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不思議な友達編
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部屋を出ると、同時にヘビも私の胸元から顔をだし舌をちょろちょろとさせていた。そういえばこいつがいたんだったか。
「ねぇ、何なのあのでっかいの?」
「大丈夫や、あいつは何も悪させぇへん」
「なんで、そんなことがわかるの、もしかして知り合いとか言わないよね?」
私は何の気なしにユダの首をしめた。
「あー苦しい、そんなことしたら、うち動物愛護の人呼ぶでー」
「ユダちゃんは守護霊、そんなのは意味が無いでしょ」
「ちっ」
観念したユダを離すと、突然頭をフリフリと振ってまるで何かを呼んでいるように見えた。そして理科準備室から長い足がにゅっと生えてきて、その後に細目の男が姿を現し、私は数歩ほど後ずさった。
「マジで、デカすぎ・・・・・・」
「おーい」
ユダはまるで旧知の仲の様に気軽に話しかけた。
「あ、どうもユダさん」
キツネ目の大男はびっくりするほどの美声でユダに話しかけた、なんかもっとプロレスラーみたいな感じで喋るかと思ったのに、なんか想像してたのと違う。
「相変わらずごっついなー」
「はい、やっぱり成長期だからですかねー、あっははは」
恥ずかしそうに頭をかきながら笑う細目の男に、成長期って死んでからも続くものなのかと疑問を投げかけたかった。
「ねぇユダちゃん、知りあいなの?」
「ん、最近あったばっかやで」
「なにそれ」
「大丈夫や、身体はごっついけど、腰が低くてええ奴やさかい大丈夫や」
「そうなの?」
私が細目の男を見つめると細目特有の普段見ることが出来ない目玉をぎろっと見せつけた後、再び笑顔になった。
「もしかしてそちらの方は僕の姿が見えておらるのですか?」
「はい」
「も、もしかして先ほどまで私が部屋にいたのをご存知でしたか?」
「はい、ものすごく邪魔でした」
「それはそれは、本当に申し訳ありませんでしたー」
そう言って大きな身体を上手く折りたたみ、私の目の前でそれは見事な土下座を披露してくれた。
「いや、そこまでしてとは言ってないけど」
「いえ、そういうわけにも行きません大変失礼なことをしました」
「も、もういいから顔上げて」
「その優しさ心に染み渡り・・・・・・あぁ、なんとすばらしい桃色が目の前に」
素直に顔を上げた細目の大男は鼻から血を出してそう言った。どうやら私の下着でも見たのだろう。
「あのさ、幽霊ってのはこんなのばっかなの?」
私は細目大男の後頭部をグリグリと踏みつけユダに尋ねた。
「し、しゃあないんとちゃうかぁ、思春期やし・・・・・・」
「最近こんなんばっかじゃん」
「すみませんすみませんすみません」
私は何度も謝る細目大男から足をどけると、彼はゆっくりのっそり立ち上がった。
「で、ユダちゃんこれは誰なの?」
「こいつはケンっていうてな、この学校の地縛霊や」
「悪霊じゃないの」
「ちゃうちゃう、ケンはちゃんとそういうことはわきまえとる、害のない幽霊や」
「そうなんだ」
しかし、いくら害のないと言われても私の幽霊ファーストコンタクトは悪霊だったためか幽霊という存在に対してどうにも疑いの目をかけざるを得ない、あと、変態だったし余計に疑わざるをえない。
「ということは、彼女がユダさんの主ですか?」
「せや、零っていうんやけどなかなかええ女やろ」
「はい、まさに絶世の美女とはこの方の事です」
良くそんな言葉を何の気なしに言えるな、プレイボーイか?
「ありがとう、でもさっきパンツ見て鼻血出してた人にそんなこと言われてもあんまり響かないけど」
「あ、あれはその本当に、すみませんでしたー」
そう言ってまた綺麗な土下座をするケン。残念だ、君が生きていたらそれはもう優秀な会社員になっていただろう。
「もういい、正体が分かったなら私はもう戻るから」
「はい、僕はしばらく他の場所にいることにします、お友達とゆっくり楽しんでいって下さい」
「うん」
「ほなまたなー、ケン」
「はい、ユダさんと零さん、また・・・・・・」
そう言ってケンはのっしのっしと歩いてどこかに言ってしまった。
「うわ、本当に何もしなかった」
「なんや疑っとったんか?」
「うん」
「そうか、でもあいつは普通にいいやつやさかい、そない疑いの目をかけてやらんとってな」
「随分と彼のことをかばうんだね、ユダちゃん」
「まぁ、ええやつやさかい」
ええやつか、しかし、幽霊になってる時点で良いやつかどうかは怪しいところだと思うが、どうなんだろう?
「そっか、でもまさかああいうのが他にもいっぱいいたりしないよね」
私がユダの顔を見てそう言うとゆっくりと顔を逸らして舌をちろちろと出した
「お、おらんでー」
「もしいたとしても、その時は私にくっつかないでね」
「そないなこと言わんといてなー」
そういって頬をペロペロと舐めるユダに不快感を感じながらも私は部屋に戻った。扉を開けると、何やら騒がしく、部屋にはいると千野さんがさっきとはまるで別人のようにマリアにすがりついて騒いでいている姿がうっすらと見えた。
「えー、ダメですよ夕ちゃん、幽霊退治しちゃったら見れなくなっちゃうじゃないですか」
やんややんやと二人は騒いでおり私がかえってきたことにすら全く気づいていない、そうか千野さんって本当はこういう子なんだ・・・・・・そして私が静かに背後に立って「ただいま」と言うと千野さんはまるで人形のように動かなくなってしまった。
「あっ、零さんおかえりなさい」
「うん」
どうしよう、さっきから両手を上げながら固まってる千野さんに何か話しかけたほうがいいのだろうか?
「な、何番までいったの?」
勿論、そんな私の質問に対し千野さんが動くことはなくマリアが私の言葉に反応してくれた。
「えーっと今は50番目ですね」
「結構見たのにまだ折り返し地点か」
「そうですね、時間も時間ですしそろそろお開きにしますか?」
私は携帯を取り出して時間を確認すると4時44分と表示されていた。
すると、隣に座っているマリアが立ち上がり教室の電気をつけた。私は目を細めながら辺りを見回すと、伏し目がちに片付けをする千野さんの姿が立った。
やっぱり私がいないほうが彼女は居心地いいんじゃないだろうか?そんな思いを胸に3人でひとしきりの片付けを終え、私とマリアは靴箱で部室の鍵を返しに行った千野さんを待っていた。
「マリア」
「何ですか?」
「私、先に帰るね」
靴を履くのに奮闘するマリアは私の言葉に慌てたのかよろけながら私の腰に抱きついてきた。もしかしていつも腰に抱きついてくるのはいつもこけそうになって抱きついてきてただけなんだろうか?
「何でですか、一緒に帰りましょうよ」
「でも、千野さん気を使ってるみたいだし」
「大丈夫ですよ、夕ちゃんの方から零さんに会いたいって言ってきたんですから嫌われてはいませんよ」
「そうかもしれないけど・・・・・・」
「大丈夫です、夕ちゃんはとてもいい子ですよ」
すると千野さんがパタパタと小柄な身体を必死に動かし『お待たせしました』という紙を見せながらながら走ってきた。その表情は相変わらず無表情で、彼女の事をいまいち理解できない理由の一つとして私の頭を悩ませている。
もう少し表情が豊かならわかりやすいのに。そう思ってマリアに顔を向けると無邪気な笑顔を返してきた。こいつはこいつで・・・・・・まぁいいか。
「さぁ帰りましょう」
マリアのそんな一声で私達は三人で帰宅することになった。
「零さんは徒歩通学なんですよね」
「そう」
「私も夕ちゃんもそうなんですよ、これからは一緒に帰りましょーね、あ、そうだお菓子食べます?」
そう言って私と千野さんによくある棒付き飴を渡してきた。
「この飴美味しいんですよねー、んーあまーい」
「マリア、千野さんとはいつもこうやって帰ってんの?」
「はい、言ったじゃないですか私ばっかり喋ってるって」
「そっか」
「それに、夕ちゃんも私が話してるのいつもじーっと、見つめながら聞いてくれていますよ、ふふん」
自信満々に話すマリアは置いといて、千野さんの方に視線を向けると確かにマリアの事をじっと見上げており、私の視線に気づくと目を逸らした。
「そういえばマリア、幽霊探しはどうしたの?」
「何言ってるんですか、それは零さんのせいでおじゃんになっちゃったんじゃないですか、今は新たなネタを捜索中です」
「そうですか」
「それに、夕ちゃんも幽霊探しに手伝ってくれているので・・・・・・あ、零さんガム食べます?」
「まだ飴すら食べてないんだけど」
それにしても千野さんもマリアを手伝っているのか・・・・・・学校中を『幽霊を見かけませんでしたか?』なんて紙を持ちながら必死に走り回っている姿をかんがえたら自然と口角が上がった。
「それはそーと」
「何?」
「私帰り道こっちなので、二人共また明日学校でー」
道が大きく別れた場所で私と千野さんを置いてマリアは走って帰っていった。そして取り残された私は無言のまま立ち尽くしている、千野さんは動こうとせずにただじっと地面の小石を蹴って遊んでいた。
「か、帰ろっか千野さん」
わたしがそう言うと素早く紙に『はい』と書かれた文字を見せてきた。
それからしばらく歩いた後、普段誰かと一緒に帰ることのない私は変に気を遣い話しかけることにした。気を遣うのは嫌だとか言ってこのザマだもんな。
「ねぇ千野さん、千野さんは家どのへんなの?」
『廃墟の隣のマンションに住んでます』
廃墟の隣って、かなり家賃が易そうな所に住んでいるのかな?
でもマンションだしそれなりにいい所なのかも、そんな他愛もない会話をしつつほかの話題を考えているうちに無言の私達はいつのまにやら自宅アパートにたどり着いていた。
「じゃあ、私ここだから」
そう思い振り返って家に帰ろうとしたのだが千野さんが突然私の前に立ちはだかった。
『待って下さい』
「え?」
何やら必死に走り書きしている千野さんもなかなか可愛い、それに少し表情が崩れて焦っているかのように見えるは私だけだろうか?
『廃墟とか言ってごめんなさい、悪気はなかったんです』
私は千野さんの伝えたい事がよく分からず、何の気なしに自宅アパートを見た。
確かに私家のアパートは古いかもしれないけどそこまで汚くないし、まぁ、階段とか空き地はたしかに廃墟っぽい感じかもしれない。そして、これまた何の気なしに自宅アパート隣に建てられているとても綺麗なマンションに目を向けた。
「まさか・・・・・・」
『私、隣のマンションに住んでるんです』
顔を隠しながらそんなスケッチブックを見せる千野さんはやはり申し訳なさそうだった。
「ははは」
そして、申し訳無さそうに何度も頭を下げる千野さんに、私はただ笑うことしか出来なかった。
「ねぇ、何なのあのでっかいの?」
「大丈夫や、あいつは何も悪させぇへん」
「なんで、そんなことがわかるの、もしかして知り合いとか言わないよね?」
私は何の気なしにユダの首をしめた。
「あー苦しい、そんなことしたら、うち動物愛護の人呼ぶでー」
「ユダちゃんは守護霊、そんなのは意味が無いでしょ」
「ちっ」
観念したユダを離すと、突然頭をフリフリと振ってまるで何かを呼んでいるように見えた。そして理科準備室から長い足がにゅっと生えてきて、その後に細目の男が姿を現し、私は数歩ほど後ずさった。
「マジで、デカすぎ・・・・・・」
「おーい」
ユダはまるで旧知の仲の様に気軽に話しかけた。
「あ、どうもユダさん」
キツネ目の大男はびっくりするほどの美声でユダに話しかけた、なんかもっとプロレスラーみたいな感じで喋るかと思ったのに、なんか想像してたのと違う。
「相変わらずごっついなー」
「はい、やっぱり成長期だからですかねー、あっははは」
恥ずかしそうに頭をかきながら笑う細目の男に、成長期って死んでからも続くものなのかと疑問を投げかけたかった。
「ねぇユダちゃん、知りあいなの?」
「ん、最近あったばっかやで」
「なにそれ」
「大丈夫や、身体はごっついけど、腰が低くてええ奴やさかい大丈夫や」
「そうなの?」
私が細目の男を見つめると細目特有の普段見ることが出来ない目玉をぎろっと見せつけた後、再び笑顔になった。
「もしかしてそちらの方は僕の姿が見えておらるのですか?」
「はい」
「も、もしかして先ほどまで私が部屋にいたのをご存知でしたか?」
「はい、ものすごく邪魔でした」
「それはそれは、本当に申し訳ありませんでしたー」
そう言って大きな身体を上手く折りたたみ、私の目の前でそれは見事な土下座を披露してくれた。
「いや、そこまでしてとは言ってないけど」
「いえ、そういうわけにも行きません大変失礼なことをしました」
「も、もういいから顔上げて」
「その優しさ心に染み渡り・・・・・・あぁ、なんとすばらしい桃色が目の前に」
素直に顔を上げた細目の大男は鼻から血を出してそう言った。どうやら私の下着でも見たのだろう。
「あのさ、幽霊ってのはこんなのばっかなの?」
私は細目大男の後頭部をグリグリと踏みつけユダに尋ねた。
「し、しゃあないんとちゃうかぁ、思春期やし・・・・・・」
「最近こんなんばっかじゃん」
「すみませんすみませんすみません」
私は何度も謝る細目大男から足をどけると、彼はゆっくりのっそり立ち上がった。
「で、ユダちゃんこれは誰なの?」
「こいつはケンっていうてな、この学校の地縛霊や」
「悪霊じゃないの」
「ちゃうちゃう、ケンはちゃんとそういうことはわきまえとる、害のない幽霊や」
「そうなんだ」
しかし、いくら害のないと言われても私の幽霊ファーストコンタクトは悪霊だったためか幽霊という存在に対してどうにも疑いの目をかけざるを得ない、あと、変態だったし余計に疑わざるをえない。
「ということは、彼女がユダさんの主ですか?」
「せや、零っていうんやけどなかなかええ女やろ」
「はい、まさに絶世の美女とはこの方の事です」
良くそんな言葉を何の気なしに言えるな、プレイボーイか?
「ありがとう、でもさっきパンツ見て鼻血出してた人にそんなこと言われてもあんまり響かないけど」
「あ、あれはその本当に、すみませんでしたー」
そう言ってまた綺麗な土下座をするケン。残念だ、君が生きていたらそれはもう優秀な会社員になっていただろう。
「もういい、正体が分かったなら私はもう戻るから」
「はい、僕はしばらく他の場所にいることにします、お友達とゆっくり楽しんでいって下さい」
「うん」
「ほなまたなー、ケン」
「はい、ユダさんと零さん、また・・・・・・」
そう言ってケンはのっしのっしと歩いてどこかに言ってしまった。
「うわ、本当に何もしなかった」
「なんや疑っとったんか?」
「うん」
「そうか、でもあいつは普通にいいやつやさかい、そない疑いの目をかけてやらんとってな」
「随分と彼のことをかばうんだね、ユダちゃん」
「まぁ、ええやつやさかい」
ええやつか、しかし、幽霊になってる時点で良いやつかどうかは怪しいところだと思うが、どうなんだろう?
「そっか、でもまさかああいうのが他にもいっぱいいたりしないよね」
私がユダの顔を見てそう言うとゆっくりと顔を逸らして舌をちろちろと出した
「お、おらんでー」
「もしいたとしても、その時は私にくっつかないでね」
「そないなこと言わんといてなー」
そういって頬をペロペロと舐めるユダに不快感を感じながらも私は部屋に戻った。扉を開けると、何やら騒がしく、部屋にはいると千野さんがさっきとはまるで別人のようにマリアにすがりついて騒いでいている姿がうっすらと見えた。
「えー、ダメですよ夕ちゃん、幽霊退治しちゃったら見れなくなっちゃうじゃないですか」
やんややんやと二人は騒いでおり私がかえってきたことにすら全く気づいていない、そうか千野さんって本当はこういう子なんだ・・・・・・そして私が静かに背後に立って「ただいま」と言うと千野さんはまるで人形のように動かなくなってしまった。
「あっ、零さんおかえりなさい」
「うん」
どうしよう、さっきから両手を上げながら固まってる千野さんに何か話しかけたほうがいいのだろうか?
「な、何番までいったの?」
勿論、そんな私の質問に対し千野さんが動くことはなくマリアが私の言葉に反応してくれた。
「えーっと今は50番目ですね」
「結構見たのにまだ折り返し地点か」
「そうですね、時間も時間ですしそろそろお開きにしますか?」
私は携帯を取り出して時間を確認すると4時44分と表示されていた。
すると、隣に座っているマリアが立ち上がり教室の電気をつけた。私は目を細めながら辺りを見回すと、伏し目がちに片付けをする千野さんの姿が立った。
やっぱり私がいないほうが彼女は居心地いいんじゃないだろうか?そんな思いを胸に3人でひとしきりの片付けを終え、私とマリアは靴箱で部室の鍵を返しに行った千野さんを待っていた。
「マリア」
「何ですか?」
「私、先に帰るね」
靴を履くのに奮闘するマリアは私の言葉に慌てたのかよろけながら私の腰に抱きついてきた。もしかしていつも腰に抱きついてくるのはいつもこけそうになって抱きついてきてただけなんだろうか?
「何でですか、一緒に帰りましょうよ」
「でも、千野さん気を使ってるみたいだし」
「大丈夫ですよ、夕ちゃんの方から零さんに会いたいって言ってきたんですから嫌われてはいませんよ」
「そうかもしれないけど・・・・・・」
「大丈夫です、夕ちゃんはとてもいい子ですよ」
すると千野さんがパタパタと小柄な身体を必死に動かし『お待たせしました』という紙を見せながらながら走ってきた。その表情は相変わらず無表情で、彼女の事をいまいち理解できない理由の一つとして私の頭を悩ませている。
もう少し表情が豊かならわかりやすいのに。そう思ってマリアに顔を向けると無邪気な笑顔を返してきた。こいつはこいつで・・・・・・まぁいいか。
「さぁ帰りましょう」
マリアのそんな一声で私達は三人で帰宅することになった。
「零さんは徒歩通学なんですよね」
「そう」
「私も夕ちゃんもそうなんですよ、これからは一緒に帰りましょーね、あ、そうだお菓子食べます?」
そう言って私と千野さんによくある棒付き飴を渡してきた。
「この飴美味しいんですよねー、んーあまーい」
「マリア、千野さんとはいつもこうやって帰ってんの?」
「はい、言ったじゃないですか私ばっかり喋ってるって」
「そっか」
「それに、夕ちゃんも私が話してるのいつもじーっと、見つめながら聞いてくれていますよ、ふふん」
自信満々に話すマリアは置いといて、千野さんの方に視線を向けると確かにマリアの事をじっと見上げており、私の視線に気づくと目を逸らした。
「そういえばマリア、幽霊探しはどうしたの?」
「何言ってるんですか、それは零さんのせいでおじゃんになっちゃったんじゃないですか、今は新たなネタを捜索中です」
「そうですか」
「それに、夕ちゃんも幽霊探しに手伝ってくれているので・・・・・・あ、零さんガム食べます?」
「まだ飴すら食べてないんだけど」
それにしても千野さんもマリアを手伝っているのか・・・・・・学校中を『幽霊を見かけませんでしたか?』なんて紙を持ちながら必死に走り回っている姿をかんがえたら自然と口角が上がった。
「それはそーと」
「何?」
「私帰り道こっちなので、二人共また明日学校でー」
道が大きく別れた場所で私と千野さんを置いてマリアは走って帰っていった。そして取り残された私は無言のまま立ち尽くしている、千野さんは動こうとせずにただじっと地面の小石を蹴って遊んでいた。
「か、帰ろっか千野さん」
わたしがそう言うと素早く紙に『はい』と書かれた文字を見せてきた。
それからしばらく歩いた後、普段誰かと一緒に帰ることのない私は変に気を遣い話しかけることにした。気を遣うのは嫌だとか言ってこのザマだもんな。
「ねぇ千野さん、千野さんは家どのへんなの?」
『廃墟の隣のマンションに住んでます』
廃墟の隣って、かなり家賃が易そうな所に住んでいるのかな?
でもマンションだしそれなりにいい所なのかも、そんな他愛もない会話をしつつほかの話題を考えているうちに無言の私達はいつのまにやら自宅アパートにたどり着いていた。
「じゃあ、私ここだから」
そう思い振り返って家に帰ろうとしたのだが千野さんが突然私の前に立ちはだかった。
『待って下さい』
「え?」
何やら必死に走り書きしている千野さんもなかなか可愛い、それに少し表情が崩れて焦っているかのように見えるは私だけだろうか?
『廃墟とか言ってごめんなさい、悪気はなかったんです』
私は千野さんの伝えたい事がよく分からず、何の気なしに自宅アパートを見た。
確かに私家のアパートは古いかもしれないけどそこまで汚くないし、まぁ、階段とか空き地はたしかに廃墟っぽい感じかもしれない。そして、これまた何の気なしに自宅アパート隣に建てられているとても綺麗なマンションに目を向けた。
「まさか・・・・・・」
『私、隣のマンションに住んでるんです』
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