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猫地蔵編
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そう言って、今度は三階にあるペットショップに行くと家族つれからカップル、ご高齢の方々まで様々な年齢層の人が集まっていた。
ペットというのはそんなにも癒やされるものなのだろうか、私からしてみれば迷惑この上ない印象しかない。
そう思い、隣にいるマリアのことを見ていると、彼女は私の隣でガラスの向こう側のイヌと会話していた。
「零さん見てください、このイヌ可愛いですよ」
マリアは、小さな柴犬を見つめ、顔をふにゃふにゃに緩めながらガラスに張り付かんとしていた。
夢中になったマリアを動かすのには、相当数のコミュニケーションが必要だと思った私は、とりあえず彼女の目が覚めるまでの間、ペットショップを見渡すことにした。
イヌ、ネコから爬虫類、げっ歯類などなど、可愛い物から可愛くない動物まで、沢山の種類のペットたちが売られていた。
うちにもペットのようなものはいるけど、どうにもペットという感じがしない、言葉を喋るからだろうけど、どうも同じ人間が私の家に居候しているみたいで、なんだか不思議な気分だ。
そう思っていると、ペットの小物コーナのようなものがあり、そこには首輪やらペットフードが売っていた。そうだ、ユダに首輪とかをつければペットらしさが滲みでるかもしれない。
しかし、思えばユダはオスとメスどっちなんだろう?
確か私の足がどうとかどうとか言っていたからおっさんだったり、いやでもチョコとか甘いもの好きを考えると女の子かも知れない。
まぁ、性別はともかくヘビに首輪は難しいか。なんて事を思いながら店内を見渡していると、どうやらネコが一番人気らしく沢山の人が集まっていた。
ネコはけっして嫌いではないが、あまりいい思い出がない。
というのも、野良猫がうちの自宅近くによく現れるのだが、どうにも人に慣れていないのか、いつも出逢えば威嚇をされてしまう。
個人的には触って癒やされたいんだけど、嫌なら仕方がない。この際餌で釣ればなんとか懐いてくれたり、なんて思っていると、幾度か経験したことのある腰に来る衝撃を感じた。
勿論、犯人は痴漢でもなく、母親と間違えた子どもでもないことはわかっているので腰に回された手の甲をつねってやると大声を上げるマリアがいた。
「いい加減腰に抱きつくのはやめたほうがいいと思うんだけど」
「お、怒らないでくださいよ、不可抗力です不可抗力」
そしてマリアの姿をよく見ると先ほどまでスカスカだったリュックがパンパンになっていた。
「何買ったの?」
「秘密です、旅行の時に役立ちますのでたくさん買いました」
「旅行に使うものがペットショップにあるの?」
「え、あ、いやー、あ、そうだお腹すきましたねー、お昼ごはんですねー」
突然動揺したマリアは白々しく私の元から離れていった。
怪しい、絶対何か隠してる、今にも私の勘が働いて髪の毛がピーンと跳ね上がりそうなくらい今のマリアは怪しかった。だけど、私もなんだかお腹がすいてきたので、彼女の言うように昼食でも取りに行くことにした。
昼食は簡単にフードコートで済ますことにした、どうせ明日から旅館で美味しいものを食べられると期待した私は、ここで安上がりに済ましても構わないだろうと思った。
私は席取り、マリアは買い出しをしてくれた。
すると危なげにトレイを持ってコチラに向かってくるマリアがいた。そしてようやく辿り着いたトレイの上には、たこ焼き、クレープ、ポップコーン、焼きそば、スムージーなどなど、まるで祭りにでも来たような気分になる品揃えだった。
「すごいですよね、お祭りに来た気分です」
「マリアに頼んだ私が悪いのか、入っている店が悪いのか」
「何ですか?」
「なんでもない、頂きます」
そう言って私はスムージーに手を付け、マリアはたこ焼きを熱そうに頬張りながら頬に手を当てて満足気にしていた。
「そういえば、明日から行く旅館ってどんな所なの?」
「んうっ」
「いや、飲み込んでからでいいから」
そう言うとマリアは胸をトントンと叩きながら口の中のものをごくんと飲み込んだ。
「えーっとですね、確か風情のある良い所らしいですよ」
「そりゃあ、温泉ってそういうもんじゃないの?」
「えーっと、温泉が有名」
「だからさぁ」
「わかりました分かりました、確かカバンに雑誌が入ってたはずです」
そう言ってマリアはいそいそとリュックの中から旅行県連の雑誌を取り出し、私に渡してくれた。
早速ページをペラペラとめくっていると付箋の付けられたページあったので開いてみると、そこにはとても大きな旅館と高級そうな料理の写真が並んだ写真が写っていた。
まさか高校生にしてこんな良い所に行けるのかと思わず胸を高鳴らせた。
「いい所だね、旅館は大きいし料理も美味しそう、ねっ」
「そうですね」
「あのさ、ちゃんと見てるの?」
「え?」
食べ物を頬張りながらページを見るマリアは何やら納得したように頭を上下に動かした。
「これですよ、明日行く所はここです」
マリアは高級旅館のページをパラパラと乱雑にめくっていき雑誌の終わりの方にある、ちょっとした広告掲載ページの「招喜《まねき》旅館」というページを見せてきた。
「え、ここなの?」
「はい」
マリアが指し示すページには、さっきの高級旅館とは程遠い寂れた様子がうかがえる、気味の悪い旅館だった。
「あのさ、ここ大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ、ここもれっきとした旅館なんですから、秘湯とよばれる温泉が幾つもあるみたいですよ」
「秘湯かぁ・・・・・・まぁ、悪くないか」
「零さん、温泉とか好きですか?」
「好きと言えるほど入ったことは無いけど、普通のお風呂よりはいいと思うかな」
「そうですか、私は苦手です、直ぐにのぼせちゃいますからね」
「お風呂とかあんまり入らないの?」
「シャワーが多いですかねぇ」
大方辛抱ならなくなって直ぐに風呂から出てしまうんだろう。
「でも、それなら何でこのチケット貰ったの?」
「それは、あれですよ、友達と旅行ってすごく楽しそうじゃないですか」
「まぁ」
「それにその旅館は・・・・・・」
「何?」
「なっ、なんでもないです」
何やら意味ありげな態度を取られた私はマリアに疑いの目を見せたが、彼女は全く目を合わそうとせず、ただひたすらたこ焼きをがっついていた。どうやら私にはたこ焼きを一つもくれないみたいだ。
そうして、奇妙な食事を終えた私達は明日の旅行に必要な物を買い揃え、明日も朝が早いため日が暮れ始める前にマリアと解散し、足早に家に戻った。
マリアがほとんど計画を立ててくれているようで、私は彼女についていくだけなんだけど、少しばかり不安なところもある。
あとは、マリアがちゃんと私を招喜温泉とやらに連れて行ってくれるかどうかだ。
マリアのことだから寝坊しましたとか、電車に乗り間違えたとか、時間を間違えましたとか、切符忘れちゃいましたとか言って私を混乱させるんじゃないだろうかと心配になってきた。
そして、一番の懸案事項、私の隣でニョロニョロと這いずり回るユダをどうするかだけだ。
「ユダちゃん」
私の呼びかけに敏感に反応してくれるユダ、やはりペットというより一人の人と一緒に生活しているような気分になる。
「何や?」
「私、明日から旅行だからお留守番よろしくね」
「な、何でや、うちも連れてってくれるんとちゃうんか?」
予想通りの返答に呆れつつもユダは私の足をはい登ってくる。それはまるで寂しさを目いっぱい伝えてくるようで、なんだか愛おしく思えた。
「や、止めてよ、それ結構苦手なんだから」
「なぁ、連れてってーなー、別にええやろ一緒に行くくらい」
「でも、また変なの見るの嫌なんだけど」
「いやいや、なるべく、くっつかんようにするさかい、なぁ」
「うーん、どうしようかな」
「それに、守護する霊やさかい、うちと一緒にいるってことはかなりご利益があるんやで、お守りの超上位互換や」
「例えばどんなご利益があるの?」
「あんまり人に絡まれへん」
「それはどうなの?」
「いや、人と関わらんかったらトラブルには巻き込まれへんやろ、のんびり過ごせるで」
「それはそうだけど、もしかしてユダちゃんのせいで私はあんまり友達がいないとか無いよね?」
「ちゃうちゃう、それはまったくもってそれは自分のせいや」
「それはそれでなんかいやなんだけど、まぁ一緒に行くしかないか」
「それでこそやで零、よっ美少女霊媒師」
あんまりくっつかないと言った側から私の身体に絡みつき離れようとしないユダはどこか愛らしくも思えた。
もはやこれではペットというより弟か、妹ができた気分になってしまった私は、とりあえずバッグに着替えと化粧品を詰め込んで明日に備えることにした。
そして 夜を迎え布団に入って明日のためにしっかり睡眠を取ろうと思ったのが間違いだったのか、中々寝付けることが出来ず、隣では気持ちよさそうにユダがだらだらと寝転がりながら寝ている。
ちょっと明日が特別な日だからと興奮しているのだろうか、いや、確かにまともに人と遊びに行ったことのない私にとって明日の友達との温泉旅行というのは非常に難易度が高いのかもしれない。
でも、ゆーちゃんの時もマリアとは泊まってるし、大して変わりは無いかも知れないが、私の脳と目は冴えてしまい、目を閉じたとしても頭のなかでは寝る前に聞いた音楽の印象的なメロディが頭のなかをひたすらリピートして眠る事が出来ない。
そうだ、こういう時は確かHな事を考えればいいとか何とか・・・・・・
いやいや違う、ネガティブなことを考えれば自然と身体の機能が低下していって睡眠に入りやすいって言っていたような気がする。ネガティブなことといえば、ここ最近の我が身に降りかかった幽霊関係のことを思い出した。
学ラン姿のメガネ幽霊に、変態カメラ幽霊、おまけに学校には長身キツネ目幽霊と、まともなものが出てこない、もっと髪の長い女性とか、オカッパ頭の少女とかのほうが、まだ可愛げがあるというのに。
もしかするとよくある怪談話は別として、ホラー映画に出てくる幽霊が女性というのは作者が幽霊好きだから、好みの女性の幽霊を描きたいだけなんじゃないだろうか?
だからテレビから現実世界に出てきて欲しいとか、トイレの中に小さな女の子がいてほしかったり・・・・・・だめだ、そうとしか思えなくなってきたな。
なんてことを考えているうちに、うれしいことにうとうととしてきて、そのまま眠りにつくことが出来そうだ。
ペットというのはそんなにも癒やされるものなのだろうか、私からしてみれば迷惑この上ない印象しかない。
そう思い、隣にいるマリアのことを見ていると、彼女は私の隣でガラスの向こう側のイヌと会話していた。
「零さん見てください、このイヌ可愛いですよ」
マリアは、小さな柴犬を見つめ、顔をふにゃふにゃに緩めながらガラスに張り付かんとしていた。
夢中になったマリアを動かすのには、相当数のコミュニケーションが必要だと思った私は、とりあえず彼女の目が覚めるまでの間、ペットショップを見渡すことにした。
イヌ、ネコから爬虫類、げっ歯類などなど、可愛い物から可愛くない動物まで、沢山の種類のペットたちが売られていた。
うちにもペットのようなものはいるけど、どうにもペットという感じがしない、言葉を喋るからだろうけど、どうも同じ人間が私の家に居候しているみたいで、なんだか不思議な気分だ。
そう思っていると、ペットの小物コーナのようなものがあり、そこには首輪やらペットフードが売っていた。そうだ、ユダに首輪とかをつければペットらしさが滲みでるかもしれない。
しかし、思えばユダはオスとメスどっちなんだろう?
確か私の足がどうとかどうとか言っていたからおっさんだったり、いやでもチョコとか甘いもの好きを考えると女の子かも知れない。
まぁ、性別はともかくヘビに首輪は難しいか。なんて事を思いながら店内を見渡していると、どうやらネコが一番人気らしく沢山の人が集まっていた。
ネコはけっして嫌いではないが、あまりいい思い出がない。
というのも、野良猫がうちの自宅近くによく現れるのだが、どうにも人に慣れていないのか、いつも出逢えば威嚇をされてしまう。
個人的には触って癒やされたいんだけど、嫌なら仕方がない。この際餌で釣ればなんとか懐いてくれたり、なんて思っていると、幾度か経験したことのある腰に来る衝撃を感じた。
勿論、犯人は痴漢でもなく、母親と間違えた子どもでもないことはわかっているので腰に回された手の甲をつねってやると大声を上げるマリアがいた。
「いい加減腰に抱きつくのはやめたほうがいいと思うんだけど」
「お、怒らないでくださいよ、不可抗力です不可抗力」
そしてマリアの姿をよく見ると先ほどまでスカスカだったリュックがパンパンになっていた。
「何買ったの?」
「秘密です、旅行の時に役立ちますのでたくさん買いました」
「旅行に使うものがペットショップにあるの?」
「え、あ、いやー、あ、そうだお腹すきましたねー、お昼ごはんですねー」
突然動揺したマリアは白々しく私の元から離れていった。
怪しい、絶対何か隠してる、今にも私の勘が働いて髪の毛がピーンと跳ね上がりそうなくらい今のマリアは怪しかった。だけど、私もなんだかお腹がすいてきたので、彼女の言うように昼食でも取りに行くことにした。
昼食は簡単にフードコートで済ますことにした、どうせ明日から旅館で美味しいものを食べられると期待した私は、ここで安上がりに済ましても構わないだろうと思った。
私は席取り、マリアは買い出しをしてくれた。
すると危なげにトレイを持ってコチラに向かってくるマリアがいた。そしてようやく辿り着いたトレイの上には、たこ焼き、クレープ、ポップコーン、焼きそば、スムージーなどなど、まるで祭りにでも来たような気分になる品揃えだった。
「すごいですよね、お祭りに来た気分です」
「マリアに頼んだ私が悪いのか、入っている店が悪いのか」
「何ですか?」
「なんでもない、頂きます」
そう言って私はスムージーに手を付け、マリアはたこ焼きを熱そうに頬張りながら頬に手を当てて満足気にしていた。
「そういえば、明日から行く旅館ってどんな所なの?」
「んうっ」
「いや、飲み込んでからでいいから」
そう言うとマリアは胸をトントンと叩きながら口の中のものをごくんと飲み込んだ。
「えーっとですね、確か風情のある良い所らしいですよ」
「そりゃあ、温泉ってそういうもんじゃないの?」
「えーっと、温泉が有名」
「だからさぁ」
「わかりました分かりました、確かカバンに雑誌が入ってたはずです」
そう言ってマリアはいそいそとリュックの中から旅行県連の雑誌を取り出し、私に渡してくれた。
早速ページをペラペラとめくっていると付箋の付けられたページあったので開いてみると、そこにはとても大きな旅館と高級そうな料理の写真が並んだ写真が写っていた。
まさか高校生にしてこんな良い所に行けるのかと思わず胸を高鳴らせた。
「いい所だね、旅館は大きいし料理も美味しそう、ねっ」
「そうですね」
「あのさ、ちゃんと見てるの?」
「え?」
食べ物を頬張りながらページを見るマリアは何やら納得したように頭を上下に動かした。
「これですよ、明日行く所はここです」
マリアは高級旅館のページをパラパラと乱雑にめくっていき雑誌の終わりの方にある、ちょっとした広告掲載ページの「招喜《まねき》旅館」というページを見せてきた。
「え、ここなの?」
「はい」
マリアが指し示すページには、さっきの高級旅館とは程遠い寂れた様子がうかがえる、気味の悪い旅館だった。
「あのさ、ここ大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ、ここもれっきとした旅館なんですから、秘湯とよばれる温泉が幾つもあるみたいですよ」
「秘湯かぁ・・・・・・まぁ、悪くないか」
「零さん、温泉とか好きですか?」
「好きと言えるほど入ったことは無いけど、普通のお風呂よりはいいと思うかな」
「そうですか、私は苦手です、直ぐにのぼせちゃいますからね」
「お風呂とかあんまり入らないの?」
「シャワーが多いですかねぇ」
大方辛抱ならなくなって直ぐに風呂から出てしまうんだろう。
「でも、それなら何でこのチケット貰ったの?」
「それは、あれですよ、友達と旅行ってすごく楽しそうじゃないですか」
「まぁ」
「それにその旅館は・・・・・・」
「何?」
「なっ、なんでもないです」
何やら意味ありげな態度を取られた私はマリアに疑いの目を見せたが、彼女は全く目を合わそうとせず、ただひたすらたこ焼きをがっついていた。どうやら私にはたこ焼きを一つもくれないみたいだ。
そうして、奇妙な食事を終えた私達は明日の旅行に必要な物を買い揃え、明日も朝が早いため日が暮れ始める前にマリアと解散し、足早に家に戻った。
マリアがほとんど計画を立ててくれているようで、私は彼女についていくだけなんだけど、少しばかり不安なところもある。
あとは、マリアがちゃんと私を招喜温泉とやらに連れて行ってくれるかどうかだ。
マリアのことだから寝坊しましたとか、電車に乗り間違えたとか、時間を間違えましたとか、切符忘れちゃいましたとか言って私を混乱させるんじゃないだろうかと心配になってきた。
そして、一番の懸案事項、私の隣でニョロニョロと這いずり回るユダをどうするかだけだ。
「ユダちゃん」
私の呼びかけに敏感に反応してくれるユダ、やはりペットというより一人の人と一緒に生活しているような気分になる。
「何や?」
「私、明日から旅行だからお留守番よろしくね」
「な、何でや、うちも連れてってくれるんとちゃうんか?」
予想通りの返答に呆れつつもユダは私の足をはい登ってくる。それはまるで寂しさを目いっぱい伝えてくるようで、なんだか愛おしく思えた。
「や、止めてよ、それ結構苦手なんだから」
「なぁ、連れてってーなー、別にええやろ一緒に行くくらい」
「でも、また変なの見るの嫌なんだけど」
「いやいや、なるべく、くっつかんようにするさかい、なぁ」
「うーん、どうしようかな」
「それに、守護する霊やさかい、うちと一緒にいるってことはかなりご利益があるんやで、お守りの超上位互換や」
「例えばどんなご利益があるの?」
「あんまり人に絡まれへん」
「それはどうなの?」
「いや、人と関わらんかったらトラブルには巻き込まれへんやろ、のんびり過ごせるで」
「それはそうだけど、もしかしてユダちゃんのせいで私はあんまり友達がいないとか無いよね?」
「ちゃうちゃう、それはまったくもってそれは自分のせいや」
「それはそれでなんかいやなんだけど、まぁ一緒に行くしかないか」
「それでこそやで零、よっ美少女霊媒師」
あんまりくっつかないと言った側から私の身体に絡みつき離れようとしないユダはどこか愛らしくも思えた。
もはやこれではペットというより弟か、妹ができた気分になってしまった私は、とりあえずバッグに着替えと化粧品を詰め込んで明日に備えることにした。
そして 夜を迎え布団に入って明日のためにしっかり睡眠を取ろうと思ったのが間違いだったのか、中々寝付けることが出来ず、隣では気持ちよさそうにユダがだらだらと寝転がりながら寝ている。
ちょっと明日が特別な日だからと興奮しているのだろうか、いや、確かにまともに人と遊びに行ったことのない私にとって明日の友達との温泉旅行というのは非常に難易度が高いのかもしれない。
でも、ゆーちゃんの時もマリアとは泊まってるし、大して変わりは無いかも知れないが、私の脳と目は冴えてしまい、目を閉じたとしても頭のなかでは寝る前に聞いた音楽の印象的なメロディが頭のなかをひたすらリピートして眠る事が出来ない。
そうだ、こういう時は確かHな事を考えればいいとか何とか・・・・・・
いやいや違う、ネガティブなことを考えれば自然と身体の機能が低下していって睡眠に入りやすいって言っていたような気がする。ネガティブなことといえば、ここ最近の我が身に降りかかった幽霊関係のことを思い出した。
学ラン姿のメガネ幽霊に、変態カメラ幽霊、おまけに学校には長身キツネ目幽霊と、まともなものが出てこない、もっと髪の長い女性とか、オカッパ頭の少女とかのほうが、まだ可愛げがあるというのに。
もしかするとよくある怪談話は別として、ホラー映画に出てくる幽霊が女性というのは作者が幽霊好きだから、好みの女性の幽霊を描きたいだけなんじゃないだろうか?
だからテレビから現実世界に出てきて欲しいとか、トイレの中に小さな女の子がいてほしかったり・・・・・・だめだ、そうとしか思えなくなってきたな。
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