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第1章
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しおりを挟むはぁ……
もう、何度目か分からない溜息をつく。
宿に戻ってからというもの今日あったこと、明日起こることを考えると気が滅入るばかりだった。
「もう。そんなに溜息ばっかついてると幸せが逃げちゃうわよ!明日は、1人の女性を巡っての決闘なんだから気合い入れなきゃ!」
“それが、憂鬱だから溜息が出るんでしょ。まったく、君が承諾しなければ決闘なんてしなくてよかったのに。”
決闘はこちらが承諾しなければ成立しない。
それを思い出し、私は何か理由をつけて拒否するつもりだったのだが…
『ああ、望むところだ。受けて立つ。返り討ちにしてやるぞ!覚悟していろ!』
などと、エルザは私の口で言い放ったのだった。
それも随分と楽しそうに。
そして、明日の正午に街の外で行う事となった。
「何言ってるの!決闘を受けないなんて男の恥よ!それに、あいつリュカのことバカにしたじゃない?イラッときちゃって。明日、絶対勝たなきゃだめよ!」
“陰気とかのこと?でも、まったくその通りだし。別に気にしてないから”
私の今の姿は、陰気そのものだった。
幼少期あれほど付いていた体の肉は今や跡形もない。
食糧に限りがある旅では極力2人に食糧をまわしていたので、自分はあまり食べていなかった。
そのため、旅の過酷さも相まってみるみる痩せていき、そのことに2人が気付いた時には怒られてしまったのだが。
まあ、そんなこんなで、私は今は細身と言える体型であり、口元をマフラーで隠しフードを深くかぶり長いローブを羽織っているので暗い男と言われても仕方ないだろう。
「そんなことないわ。リュカは陰気なんかじゃないわ。ちょっと見ただけじゃ分からないような魅力があるんだから。まあ、ちょっと痩せ過ぎな気もするけど……」
「そうだぞ!男はどっしりしてるってもんだ!」
「あ、お父さんおかえりなさい。」
そう言いながら、部屋に入ってきたのはガブリエルだった。
彼は護衛や魔獣討伐の依頼を受けていて、私達とは別行動だった。
旅には色々と資金が必要で、時々街に滞在して稼いでいるのだ。
彼は何か買って帰ってきたらしく、それらを机の並べ始めた。
「ほら、もっと食べろ。今日は報酬の良い依頼だったから奮発して色々買ってきたんだぞ!」
「あー、また無駄遣いして!でも、そうよ!リュカ、明日は決闘があるんだからいっぱい食べなさい!」
「お?リュカ、お前決闘するのか。いいな、男のロマンだもんな。なに、俺の一番弟子だから大丈夫だ。行ってこい!」
ほんとに賑やかな親子だな。
テンポのいい2人の会話は聞いていて心地よい。
こんな2人を見ていると憂鬱さも無くなっていく。
“明日、頑張るよ”
そう告げることができた。
剣術、体術はガブリエルにも認められている。
だが、私には1つ大きな弱点がある。
そのことに、不安を抱えながら夜を過ごしたのだった。
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