4 / 4
雪サイド「降り止まぬ雪と孤児解放前線」
03.√mysterious.02
しおりを挟む
俺の名前はハルト。
今は…あれ?
ここって…俺の世界だよな?
俺が元々暮らしていた世界…
なんで俺はここにいるんだ?
俺ってソファーで寝て…あ、今夢の中か。
夢の中でも、戻って来れて嬉しいな。
今自分が夢の中にいるってわかるの、普通じゃないよな?
あまりにも現実離れしてたらわかるだろうけど…
にしても…懐かしいな。
ここのコンビニには、いつもお世話になってたな。
あのガソスタで起きた大爆発、今でも覚えてるし。
……結局、日常が1番いいのかもな。
でも、結論を出すのはまだ早いか。
今俺がいる世界の結末、まだ観てないからな。
どうなるか楽しみだ。
さてと…起こされるまでの間、この懐かしい景色を堪能するとしますか。
雪「ねぇ、起きて。」
ハルト「うーん…あ、終わった…?」
雪「うん。」
俺はソファーから降りた。
雪の髪は…うん、治ってるな。
どこにも水色は見えず、完璧な茶髪だ。
雹三朗「一応念入りに確認しましたので、間違いありません。」
ハルト「ありがとうございます。」
雪「君が言うの…?」
というツッコミは悪いけど無視する。
ハルト「それじゃあ、今回はありがとうございました。えと…代金はいくらですか?」
雪「もう払った。」
ハルト「手際が良くて助かる。」
俺たちはフロストを後にした。
そして、路地裏から大通りに戻ってきた。
雪「寝てたみたいだけど、どんな夢みたの?」
ハルト「俺の故郷の夢だ。夢の中とはいえ、めちゃくちゃ懐かしかった。」
雪「それは良かった…今日はどうする?」
ハルト「そうだな、試しにこの辺をぶらぶら。」
雪「わかった。」
俺と雪はそのまま、いくつかの店を見て回った。
魚屋に肉屋、八百屋等、主に食料類。
服屋も一軒だけ寄った。
まあ、お金問題があるから、観ただけだけど。
同時に周りの地形も把握しておいた。
面白そうな道がいくつもある。
長い階段に複雑な路地裏、ステッカーやペイントだらけの大通りとかもあった。
特に商店街の裏道…あそこはとても楽しそうだ。
とても細い道を通るあの感覚…楽しいんだよな。
そしてあちこちを周り、デザートショップを出て、次の店に向かう時の出来事だった。
雪「…あのドーナツ、食べたかった…」
ハルト「同感だけど、金がな…」
雪「まぁ、知れたからいいよ。次はどこに?」
ハルト「そうだな、次は…」
そこで言葉が止まった。
…殺気を感じたからだ。
建物の屋上から、ものすごい殺気を感じている。
少なくとも殺し屋じゃない。
殺し屋ならここまで殺気を曝け出さないからだ。
狙われている原因は多分、雪に関する何か。
最近やってきたばかりの俺が狙われる理由はない。
面倒ごとに巻き込まれた感もあるけど、今はそんなことを考えている場合じゃない。
どうにかしてここから逃げないといけない。
そのためにも、雪をうまいこと誘導しないと…
と、俺が雪の様子を伺うと…
雪はどこか訝しげな表情をしていた。
もしかして、殺気に気付いてるのか?
これまた理由がわからないが、今は好都合だ。
ハルト「…撒いて家に逃げる。」
雪「わかった。」
即答した雪は俺の手を引っ張って、人混みに入って行く。
人混みから抜けてすぐ、路地裏を通る。
まだ、殺気を感じる。
雪「…どうしよう…」
この辺で撒けそうな場所……
………そうだ、商店街のあそこなら!
ハルト「こっち!」
雪「…!」
雪も気づいたようだ。
そもそも、商店街には屋根がある。
商店街に入れば、相手は主要な出入り口を見張ることでしか、こちらを追跡できない。
だから…途中で見かけた裏道を通る。
この道は人通りがほぼなく、ギリギリ人が1人通れるぐらいの道幅しかない。
だからこそ、知名度は低いはずだ。
俺と雪は商店街に入り、裏道を通った。
大通りに戻ると…殺気が消えていた。
狙い通りに撒けたようだ。
確認次第、俺と雪はそそくさと家に帰った。
鍵をかけ、ソファーに座り、ようやく…
ハルト&雪「ふぅ………」
安堵の息を吐いた。
ハルト「怖かった…死ぬかと思った。」
雪「逃げれて良かったね。」
ハルト「ああ…でも、複雑だな。」
雪「どうして?」
ハルト「前に俺がここにきた経緯を話しただろ?」
雪「うん。」
ハルト「そん時にもちょっと言ってたけど、俺いじめられてたんだわ。」
雪「ああ…それっぽいこと言ってたような…?」
ハルト「1年前にいじめっ子にはめられて、クラスメイトを傷つけてしまって…そのせいで、みんなに嫌われた。家族にも、先生にも。それからいじめられてて…毎日毎日、痛い目にあった。助けを求めても、誰も手を差し伸べてくれない。むしろ、面白がっていじめに加わる人もいた。そんな日々が続いた…それで気づいたんだ。あの頃と似たような、棘のある視線に。」
雪「……」
ハルト「…悪い、嫌な空気になっちまったな。でも、理由はしっかりと」
雪「嘘ね。」
ハルト「…え?」
雪「明らかに目が泳いでたし、表情もあまり暗くない。それに…」
そう言うや否や、雪は俺にナイフの先を向けた。
雪「普通、私の理由を先に聞かない?」
ハルト「………」
雪「あなたは自分から話すことで、私の話を引き出そうとしてたみたいだけど、無駄よ。」
そして雪は、新たに拳銃も構えた。
ラベルには「SAP-α」と書かれてある。
雪「さ、早く答えて。正直に全て白状するか、私に殺されるか。」
………
ハルト「……白状します。」
雪「本当に?」
ハルト「本当に。」
雪「…なら、いいわ。」
そう言うと、雪はナイフと拳銃を下ろした。
ハルト「はぁ…マジでびびった…」
雪「そんなに驚くこと?」
ハルト「正直、今みたいな命の危機は何度も味わったから、慣れてはいるんだけど…まさかここまであっさりと嘘がバレるとは思わなかった。しかも、君にバレるのは1番思わなかった。」
雪「私の髪の毛についてはわかっていたのに?」
ハルト「それ含めても予想外だった。」
雪「へぇ…もう少し自信持ってもいいかも。」
ハルト「かもな。それはそうと、白状する上で注意事項がある。内容が内容だからな。」
雪「何?」
ハルト「一時的に思考停止する可能性が高い。あと、なるべく他人には話さないでほしい。」
雪「…わかった。」
ハルト「それじゃ、聞きたいことを教えてくれ。」
雪「なら…まず、あなたの名前は?」
ハルト「ハルトだ。」
雪「ハルト…苗字はないの?」
ハルト「無い。」
雪「なんで?」
ハルト「本当の名前を忘れたからな。」
雪「そう簡単に忘れることはないと思うけど?」
ハルト「まあ理由はわかるけどな。」
雪「何?」
ハルト「転生ってやつだ。」
雪「…え?」
ハルト「転生…一度死んで、蘇ったわけだ。」
雪「……本気で言ってるの?」
ハルト「俺が嘘を言ってるように見えるか?」
雪「………見え、ない…?」
ハルト「つまりはそういうことだ。」
雪「…頭が痛くなりそう…」
ハルト「なら、聞きたいことだけ聞けばいい。」
雪「そうね…それじゃ続きから。転生と記憶に何の関係があるの?」
ハルト「ざっくり言うと、ちゃんとした転生じゃないからだな。そのせいで、記憶の一部が欠落してるわけだ。で、名前もその1つということ。」
雪「うーん…いまいち理解できた気がしないけど…いいわ。じゃあ次の質問。どこから来たの?」
ハルト「別世界から。」
雪「…わかってても、頭が痛い…」
ハルト「悪いけど我慢してくれ。」
雪「うん…それは、わかってる。」
ハルト「他には何かある?」
雪「それじゃあ…何か、特別な力とかはある?」
ハルト「あるけど使えない。」
雪「どうして?」
ハルト「俺が馬鹿やらかしたから。」
雪「………」
ハルト「そんな失望した目で見ないでくれ。」
雪「…本当に、おバカさんね。」
ハルト「返す言葉もございません、はい。」
雪「今後はどうするつもり?」
ハルト「とりあえず、しばらくはここで暮らすよ。何かしら面白い『発見』をしたいからね。」
雪「そう…」
ハルト「聞きたいことは全部?」
雪「うん。」
ハルト「なら…攻守交代と行くか?」
雪「…わかった。」
ハルト「それじゃ、質問だ。君の名前は?」
雪「…雪。冬咲 雪よ。」
ハルト「いい名前だな…「冬に咲き誇る」って、そうそう思いつかないからな。」
雪「私も、この名前を気に入っているの。」
ハルト「次、出身と育ちは?」
雪「ここで生まれて、ここで育ってきた。」
ハルト「なるほど、そりゃここについてとても詳しいわけだ。」
雪「どういうものが売ってるかも大体ね。」
ハルト「すげぇな…んじゃ次、両親は?」
雪「…殺された。」
ハルト「誰に?」
雪「それは……言えない。」
ハルト「了解、んじゃ深くは詮索しない。」
雪「………いいの?」
ハルト「嫌がってるのに無理やり詮索するなんてことしねぇよ。相手も俺も気分悪くなるからな。」
雪「…ありがと。」
ハルト「どいたしまして。んじゃ次…どうしてあの殺気に気づいた?殺気ダダ漏れだったとはいえ、常人には気づきようがないけど?」
雪「…それは、話す。1番知りたい事でしょ?」
ハルト「察しが良くて助かる。」
雪「ただ、1つだけ忠告…これを聴いたら、もう後戻りは出来ないよ?」
ハルト「ここまで聴いといて後戻りなんか出来ねぇだろ…いいぜ。俺は『発見』を求めてここまでやってきたんだ、最後までとことん付き合ってやる。」
雪「わかった。なら話してあげる。」
雪は息を整え、話し始めた。
雪「私はね、とあるグループの1人なんだ。」
ハルト「そのとあるグループとは?」
雪「『フリーズ』。孤児たちの安全と自由のために戦う人たちのグループなの。」
ハルト「へぇ…コードネームとかあるの?」
雪「うん。私のコードネームは『スノウ』。」
ハルト「スノウ…意外といい名前になってるな。」
雪「フリーズの目的は1つ、エクスクルードを殺して、安全に孤児が暮らせる街にする事。」
ハルト「そのために、普段は何してるんだ?」
雪「1つは、エクスクルードが直接管理している銀行の襲撃。奪ったお金を資金にして、次にどうするか決めるの。」
ハルト「あ、義賊じゃないのか。」
雪「義賊も多少はしてるけど、8~9割は資金に当てて、残りの僅かをあげているの。とにかく資金が必要なのと、あまりあげすぎるとバレるから。」
ハルト「なるほど…そういうことか。」
雪「もう1つは、武具の調達。闇商人から銃や弾丸、アーマーを買って、戦闘に備えるの。」
ハルト「エクスクルードとのか?」
雪「ううん、違う。そこについてはあとで話す。」
ハルト「おけ。」
雪「最後の1つは、エクスクルードの捜索ね。いまだにあいつがどこにいるか、わかってないから。」
ハルト「今のところは順調か?」
雪「この街を中心とした、半径15km以内なのはわかるけど…当てにならないでしょ?」
ハルト「それはそうだな。」
雪「やることとしては、これで全部。」
ハルト「だいぶ忙しそうだな。」
雪「うん。やることが多いし、それに…あいつらが邪魔してくるせいで、集中もできない。」
ハルト「あいつら?」
雪「さっき言ってた、戦闘の相手。」
ハルト「それか。相手はなんだ?」
雪「『ヘルファイア』。私たちを殺すために結成された、フロスト討伐隊ね。」
ハルト「エクスクルードの部下か?」
雪「直属ってわけではないけどね。」
ハルト「なるほど…でもエクスクルードと繋がりがあるってことは、資金もたんまりなんだろ?」
雪「うん。相手の装備は、こちらの装備より1グレードか2グレード高いから、毎回苦戦するの。」
ハルト「そんな不利状況で、よく耐えてきたな。」
雪「なんとか、ね…でも、これ以上は厳しそう。」
ハルト「当たり前のように消耗戦不利だからな。」
雪「だから…お願いがあるの。」
ハルト「任せとけ。」
雪「……まだ、何も言ってないけど…」
ハルト「多分『仲間になって助けて欲しい』的な感じだろ?」
雪「…なら、話は早いね。」
ハルト「ああ。」
雪「とりあえず、仲間たちのところに行こう。」
ハルト「了解、案内は頼んだ。」
ここから、全てが変わる。
普通の生活は、帰ってこない。
それでも、俺は戦う。
………孤児を救うために。
今は…あれ?
ここって…俺の世界だよな?
俺が元々暮らしていた世界…
なんで俺はここにいるんだ?
俺ってソファーで寝て…あ、今夢の中か。
夢の中でも、戻って来れて嬉しいな。
今自分が夢の中にいるってわかるの、普通じゃないよな?
あまりにも現実離れしてたらわかるだろうけど…
にしても…懐かしいな。
ここのコンビニには、いつもお世話になってたな。
あのガソスタで起きた大爆発、今でも覚えてるし。
……結局、日常が1番いいのかもな。
でも、結論を出すのはまだ早いか。
今俺がいる世界の結末、まだ観てないからな。
どうなるか楽しみだ。
さてと…起こされるまでの間、この懐かしい景色を堪能するとしますか。
雪「ねぇ、起きて。」
ハルト「うーん…あ、終わった…?」
雪「うん。」
俺はソファーから降りた。
雪の髪は…うん、治ってるな。
どこにも水色は見えず、完璧な茶髪だ。
雹三朗「一応念入りに確認しましたので、間違いありません。」
ハルト「ありがとうございます。」
雪「君が言うの…?」
というツッコミは悪いけど無視する。
ハルト「それじゃあ、今回はありがとうございました。えと…代金はいくらですか?」
雪「もう払った。」
ハルト「手際が良くて助かる。」
俺たちはフロストを後にした。
そして、路地裏から大通りに戻ってきた。
雪「寝てたみたいだけど、どんな夢みたの?」
ハルト「俺の故郷の夢だ。夢の中とはいえ、めちゃくちゃ懐かしかった。」
雪「それは良かった…今日はどうする?」
ハルト「そうだな、試しにこの辺をぶらぶら。」
雪「わかった。」
俺と雪はそのまま、いくつかの店を見て回った。
魚屋に肉屋、八百屋等、主に食料類。
服屋も一軒だけ寄った。
まあ、お金問題があるから、観ただけだけど。
同時に周りの地形も把握しておいた。
面白そうな道がいくつもある。
長い階段に複雑な路地裏、ステッカーやペイントだらけの大通りとかもあった。
特に商店街の裏道…あそこはとても楽しそうだ。
とても細い道を通るあの感覚…楽しいんだよな。
そしてあちこちを周り、デザートショップを出て、次の店に向かう時の出来事だった。
雪「…あのドーナツ、食べたかった…」
ハルト「同感だけど、金がな…」
雪「まぁ、知れたからいいよ。次はどこに?」
ハルト「そうだな、次は…」
そこで言葉が止まった。
…殺気を感じたからだ。
建物の屋上から、ものすごい殺気を感じている。
少なくとも殺し屋じゃない。
殺し屋ならここまで殺気を曝け出さないからだ。
狙われている原因は多分、雪に関する何か。
最近やってきたばかりの俺が狙われる理由はない。
面倒ごとに巻き込まれた感もあるけど、今はそんなことを考えている場合じゃない。
どうにかしてここから逃げないといけない。
そのためにも、雪をうまいこと誘導しないと…
と、俺が雪の様子を伺うと…
雪はどこか訝しげな表情をしていた。
もしかして、殺気に気付いてるのか?
これまた理由がわからないが、今は好都合だ。
ハルト「…撒いて家に逃げる。」
雪「わかった。」
即答した雪は俺の手を引っ張って、人混みに入って行く。
人混みから抜けてすぐ、路地裏を通る。
まだ、殺気を感じる。
雪「…どうしよう…」
この辺で撒けそうな場所……
………そうだ、商店街のあそこなら!
ハルト「こっち!」
雪「…!」
雪も気づいたようだ。
そもそも、商店街には屋根がある。
商店街に入れば、相手は主要な出入り口を見張ることでしか、こちらを追跡できない。
だから…途中で見かけた裏道を通る。
この道は人通りがほぼなく、ギリギリ人が1人通れるぐらいの道幅しかない。
だからこそ、知名度は低いはずだ。
俺と雪は商店街に入り、裏道を通った。
大通りに戻ると…殺気が消えていた。
狙い通りに撒けたようだ。
確認次第、俺と雪はそそくさと家に帰った。
鍵をかけ、ソファーに座り、ようやく…
ハルト&雪「ふぅ………」
安堵の息を吐いた。
ハルト「怖かった…死ぬかと思った。」
雪「逃げれて良かったね。」
ハルト「ああ…でも、複雑だな。」
雪「どうして?」
ハルト「前に俺がここにきた経緯を話しただろ?」
雪「うん。」
ハルト「そん時にもちょっと言ってたけど、俺いじめられてたんだわ。」
雪「ああ…それっぽいこと言ってたような…?」
ハルト「1年前にいじめっ子にはめられて、クラスメイトを傷つけてしまって…そのせいで、みんなに嫌われた。家族にも、先生にも。それからいじめられてて…毎日毎日、痛い目にあった。助けを求めても、誰も手を差し伸べてくれない。むしろ、面白がっていじめに加わる人もいた。そんな日々が続いた…それで気づいたんだ。あの頃と似たような、棘のある視線に。」
雪「……」
ハルト「…悪い、嫌な空気になっちまったな。でも、理由はしっかりと」
雪「嘘ね。」
ハルト「…え?」
雪「明らかに目が泳いでたし、表情もあまり暗くない。それに…」
そう言うや否や、雪は俺にナイフの先を向けた。
雪「普通、私の理由を先に聞かない?」
ハルト「………」
雪「あなたは自分から話すことで、私の話を引き出そうとしてたみたいだけど、無駄よ。」
そして雪は、新たに拳銃も構えた。
ラベルには「SAP-α」と書かれてある。
雪「さ、早く答えて。正直に全て白状するか、私に殺されるか。」
………
ハルト「……白状します。」
雪「本当に?」
ハルト「本当に。」
雪「…なら、いいわ。」
そう言うと、雪はナイフと拳銃を下ろした。
ハルト「はぁ…マジでびびった…」
雪「そんなに驚くこと?」
ハルト「正直、今みたいな命の危機は何度も味わったから、慣れてはいるんだけど…まさかここまであっさりと嘘がバレるとは思わなかった。しかも、君にバレるのは1番思わなかった。」
雪「私の髪の毛についてはわかっていたのに?」
ハルト「それ含めても予想外だった。」
雪「へぇ…もう少し自信持ってもいいかも。」
ハルト「かもな。それはそうと、白状する上で注意事項がある。内容が内容だからな。」
雪「何?」
ハルト「一時的に思考停止する可能性が高い。あと、なるべく他人には話さないでほしい。」
雪「…わかった。」
ハルト「それじゃ、聞きたいことを教えてくれ。」
雪「なら…まず、あなたの名前は?」
ハルト「ハルトだ。」
雪「ハルト…苗字はないの?」
ハルト「無い。」
雪「なんで?」
ハルト「本当の名前を忘れたからな。」
雪「そう簡単に忘れることはないと思うけど?」
ハルト「まあ理由はわかるけどな。」
雪「何?」
ハルト「転生ってやつだ。」
雪「…え?」
ハルト「転生…一度死んで、蘇ったわけだ。」
雪「……本気で言ってるの?」
ハルト「俺が嘘を言ってるように見えるか?」
雪「………見え、ない…?」
ハルト「つまりはそういうことだ。」
雪「…頭が痛くなりそう…」
ハルト「なら、聞きたいことだけ聞けばいい。」
雪「そうね…それじゃ続きから。転生と記憶に何の関係があるの?」
ハルト「ざっくり言うと、ちゃんとした転生じゃないからだな。そのせいで、記憶の一部が欠落してるわけだ。で、名前もその1つということ。」
雪「うーん…いまいち理解できた気がしないけど…いいわ。じゃあ次の質問。どこから来たの?」
ハルト「別世界から。」
雪「…わかってても、頭が痛い…」
ハルト「悪いけど我慢してくれ。」
雪「うん…それは、わかってる。」
ハルト「他には何かある?」
雪「それじゃあ…何か、特別な力とかはある?」
ハルト「あるけど使えない。」
雪「どうして?」
ハルト「俺が馬鹿やらかしたから。」
雪「………」
ハルト「そんな失望した目で見ないでくれ。」
雪「…本当に、おバカさんね。」
ハルト「返す言葉もございません、はい。」
雪「今後はどうするつもり?」
ハルト「とりあえず、しばらくはここで暮らすよ。何かしら面白い『発見』をしたいからね。」
雪「そう…」
ハルト「聞きたいことは全部?」
雪「うん。」
ハルト「なら…攻守交代と行くか?」
雪「…わかった。」
ハルト「それじゃ、質問だ。君の名前は?」
雪「…雪。冬咲 雪よ。」
ハルト「いい名前だな…「冬に咲き誇る」って、そうそう思いつかないからな。」
雪「私も、この名前を気に入っているの。」
ハルト「次、出身と育ちは?」
雪「ここで生まれて、ここで育ってきた。」
ハルト「なるほど、そりゃここについてとても詳しいわけだ。」
雪「どういうものが売ってるかも大体ね。」
ハルト「すげぇな…んじゃ次、両親は?」
雪「…殺された。」
ハルト「誰に?」
雪「それは……言えない。」
ハルト「了解、んじゃ深くは詮索しない。」
雪「………いいの?」
ハルト「嫌がってるのに無理やり詮索するなんてことしねぇよ。相手も俺も気分悪くなるからな。」
雪「…ありがと。」
ハルト「どいたしまして。んじゃ次…どうしてあの殺気に気づいた?殺気ダダ漏れだったとはいえ、常人には気づきようがないけど?」
雪「…それは、話す。1番知りたい事でしょ?」
ハルト「察しが良くて助かる。」
雪「ただ、1つだけ忠告…これを聴いたら、もう後戻りは出来ないよ?」
ハルト「ここまで聴いといて後戻りなんか出来ねぇだろ…いいぜ。俺は『発見』を求めてここまでやってきたんだ、最後までとことん付き合ってやる。」
雪「わかった。なら話してあげる。」
雪は息を整え、話し始めた。
雪「私はね、とあるグループの1人なんだ。」
ハルト「そのとあるグループとは?」
雪「『フリーズ』。孤児たちの安全と自由のために戦う人たちのグループなの。」
ハルト「へぇ…コードネームとかあるの?」
雪「うん。私のコードネームは『スノウ』。」
ハルト「スノウ…意外といい名前になってるな。」
雪「フリーズの目的は1つ、エクスクルードを殺して、安全に孤児が暮らせる街にする事。」
ハルト「そのために、普段は何してるんだ?」
雪「1つは、エクスクルードが直接管理している銀行の襲撃。奪ったお金を資金にして、次にどうするか決めるの。」
ハルト「あ、義賊じゃないのか。」
雪「義賊も多少はしてるけど、8~9割は資金に当てて、残りの僅かをあげているの。とにかく資金が必要なのと、あまりあげすぎるとバレるから。」
ハルト「なるほど…そういうことか。」
雪「もう1つは、武具の調達。闇商人から銃や弾丸、アーマーを買って、戦闘に備えるの。」
ハルト「エクスクルードとのか?」
雪「ううん、違う。そこについてはあとで話す。」
ハルト「おけ。」
雪「最後の1つは、エクスクルードの捜索ね。いまだにあいつがどこにいるか、わかってないから。」
ハルト「今のところは順調か?」
雪「この街を中心とした、半径15km以内なのはわかるけど…当てにならないでしょ?」
ハルト「それはそうだな。」
雪「やることとしては、これで全部。」
ハルト「だいぶ忙しそうだな。」
雪「うん。やることが多いし、それに…あいつらが邪魔してくるせいで、集中もできない。」
ハルト「あいつら?」
雪「さっき言ってた、戦闘の相手。」
ハルト「それか。相手はなんだ?」
雪「『ヘルファイア』。私たちを殺すために結成された、フロスト討伐隊ね。」
ハルト「エクスクルードの部下か?」
雪「直属ってわけではないけどね。」
ハルト「なるほど…でもエクスクルードと繋がりがあるってことは、資金もたんまりなんだろ?」
雪「うん。相手の装備は、こちらの装備より1グレードか2グレード高いから、毎回苦戦するの。」
ハルト「そんな不利状況で、よく耐えてきたな。」
雪「なんとか、ね…でも、これ以上は厳しそう。」
ハルト「当たり前のように消耗戦不利だからな。」
雪「だから…お願いがあるの。」
ハルト「任せとけ。」
雪「……まだ、何も言ってないけど…」
ハルト「多分『仲間になって助けて欲しい』的な感じだろ?」
雪「…なら、話は早いね。」
ハルト「ああ。」
雪「とりあえず、仲間たちのところに行こう。」
ハルト「了解、案内は頼んだ。」
ここから、全てが変わる。
普通の生活は、帰ってこない。
それでも、俺は戦う。
………孤児を救うために。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる