過霊なる日常

momono

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不思議な友達編

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 私とマリアは互いに喋るのをやめて耳を澄ますと、やはり何かをすする音が聞こえてくる。

「零さん、何ですかこの音は?」

「わかんない」

 そして、その音がよくよく聞いていると、先ほど見たホラーDVDに出てきた「狂人・脳吸い」が人間の脳をすする音とあまりにも似ており、私は恐怖のあまり暗闇の中マリアの身体を探った。どうやらマリアも私の方へと近寄っていたのか私達は互いの身体を寄せ合い、そして部屋の電気を電気をつけた。

 電気をつけると周りにはだれもおらず、あるといえばもっこりとした布団がもこもこと動いているだけだった。まさか夕ちゃんが「狂人・脳吸い」に。

 私とマリアは一緒にその動く布団をめくると、そこには『私も友達の儀式をしたい』と汚く書かれたスケッチブックを持った夕ちゃんが涙を流していた。

 そんな姿を見たマリアはすぐに夕ちゃんに抱きつき慰めた。もういい加減喋ったどうなんだろう、そう思いながらも私は夕ちゃんの頭を撫でた。その後は、とりあえず寝ようということになり、私達三人はすっかり夢の世界へと旅だった。

 翌朝。

 目をさますと首にマリアが抱きついており非常に苦しかったので払いのけ、携帯の見ると時刻は9時を過ぎた所だった。目をこすり視界が晴れてきた頃、目の前にはテレビに夢中になっている夕ちゃんの姿があり、休日によくやっている子ども向けのアニメをミュートで見ていた。

 ホラーだけなのかと思ってたけど、こういうのも見るのか。っていうかミュートで見るなんて律儀な子だな。

 それにしても昨日の夜、マリアとのやりとりを不意に思い出した私はなんだか急に恥ずかしさがこみ上げてきて、再び布団に籠もり昨日の出来事の反省をした。

 しかし、いつまでもそうして入られないので、やはり布団から出た。私が布団をたたんでいると、マリアも身体を起こし眠そうにしている、どうやら彼女は朝が弱いみたいだ。

 そうして、ほぼ初対面の相手とのお泊り会を終えた私は意外にも楽しく過ごせた事で自身のコミュニケーション能力が高いという事を証明出来たと自信を持つ事が出来た。
 そして、なんといっても朝食まで用意してくれた夕ちゃんにお礼を言った後、マリアと共にマンションを出て、それから直ぐにマリアとも別れを告げて帰宅した。

 帰宅すると、いつもなら静かなはず室内からなのに何やら私の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。声のする方へ向かうと、ユダが部屋の中をチョコレートの紙くずを散らかしながら部屋の中を這いずりまわっていた。

「ユダちゃん・・・・・・」

「あ、零やっ、なぁうちハラ減ったんやー」

「腹減ったじゃない、酒につけてやろうか?」

「な、なんでや、零がご飯くれへんからこれしか食うもんがなかったんやで」

 私は深くため息をつき、とりあえず部屋の中を綺麗に掃除するところからはじめた。

「まさか、チョコレート全部食ったわけないよね」

「・・・・・・」

 ユダは天を仰いでいる、わたしはすぐさま冷凍庫のなかを確認すると見事に中に入ったチョコレートが食い散らかされていた。

「あのさ、なんで守護霊が主の食い物を勝手に食い散らかすの?」

「せ、せやかてハラ減ったんやからしゃあないやろー」

「こんだけ食っといてまだ腹減ったとかありえないっ」

 私は直ぐに買い物に行くべく掃除を大急ぎで済ませ、玄関を出た、なにやらユダもついてくるようで私の首に巻きついてきた。

 家から数十分歩いたところに大きなショッピングモールが有り、私はそこに向かっていた。理由は勿論ユダに食われたチョコレートを買いに行くためだ。
 基本的にコンビニでなんでもすますが、私のお気に入りのチョコレートはこのモールにしか売っていないし、なにより量が揃っていない。

 しかし、このモール唯一の欠点は人が多いこと。品揃えもいいし、食品だけでなく色々な店舗がはいっていて、非常に便利、だけど、人が多い。

 まぁ、大きなお店だから仕方ない、いつもあそこに行くたびにたった一人でモールを好きなだけ歩きまわって買い物したいという気持ちを持ってしまう。

 そんな事を思いながら歩いていると、ショッピングモールの警備員に呼び止められた。

 普段話しかけられることのない私は動揺して本当に私に話しかけているのか確かめるため辺りを見渡すもそれらしき人はおらず、警備員は何やらジリジリと腰を引きながら近寄ってくる。

 そして警備員は「きみ、その首のものをどうにかしなさい」と注意してきた。

 首のもの、別にネックレスを舌覚えもないし、首にたいそれたものをつけた覚えはない、私はもう一度警備員を見て何のことだか確かめようとすると、警備員は「ヘビ、ヘビ」と連呼している。

 その一言でようやく気がついた私は一目散にその場から立ち去り首元にいるユダを引き剥がした。

「ちょっとユダちゃん」

「なんや?」

「思えば夕ちゃんの時もそうだったけどユダちゃんって普通に見えてるの?」

「せや」

「なんで言ってくれなかったの?」

 そんな質問にユダは平然としている。

「いや、零がうち見えてる言うことは幽霊やないってわかるやろ?」

「わかんないっ」

 ここ数日の世界観にすっかり惑わされた私はユダが幽霊の類だから首に巻きつかれても大したことはないだろうと過信していた。

 しかし、どうもこのおかしな現実はそう上手くは行かないらしい。

 そう、ユダは普通の人間に見られている、用はただのヘビ、そして私はヘビ愛好家の女として世間にいる人々を驚かしていた。

「どうするの、家に戻るのは面倒だよ」

「せやから、うちと一緒やと何があかんのや?」

「ああいう場所はペットとかはダメなの」

 私は直ぐにユダをエコバッグの中に入れて隠した。

 そして、ようやくついたショッピングモールの食品売り場で買い物をしていると、ふと昨日の二人の料理を思い出した。
 すると、私も少しだけ料理してみようという気持ちが芽生えてしまい、一番簡単であろうカレーの食材と、もうすぐ無くなりそうになっていた調味料を買って家路についた。

 そして、そんな帰り道、もう人通りも少なくなりユダは直ぐにエコバッグの中から飛び出し私の首に巻きついた。

 私はそんな行動にため息をしつつも歩いていると、自宅前の電信棒に何やら見たことのあるシルエットが見え、近づくにつれその姿をはっきりと確認することが出来た。

「ユダちゃん、あいつまたいるんだけど」

 そこにはロングコートをきた盗撮幽霊いた。

「んぁ、あぁ、もうほっといたほうがええで、対して悪いことしとらんみたいやから」

「いや、してるから」

「ほーなんか?」

「そう、夕ちゃん盗撮してたの」

「夕ちゃんて、昨日一緒におった子か?」

「そう、フワフワじゃなくて、小さくて可愛い方」

「あぁそうか、じゃあ邪魔やったら退治しとくか?」

「ちょっと待って」

 どうしよう、このまま幽霊退治が習慣になったりして、いつの間にかわたしはこの町を影で守る正義の味方みたいになって、事あるごとに幽霊退治をせがまれないだろうか。
 あるいは変に幽霊退治しすぎて謎の組織から勧誘を受けたり、狙われたりしないだろうか、慎重に考えなければならない所だ。

「何や難しい顔して別にほっといてもええと思うけどな」

「うーん、あ、そういえばさ思ったんだけど基本的に幽霊の方から私達に触れることって出来ないんだよね」

「せや、ある一定の条件を満たすと人間に干渉することが出来る」

「その条件っていうのは?」

 私がそう聞くとしばらくユダは喋らず舌をちろちろと出し入れしていた。

「零、自分こういう事にあんまり首突っ込みたないんちゃうんか?」

「それは、そうだけど」

「ほなら、ちゃっちゃと帰ろか」

 何やら急に冷たい態度を取るユダに疑問を抱きながらも私はユダの言うとおりにした。

「うん・・・・・・っていうか何しきってんの、守護霊なんだから偉そうにしないで」

 そう思い電信棒で息をあらげる幽霊を無視しながら私は自宅に帰った。そうだ、私はこんな奇想天外で奇々怪々の世界に浸ろうとは思っていない、むしろ私をこんな世界に引きずり込むかのようにまとわりついてくるマリアやユダには勘弁してほしい。

 あくまで私は女子高生として学園生活を楽しみ青春を謳歌するために日々を過ごしている。

 ならば階段で一人寂しく過ごすのはおかしいなんて思うかもしれないがそれは違う、私は放課後や昼休みくらいにしかあそこにはいかない、いわばクラブ活動のようなものだ、「階段部」いや「昇降部」の方が活動的にはあっているかも。

 それに私にだって友達は出来たみたいだし、これからは階段だけではない楽しい生活が待っているかもしれない。

 とにかく私が思うのは高校生なら高校生らしく学校という枠の中で目一杯楽しまなけりゃ損だということ、ばかみたいな世界に行きたいのなら、別に高校生活を終えてからでも十分だと私は思う。
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