4 / 68
行き過ぎた愛は嫉妬を生む 第1話
scene3 逢坂家の屋敷にて調査開始
しおりを挟む
僕はそのまま、逢坂家の屋敷に招かれる運びとなった。車内で理由は教えてもらえず、ただ言われるがままに黒い輝きを放つ長い車――たしかリムジンといったはずだ――に揺られた。
車に揺られて二十分、ヨーロッパ風の邸宅に到着すると、広いリビングに案内された。三〇畳ほどの部屋に三人掛けと一人掛けのソファが一つずつ、壁には暖炉があり、上品なデザインのリビングテーブルが置かれている。カーペットや壁紙も高そうなものを使っている。
思わず部屋を見渡していると、メイドの格好の人が入ってきて紅茶とお菓子を持って来て、テーブルに置いた。そしてメイドは部屋の端の方に立って、待機した。
「立ってないで座って。とりあえず、ここに連れてきた理由を話すわ」
僕ははるねさんと向かい合うように座って、お菓子に手を伸ばした。パステルカラーのマカロンである。すごく美味しい。甘い味と匂い、一口サイズで、味も大きさも最高だ。
はるねさんは改まってこっちに向き直すと、ここへ連れてきた理由を話し始めた。
「あなたには、仕事が終わるまでの間、ここに住んでほしいの」
「それは困りますよ、はるねさん。ここにいたら、他の仕事を受けられないじゃないですか」
「それが目的よ。他に依頼を受けられちゃ、あたしの依頼に専念してくれないじゃない。申し訳ないとは思うけど、あたしは一刻も早く桐原に会いたいの」
「何か、大切な用事でもあるんですか?」
「そんなのないわよ」
はるねさんは間髪入れずに言った。
「執事もメイドもあたしの家族だもの。家族に会いたいと思うのは当然でしょ」
その言葉で、ようやく『いくらでも払うから』の意味を理解できた。きっと、あなたの財産の全てを下さいと言ったら、残らず全部くれるだろう。家族より大切なものなんてない。ああ、お金で受けたのが恥ずかしい。
「分かりました。この仕事の最中はここに住まわせてもらい、この仕事のみを行います」
「感謝するわ」
はるねさんは「大川」と奥に立つメイドに向かって言うと、メイドはさっさとこっちに来た。
「このメイドを世話係につけてあげる。大川桜子というわ。ここに来て日は浅いけど、立派なメイドだから安心して。大川、あいさつなさい」
「大川桜子と申します。よろしくお願いします」
「九条創真です。しばらくお世話になります」
「よし、これで準備は完了ね。じゃあ、早速始めてもらって結構よ」
はるねさんはマカロンを一つ口の中に放り込むと、立ち上がった。
「屋敷にいる使用人を自由に使っていいわよ。何か欲しいものがあったらあたしに言ってちょうだい。できる限り用意するわ。あ、それから、『はるねさん』なんて呼ばないで。あたしは年下よ」
はるね――ちゃんは僕にそう言うとリビングを出て行った。
さて、調査を始めよう。
車に揺られて二十分、ヨーロッパ風の邸宅に到着すると、広いリビングに案内された。三〇畳ほどの部屋に三人掛けと一人掛けのソファが一つずつ、壁には暖炉があり、上品なデザインのリビングテーブルが置かれている。カーペットや壁紙も高そうなものを使っている。
思わず部屋を見渡していると、メイドの格好の人が入ってきて紅茶とお菓子を持って来て、テーブルに置いた。そしてメイドは部屋の端の方に立って、待機した。
「立ってないで座って。とりあえず、ここに連れてきた理由を話すわ」
僕ははるねさんと向かい合うように座って、お菓子に手を伸ばした。パステルカラーのマカロンである。すごく美味しい。甘い味と匂い、一口サイズで、味も大きさも最高だ。
はるねさんは改まってこっちに向き直すと、ここへ連れてきた理由を話し始めた。
「あなたには、仕事が終わるまでの間、ここに住んでほしいの」
「それは困りますよ、はるねさん。ここにいたら、他の仕事を受けられないじゃないですか」
「それが目的よ。他に依頼を受けられちゃ、あたしの依頼に専念してくれないじゃない。申し訳ないとは思うけど、あたしは一刻も早く桐原に会いたいの」
「何か、大切な用事でもあるんですか?」
「そんなのないわよ」
はるねさんは間髪入れずに言った。
「執事もメイドもあたしの家族だもの。家族に会いたいと思うのは当然でしょ」
その言葉で、ようやく『いくらでも払うから』の意味を理解できた。きっと、あなたの財産の全てを下さいと言ったら、残らず全部くれるだろう。家族より大切なものなんてない。ああ、お金で受けたのが恥ずかしい。
「分かりました。この仕事の最中はここに住まわせてもらい、この仕事のみを行います」
「感謝するわ」
はるねさんは「大川」と奥に立つメイドに向かって言うと、メイドはさっさとこっちに来た。
「このメイドを世話係につけてあげる。大川桜子というわ。ここに来て日は浅いけど、立派なメイドだから安心して。大川、あいさつなさい」
「大川桜子と申します。よろしくお願いします」
「九条創真です。しばらくお世話になります」
「よし、これで準備は完了ね。じゃあ、早速始めてもらって結構よ」
はるねさんはマカロンを一つ口の中に放り込むと、立ち上がった。
「屋敷にいる使用人を自由に使っていいわよ。何か欲しいものがあったらあたしに言ってちょうだい。できる限り用意するわ。あ、それから、『はるねさん』なんて呼ばないで。あたしは年下よ」
はるね――ちゃんは僕にそう言うとリビングを出て行った。
さて、調査を始めよう。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
あなた方の愛が「真実の愛」だと、証明してください
こじまき
恋愛
【全3話】公爵令嬢ツェツィーリアは、婚約者である公爵令息レオポルドから「真実の愛を見つけたから婚約破棄してほしい」と言われてしまう。「そう言われては、私は身を引くしかありませんわね。ただし最低限の礼儀として、あなた方の愛が本当に真実の愛だと証明していただけますか?」
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる