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第1話 学園の魔法使い候補生
scene3 放課後の活動
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マジック・ラボの扉の前に立って、深く息を吸って吐いた。ここの門をくぐり抜ければ、僕は戦士になる。
生徒から戦士へ。
戦士と言っても戦士候補生なのだから生徒であることには変わりないのだが、将来的に戦うことを職にする人なら変わりない。
僕は戦士になる。
マジック・ラボに入るにはいくつかのロックを解除しなければいけない。国家機関であるので、さらに国家機密の域でもあるので、容易に一般生徒を入れるわけにはいかない。立ち入り禁止区域といってもやはり興味本位でここに来る生徒はいる。生徒の安全のためにも、ラボには入らせたくない。
指紋、網膜、声帯、静脈の認証をくぐり抜け、ようやくラボに来た。もうすでに僕ら以外の全員、ラボに所属する全員――ラボの室長と候補生の先輩方の全員はやって来ていて、僕らに冷たい視線を向けていた。円形になったテーブルを五人で囲んでいる。
「早く席につけ」
「すみません」
「ごめんなさい」
室長の化学教師、神代巽先生の低く鋭い声は耳に刺さった。
僕らが席につくと、ようやく会議が始まった。
「赤嶺、今日のヤツの基本情報と担当者の発表を」
「はい」
室長は視線で赤嶺――三年の赤嶺茜先輩を指名した。赤嶺先輩は立ち上がって手に持つ資料に目を向けた。資料を見ながら報告する。
「ターゲットは高等部一年三組の橋本かなで、十五歳。同じクラスの藤川晴音の血を吸い、死亡させました。弱属性が光なので、月村に出てもらおうと思います。以上です」
赤嶺先輩が着席した。
弱属性というのはヴァンパイアが最も苦手とする魔法の属性のことである。ヴァンパイアにも人間と同様に個体差があって、それぞれに苦手なものがある。それが炎であったり、聖水であったり、太陽光であったり、さまざまだ。今回は弱属性が光なので、僕にお呼びがかかったというわけだ。
室長が僕を見る。
「月村、頼むぞ」
「了解しました」
「では、会議を終了する。各自の仕事をしてくれ」
「はい」
全員の返事が揃ったところで、会議は終了した。
早速仕事の準備に取りかかった。とはいえど、やることは少ない。武器を装着して、相手の情報を確認するのみだ。
僕の武器は――銃。全てのヴァンパイアの弱点である銀の弾丸を撃つことができる。これだけでも始末することができるが、ヴァンパイアは基本的に身体能力が高いからそれだけでは敵わないことが多い。
「クロム、弾丸の予備を持って行ってね。この前は忘れちゃって大変だったんだから」
美絵里ちゃんはパソコンの画面を見ながら言った。彼女も候補生だが、実際には戦わない。彼女はオペレーターの候補生だ。
オペレーターの仕事は、データから最良の戦闘方法を導き出すこと。実際にやり合うわけではないが、戦いには絶対に欠かせない大切な仲間だ。魔法使いはオペレーターとペアを組んで、二人でヴァンパイアの取り締まりを行うのが普通だ。
準備が完了した。銃弾の予備も持ったし、完璧だ。
「では、先生。行ってきます」
先生と先輩方に無言で送り出されて、ラボを出た。
生徒から戦士へ。
戦士と言っても戦士候補生なのだから生徒であることには変わりないのだが、将来的に戦うことを職にする人なら変わりない。
僕は戦士になる。
マジック・ラボに入るにはいくつかのロックを解除しなければいけない。国家機関であるので、さらに国家機密の域でもあるので、容易に一般生徒を入れるわけにはいかない。立ち入り禁止区域といってもやはり興味本位でここに来る生徒はいる。生徒の安全のためにも、ラボには入らせたくない。
指紋、網膜、声帯、静脈の認証をくぐり抜け、ようやくラボに来た。もうすでに僕ら以外の全員、ラボに所属する全員――ラボの室長と候補生の先輩方の全員はやって来ていて、僕らに冷たい視線を向けていた。円形になったテーブルを五人で囲んでいる。
「早く席につけ」
「すみません」
「ごめんなさい」
室長の化学教師、神代巽先生の低く鋭い声は耳に刺さった。
僕らが席につくと、ようやく会議が始まった。
「赤嶺、今日のヤツの基本情報と担当者の発表を」
「はい」
室長は視線で赤嶺――三年の赤嶺茜先輩を指名した。赤嶺先輩は立ち上がって手に持つ資料に目を向けた。資料を見ながら報告する。
「ターゲットは高等部一年三組の橋本かなで、十五歳。同じクラスの藤川晴音の血を吸い、死亡させました。弱属性が光なので、月村に出てもらおうと思います。以上です」
赤嶺先輩が着席した。
弱属性というのはヴァンパイアが最も苦手とする魔法の属性のことである。ヴァンパイアにも人間と同様に個体差があって、それぞれに苦手なものがある。それが炎であったり、聖水であったり、太陽光であったり、さまざまだ。今回は弱属性が光なので、僕にお呼びがかかったというわけだ。
室長が僕を見る。
「月村、頼むぞ」
「了解しました」
「では、会議を終了する。各自の仕事をしてくれ」
「はい」
全員の返事が揃ったところで、会議は終了した。
早速仕事の準備に取りかかった。とはいえど、やることは少ない。武器を装着して、相手の情報を確認するのみだ。
僕の武器は――銃。全てのヴァンパイアの弱点である銀の弾丸を撃つことができる。これだけでも始末することができるが、ヴァンパイアは基本的に身体能力が高いからそれだけでは敵わないことが多い。
「クロム、弾丸の予備を持って行ってね。この前は忘れちゃって大変だったんだから」
美絵里ちゃんはパソコンの画面を見ながら言った。彼女も候補生だが、実際には戦わない。彼女はオペレーターの候補生だ。
オペレーターの仕事は、データから最良の戦闘方法を導き出すこと。実際にやり合うわけではないが、戦いには絶対に欠かせない大切な仲間だ。魔法使いはオペレーターとペアを組んで、二人でヴァンパイアの取り締まりを行うのが普通だ。
準備が完了した。銃弾の予備も持ったし、完璧だ。
「では、先生。行ってきます」
先生と先輩方に無言で送り出されて、ラボを出た。
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