してそうな人がいないか、確認しようとしたが…
ハルト「うわっ!?」
突然右手を握られた。
振り返ると、先ほどスティックパンをあげた少女が、俺の手を握っていた。
ハルト「どうした?」
少女「……お願い…が、あるの。」
ハルト「お願い?俺にできる範囲内なら任せろ!」
少女「…私を養ってくれない?」
ハルト「うーん…まあいいけど、両親は?」
少女「誰かに殺された。」
ハルト「おっふ…急に重たいな。」
少女「だから、お願い。」
少女は俺の目を見ていた。
俺も少女の目を見ていた。
少女の目も水色で、ずっと見ていると、なんだか不思議な気分になってくる。
その気分は、俺が気になっている様々なことを、いつの間にか頭から洗い流してしまう。
その不思議な気分に後押しされて、俺は覚悟を決めた。
ハルト「わかった、うちで養ってやるよ。」
少女「本当?ありがとう。」
ハルト「ただ、1つお願いがある。」
少女「何?」
ハルト「俺はこの辺りにやってきてまだ2日目…いや、時間的にはまだ半日かな?だから、この辺りの事を全然知らないんだ。だから、お前が知っているこの辺についての情報や常識を教えてほしい。」
少女「それならいいよ、教えてあげる。そうだ、名前…私は雪、よろしくね。」
ハルト「俺はハルト、よろしくな。」
俺は、雪を選択selectした。
雪に興味を惹かれ、そのまま選んだこのルート
それに後悔はない。
サードが俺のことをわかっているならがあるだろうから、強気に出ることができる。
この先どうなるかは俺次第。
メチャクチャ緊張するけど、世界は止まらない。
流れ着いた先にあるのは天国なのか、地獄なのか。
俺は新たな好奇心を胸に、このルートを歩む。
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