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不思議な友達編
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隣に建てられているとても綺麗なマンション、普段はあまり気にしてはいなかったけど、改めて見ているとまさに雲泥の差という言葉にふさわしい格差ぶりだった。そりゃ、マンションに住んでいる人間からしたら廃墟って言われても仕方ないか。
そして、隣にいる千野さんは相変わらず頭を下げていたので、私は彼女の身体を起こしてあげると、目をうるうるとさせていた。
その涙が、哀れみの涙でないことだけを祈りながら、千野さんの肩をポンポンと叩き笑顔を見せながら別れを告げた。
帰宅してそうそう私はかばんを放り投げると、中から声が聞こえてきて、かばんから勢い良くユダが飛び出してきた。
「うちが入っとんのやから少しは気使ったらどーや?」
「ごめん、つい癖で」
「ほんまは零にずっとくっついてたいのになぁ」
「それだと色々面倒だから嫌だよ」
洗面所で手洗いうがいをした後に、私は冷凍庫から板チョコを取り出し、一口食べた。
「んー、やっぱりチョコが一番おいしい」
「あ、うちにもくれー」
「ヘビがチョコなんか食ったら大変でしょ」
「うちはそのへんのヘビとちゃうから大丈夫や、せやからくれー」
私はしぶしぶチョコを一欠片投げるとユダは器用に口でキャッチした、そしてまるで人間のようにテイスティングしていた。
「うまいっ、何やこれ」
「チョコ、もうあげないから」
「な、なんでや、後ちょっとだけちょうだいやー」
「だめだよ」
ぐだぐだと喋るユダは置いといて疲れた足を癒すべくベッドに横になった瞬間、部屋の中にインターフォンの音が鳴り響いた。いつものように私は無視し、放置していたのだが、鳴り終わることはなく私は重い腰を上げて確かめに行った。
玄関の覗き口から外を見ると、そこには千野さんの姿が写り込んでおり、私はすぐに扉を開けた。
「どうしたの、って、えぇ・・・・・・?」
扉を開けると千野さんがなにか菓子箱のようなものを手に無表情で涙を流しながら立っていた。
「ど、どうしたの千野さん?」
よく見ると菓子箱らしきものの上に『廃墟って言ってごめんなさい』と書かれた紙が置いてあった。こんな状態の千野さんを放っておくのもなんだか良心が痛む。ので、とりあえず部屋に戻りユダを壺の中に突っ込んだ後、彼女を部屋の中に招き入れることにした。
彼女は特に抵抗すること無く部屋の中に入ってくれた、そして彼女をベッドに彼女を座らた。
「あのさ千野さん、私気にしてないからそんなに気を使わなくていいよ?」
なるべく優しい声で話しかけると、彼女は身体を少しびくつかせた後、いそいそとスケッチブックを取り出した。
『でも、失礼なことを』
千野さんの目からは再び涙がこぼれ落ちた。とにかく、今は彼女に泣き止んでもらわないことには話が進みそうにない。
そう思い、気休めにさきほど食べていたチョコレートを千野さんの口元に持っていくと、彼女は何も抵抗もせずにチョコレートを口に含みモグモグと咀嚼した。
・・・・・・可愛いが過ぎる。
私は調子に乗り、次々チョコレートを口に持って行くとやはり抵抗すること無く口に含んでモグモグと食べており、千野さんの表情も少し和らいだような気がした。
「落ち着いた?」
『はい』
「廃墟って言ったのとかそういうの気にしなくていいからさせっかく知り合ったんだし仲良くしようよ」
『でも、友沢さんは怒ってるんじゃないかと思って・・・・・・』
「いや、怒らないよ」
またも無表情のまま目をうるうるとさせる千野さんを私は優しく撫でた。よくよく考えると、今日初めて会ったばかりの人を家に呼んでしかも慰めている。私はもしかして友達作る才能があったりするのだろうか?
まるで、可愛いペットでも出来たような気分になりつつ、もう少し千野さんを慰めて楽しむことにした。
『せめてお礼を』
「でも、お菓子貰ったし」
『行動でしめさなければっ』
まるで体育会系のような言葉、一体どんな環境で育ったのやら?
「うーん、じゃあちょっと千野さんじっとしててね」
そう思い私はブラシを片手に千野さんの背後に回った。そして、まるで人形のように動かない無表情な彼女の髪の毛をとき、優しくブラッシングすると、彼女の硬直させた体が徐々に緩んでいった。
そうして、千野さんを人形同然に遊んでしまっていると、いつの間にか外は薄暗くなっており、千野さんの腹の虫が鳴り始めた。
「あ、ごめん夢中になっちゃってた」
『いえ、とても嬉しいです』
そうして少し笑顔を見せてくれる千野さんは、本当に素敵な笑顔で、思わず見とれてしまった。
『また、遊びに来てもいいですか?』
「も、勿論、こんな場所で良ければまた来て」
そう言うと、千野さんはすっと立ち上がり机の上に菓子箱を置いて一礼した後、玄関から出て行った。
それにしても機嫌を直してくれてよかった、しかも「また遊びに来てもいいですか?」だって、あんなかわいい子ならいつだって大歓迎だ。
翌朝。
私が目をさますと腕にユダが絡みついていたのでベッドの上に投げ捨て、部屋のカーテンを開けた。だからといって対して太陽の日差しがサンサン入ってくるわけでもない。私は背伸びをして全身に血が巡りわたるのを感じとった後、朝の行動開始をすることにした。
洗面台で顔を洗い歯磨きをしながら昨日のことを考えていた。マリアに紹介された千野さん、無表情であまり喋らない、けれどその割には涙もろくて真面目なとても素直でいい子だ。
きっと彼女はただの人見知りのする普通の女の子だ、だから、もし今日にでも会う事があれば気軽に挨拶してあげれば彼女も安心するだろう。
そう思い、朝食は食パンを食べて学校に向かうことにした。玄関を出る際にユダが首に巻きついてきてうっとおしかったが、ユダも寝ぼけているのかダルそうにしていた。
私は何度か深呼吸をして朝の空気を肺全体に染み込ませた。そして階段の音を楽しみながらご機嫌に階段を降りていると、前方の道路で千野さんがちょこちょこと歩いているのが見えた。
そうだ、この際彼女に話しかけて一緒に登校なんて思い声をかけようとしたのだが、何やら彼女の数メートル後ろに怪しい人がいるのに気づいた。
目をこらしてみるとロングコートにサングラスのいかにも変質者のような格好をした人が千野さんのことを凝視しているのが見て取れた。
わたしは物陰に隠れながらその男の様子を見ていると、突然コートの中からプロのカメラマンが使っているような大きなカメラを取り出し千野さんに向けて照準を合わせていた。
「あいつ、千野さんに何するつもり?」
「ん、どないしたんや朝早くから」
「変態がいる」
「変態?」
ユダも胸元から顔を出し確認すると寝ぼけながらこういった。
「あぁ、あいつ幽霊やな」
「え・・・・・・」
私は幽霊という単語を聞いた途端、すぐにでも見て見ぬふりをしたかったのだが、千野さんのことを考えると、どうしてもあの変態をどうにかしなければいけないと思った。
そうこうしているうちに変態幽霊は千野さんの姿を撮り続け、挙句の果てには彼女の進行方向にたって待ち伏せするという荒業に出た。
そして、今度は千野さんの進行方向に仰向け寝そべりカメラを構えようとしている、もしや、あいつスカートの中まで撮ろうとしてるのか。私はすぐさま走って千野さんの元までいって変態幽霊を踏みつぶして彼女に挨拶をした
「お、おはよう千野さん」
千野さんは私が声をかけてきたことに驚いたのか、すぐさまカバンからスケッチブックを取り出した。
『おはようございます』
私の足元では変態が気持ちの悪いうめきごえを上げながらもがいていた、ちなみに、千野さんは私が幽霊を踏んづけているとは知らずに、私の顔を見上げるだけで特に変わった様子はなかった。
ざまあみろ、お前の思い通りには行かないさ、こんなに可愛い千野さんをお前みたいな変質者の思い通りにさせると思っているのか?
「千野さん、よかったら一緒に学校行かない?」
『ぜ、ぜひよろしくお願いします』
勿論、宜しくお願いされてあげる。と、思っていると何やら急に足元の変態幽霊が何やらカシャカシャとカメラのシャッターをきる音が聞こえてきた。
私はすぐに足元を覗きこむと、顔を踏まれながらもカメラを構えシャッターをきる変態幽霊の姿がそこにはあり、私はすぐに下着を手で隠した。
そんな事をしても遅いのはわかっているのだけど、どうしてもこうしたくなるのが性というものだから仕方がない。私は全身に鳥肌を立たせながら、千野さんの手を引いてすぐさまその場から立ち去った。
ある程度走り去った後息を切らしながら千野さんの方を見ると、同じく息を切らしてしんどそうにしており、先程までいた変態幽霊は追いかけてきてはいなかった。
「ご、ごめんね急に」
そんなことを言うと、千野さんはとても驚いた様子で私を見つめスケッチブックをこれでもかと言わんばかりにみせつけてきていた。
『く、首にヘビさんがいます』
「え?」
思えば私は首にユダをつけたままにしていた。そうだ、だからあんな気色の悪い変態カメラマン幽霊を見てしまっていたのだ。
「あ、えっと、うわー、気持ち悪ーい」
そうして私は首に巻きつくユダを投げ捨てた。その際に、関西弁で何か言っているような気がしたが、そんなことよりも千野さんだ。
『大丈夫ですか?』
「う、うん、大丈夫だよ、ほら学校行こ」
朝から大忙しな私達は急ぎすぎた分ゆっくりと登校することにした。というよりも千野さんの歩幅が小さいという理由でゆっくり歩いているだけだけど。ただ、やっぱりユダがくっついているってだけで私の日常がこうも一転するものとは思わなかった。幽霊ってのはそこら中にいるものらしい。
しかも、会う幽霊が変態ばっかだし、せっかく見えるならせめて美男美女にしてくれないだろうか。なんて事を考えていると、突然千野さんが私の服を引っ張ってきた。
「ん、何?」
『いつもこの時間なんですか?』
「あ、うん」
『私もだいたいこの時間です』
私は単純に家にいても大してすることないし、さっさと学校にでも言って屋上階段で本読んだりぼーっとしたりしてるだけなんだけど、千野さんはどうしてこんなに早く家を出るんだろう?
「どうして千野さんはこんなに早く家を出るの?」
『私、歩くのが遅くて、だから早めに出ないと遅刻しちゃうんです』
確かに遅い、本当に亀のような足取りで進んでいる、小柄だから仕方ないとはいえもう少し早く歩けばいいだけだと思った。だが、無理にそんなことを強制することもないし。何より、早起きは三文の得だっていう言うし。
まぁ、さっきの幽霊のせいで全然そんな気分になれないけど。
「そっか」
そしてその特に会話もなく私と千野さんは学校につき、マリアと千野さんの教室である1年2組で別れた。
そして、隣にいる千野さんは相変わらず頭を下げていたので、私は彼女の身体を起こしてあげると、目をうるうるとさせていた。
その涙が、哀れみの涙でないことだけを祈りながら、千野さんの肩をポンポンと叩き笑顔を見せながら別れを告げた。
帰宅してそうそう私はかばんを放り投げると、中から声が聞こえてきて、かばんから勢い良くユダが飛び出してきた。
「うちが入っとんのやから少しは気使ったらどーや?」
「ごめん、つい癖で」
「ほんまは零にずっとくっついてたいのになぁ」
「それだと色々面倒だから嫌だよ」
洗面所で手洗いうがいをした後に、私は冷凍庫から板チョコを取り出し、一口食べた。
「んー、やっぱりチョコが一番おいしい」
「あ、うちにもくれー」
「ヘビがチョコなんか食ったら大変でしょ」
「うちはそのへんのヘビとちゃうから大丈夫や、せやからくれー」
私はしぶしぶチョコを一欠片投げるとユダは器用に口でキャッチした、そしてまるで人間のようにテイスティングしていた。
「うまいっ、何やこれ」
「チョコ、もうあげないから」
「な、なんでや、後ちょっとだけちょうだいやー」
「だめだよ」
ぐだぐだと喋るユダは置いといて疲れた足を癒すべくベッドに横になった瞬間、部屋の中にインターフォンの音が鳴り響いた。いつものように私は無視し、放置していたのだが、鳴り終わることはなく私は重い腰を上げて確かめに行った。
玄関の覗き口から外を見ると、そこには千野さんの姿が写り込んでおり、私はすぐに扉を開けた。
「どうしたの、って、えぇ・・・・・・?」
扉を開けると千野さんがなにか菓子箱のようなものを手に無表情で涙を流しながら立っていた。
「ど、どうしたの千野さん?」
よく見ると菓子箱らしきものの上に『廃墟って言ってごめんなさい』と書かれた紙が置いてあった。こんな状態の千野さんを放っておくのもなんだか良心が痛む。ので、とりあえず部屋に戻りユダを壺の中に突っ込んだ後、彼女を部屋の中に招き入れることにした。
彼女は特に抵抗すること無く部屋の中に入ってくれた、そして彼女をベッドに彼女を座らた。
「あのさ千野さん、私気にしてないからそんなに気を使わなくていいよ?」
なるべく優しい声で話しかけると、彼女は身体を少しびくつかせた後、いそいそとスケッチブックを取り出した。
『でも、失礼なことを』
千野さんの目からは再び涙がこぼれ落ちた。とにかく、今は彼女に泣き止んでもらわないことには話が進みそうにない。
そう思い、気休めにさきほど食べていたチョコレートを千野さんの口元に持っていくと、彼女は何も抵抗もせずにチョコレートを口に含みモグモグと咀嚼した。
・・・・・・可愛いが過ぎる。
私は調子に乗り、次々チョコレートを口に持って行くとやはり抵抗すること無く口に含んでモグモグと食べており、千野さんの表情も少し和らいだような気がした。
「落ち着いた?」
『はい』
「廃墟って言ったのとかそういうの気にしなくていいからさせっかく知り合ったんだし仲良くしようよ」
『でも、友沢さんは怒ってるんじゃないかと思って・・・・・・』
「いや、怒らないよ」
またも無表情のまま目をうるうるとさせる千野さんを私は優しく撫でた。よくよく考えると、今日初めて会ったばかりの人を家に呼んでしかも慰めている。私はもしかして友達作る才能があったりするのだろうか?
まるで、可愛いペットでも出来たような気分になりつつ、もう少し千野さんを慰めて楽しむことにした。
『せめてお礼を』
「でも、お菓子貰ったし」
『行動でしめさなければっ』
まるで体育会系のような言葉、一体どんな環境で育ったのやら?
「うーん、じゃあちょっと千野さんじっとしててね」
そう思い私はブラシを片手に千野さんの背後に回った。そして、まるで人形のように動かない無表情な彼女の髪の毛をとき、優しくブラッシングすると、彼女の硬直させた体が徐々に緩んでいった。
そうして、千野さんを人形同然に遊んでしまっていると、いつの間にか外は薄暗くなっており、千野さんの腹の虫が鳴り始めた。
「あ、ごめん夢中になっちゃってた」
『いえ、とても嬉しいです』
そうして少し笑顔を見せてくれる千野さんは、本当に素敵な笑顔で、思わず見とれてしまった。
『また、遊びに来てもいいですか?』
「も、勿論、こんな場所で良ければまた来て」
そう言うと、千野さんはすっと立ち上がり机の上に菓子箱を置いて一礼した後、玄関から出て行った。
それにしても機嫌を直してくれてよかった、しかも「また遊びに来てもいいですか?」だって、あんなかわいい子ならいつだって大歓迎だ。
翌朝。
私が目をさますと腕にユダが絡みついていたのでベッドの上に投げ捨て、部屋のカーテンを開けた。だからといって対して太陽の日差しがサンサン入ってくるわけでもない。私は背伸びをして全身に血が巡りわたるのを感じとった後、朝の行動開始をすることにした。
洗面台で顔を洗い歯磨きをしながら昨日のことを考えていた。マリアに紹介された千野さん、無表情であまり喋らない、けれどその割には涙もろくて真面目なとても素直でいい子だ。
きっと彼女はただの人見知りのする普通の女の子だ、だから、もし今日にでも会う事があれば気軽に挨拶してあげれば彼女も安心するだろう。
そう思い、朝食は食パンを食べて学校に向かうことにした。玄関を出る際にユダが首に巻きついてきてうっとおしかったが、ユダも寝ぼけているのかダルそうにしていた。
私は何度か深呼吸をして朝の空気を肺全体に染み込ませた。そして階段の音を楽しみながらご機嫌に階段を降りていると、前方の道路で千野さんがちょこちょこと歩いているのが見えた。
そうだ、この際彼女に話しかけて一緒に登校なんて思い声をかけようとしたのだが、何やら彼女の数メートル後ろに怪しい人がいるのに気づいた。
目をこらしてみるとロングコートにサングラスのいかにも変質者のような格好をした人が千野さんのことを凝視しているのが見て取れた。
わたしは物陰に隠れながらその男の様子を見ていると、突然コートの中からプロのカメラマンが使っているような大きなカメラを取り出し千野さんに向けて照準を合わせていた。
「あいつ、千野さんに何するつもり?」
「ん、どないしたんや朝早くから」
「変態がいる」
「変態?」
ユダも胸元から顔を出し確認すると寝ぼけながらこういった。
「あぁ、あいつ幽霊やな」
「え・・・・・・」
私は幽霊という単語を聞いた途端、すぐにでも見て見ぬふりをしたかったのだが、千野さんのことを考えると、どうしてもあの変態をどうにかしなければいけないと思った。
そうこうしているうちに変態幽霊は千野さんの姿を撮り続け、挙句の果てには彼女の進行方向にたって待ち伏せするという荒業に出た。
そして、今度は千野さんの進行方向に仰向け寝そべりカメラを構えようとしている、もしや、あいつスカートの中まで撮ろうとしてるのか。私はすぐさま走って千野さんの元までいって変態幽霊を踏みつぶして彼女に挨拶をした
「お、おはよう千野さん」
千野さんは私が声をかけてきたことに驚いたのか、すぐさまカバンからスケッチブックを取り出した。
『おはようございます』
私の足元では変態が気持ちの悪いうめきごえを上げながらもがいていた、ちなみに、千野さんは私が幽霊を踏んづけているとは知らずに、私の顔を見上げるだけで特に変わった様子はなかった。
ざまあみろ、お前の思い通りには行かないさ、こんなに可愛い千野さんをお前みたいな変質者の思い通りにさせると思っているのか?
「千野さん、よかったら一緒に学校行かない?」
『ぜ、ぜひよろしくお願いします』
勿論、宜しくお願いされてあげる。と、思っていると何やら急に足元の変態幽霊が何やらカシャカシャとカメラのシャッターをきる音が聞こえてきた。
私はすぐに足元を覗きこむと、顔を踏まれながらもカメラを構えシャッターをきる変態幽霊の姿がそこにはあり、私はすぐに下着を手で隠した。
そんな事をしても遅いのはわかっているのだけど、どうしてもこうしたくなるのが性というものだから仕方がない。私は全身に鳥肌を立たせながら、千野さんの手を引いてすぐさまその場から立ち去った。
ある程度走り去った後息を切らしながら千野さんの方を見ると、同じく息を切らしてしんどそうにしており、先程までいた変態幽霊は追いかけてきてはいなかった。
「ご、ごめんね急に」
そんなことを言うと、千野さんはとても驚いた様子で私を見つめスケッチブックをこれでもかと言わんばかりにみせつけてきていた。
『く、首にヘビさんがいます』
「え?」
思えば私は首にユダをつけたままにしていた。そうだ、だからあんな気色の悪い変態カメラマン幽霊を見てしまっていたのだ。
「あ、えっと、うわー、気持ち悪ーい」
そうして私は首に巻きつくユダを投げ捨てた。その際に、関西弁で何か言っているような気がしたが、そんなことよりも千野さんだ。
『大丈夫ですか?』
「う、うん、大丈夫だよ、ほら学校行こ」
朝から大忙しな私達は急ぎすぎた分ゆっくりと登校することにした。というよりも千野さんの歩幅が小さいという理由でゆっくり歩いているだけだけど。ただ、やっぱりユダがくっついているってだけで私の日常がこうも一転するものとは思わなかった。幽霊ってのはそこら中にいるものらしい。
しかも、会う幽霊が変態ばっかだし、せっかく見えるならせめて美男美女にしてくれないだろうか。なんて事を考えていると、突然千野さんが私の服を引っ張ってきた。
「ん、何?」
『いつもこの時間なんですか?』
「あ、うん」
『私もだいたいこの時間です』
私は単純に家にいても大してすることないし、さっさと学校にでも言って屋上階段で本読んだりぼーっとしたりしてるだけなんだけど、千野さんはどうしてこんなに早く家を出るんだろう?
「どうして千野さんはこんなに早く家を出るの?」
『私、歩くのが遅くて、だから早めに出ないと遅刻しちゃうんです』
確かに遅い、本当に亀のような足取りで進んでいる、小柄だから仕方ないとはいえもう少し早く歩けばいいだけだと思った。だが、無理にそんなことを強制することもないし。何より、早起きは三文の得だっていう言うし。
まぁ、さっきの幽霊のせいで全然そんな気分になれないけど。
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