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行き過ぎた愛は嫉妬を生む 第1話
scene5 執事代理、菊野広明の証言
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次は菊野さんに会った。彼ははるねちゃんと一緒に雨が降り続く中庭を散歩しているところだった。はるねちゃんは僕を見つけると、気を利かせて彼をこっちに寄越してくれた。
僕はメモ帳とペンを握った。
「……桐原がいない屋敷は寂しいものがあります」
先に口を開いたのは菊野さんの方だった。まるで友人の死を悼むように、視線を落としている。
菊野さんはゆっくりと視線を僕の目に合わせて、続けた。
「最後に桐原を見たのはいつ、どこだ、とお伺いにいらしたのですね」
「その通りです。お聞かせ願いますか?」
「……私が桐原を最後に見たのは、一週間前の午前十一時ごろに買い出しに出かける姿です。お菓子作りの材料を買ってくると言って出ていきました。しかし、三時間経っても帰って来ないので、心配になって電話をしました。お嬢様が仰ったように、電源が切られていました。それから何度もかけましたが、出ることはありませんでした」
最後の方は声が小さくなって、ほとんど聞こえなかった。
「どこにいるか、見当はつきますか?」
「全く分かりません。桐原は外で遊ぶような男ではありませんから……憎いほどまじめな男なのです」
菊野さんはコートのポケットからハンカチを取り出すと、目元を拭った。
「申し訳ありません……私にとって大切な仲間でしたから……彼は私にとっても大きな存在でした」
「桐原さんとは仲が良かったのですか?」
「ええ、まあ。私の役職が執事代理でしたから、彼の代わりをしたり、彼の仕事を手伝ったりしていました」
「桐原さんはどんな人物ですか?」
「決して自分の利益のためには動かない、お嬢様のために全てを捧ぐ人物でした。執事の仕事をさせれば、彼の右に出る者はいないでしょう。しかし、とても堅い男でした。冗談は言わない、いたずらもしない。笑うこともありません」
「それ、結構怖いですよね」
「いえ、男の私でも惚れてしまうような男前でしたから、屋敷の者からは人気がありました」
菊野さんは最後に唇を噛んで、呟くように言った。
「――――私は、彼には到底及ばぬ男なのです」
僕はメモ帳とペンを握った。
「……桐原がいない屋敷は寂しいものがあります」
先に口を開いたのは菊野さんの方だった。まるで友人の死を悼むように、視線を落としている。
菊野さんはゆっくりと視線を僕の目に合わせて、続けた。
「最後に桐原を見たのはいつ、どこだ、とお伺いにいらしたのですね」
「その通りです。お聞かせ願いますか?」
「……私が桐原を最後に見たのは、一週間前の午前十一時ごろに買い出しに出かける姿です。お菓子作りの材料を買ってくると言って出ていきました。しかし、三時間経っても帰って来ないので、心配になって電話をしました。お嬢様が仰ったように、電源が切られていました。それから何度もかけましたが、出ることはありませんでした」
最後の方は声が小さくなって、ほとんど聞こえなかった。
「どこにいるか、見当はつきますか?」
「全く分かりません。桐原は外で遊ぶような男ではありませんから……憎いほどまじめな男なのです」
菊野さんはコートのポケットからハンカチを取り出すと、目元を拭った。
「申し訳ありません……私にとって大切な仲間でしたから……彼は私にとっても大きな存在でした」
「桐原さんとは仲が良かったのですか?」
「ええ、まあ。私の役職が執事代理でしたから、彼の代わりをしたり、彼の仕事を手伝ったりしていました」
「桐原さんはどんな人物ですか?」
「決して自分の利益のためには動かない、お嬢様のために全てを捧ぐ人物でした。執事の仕事をさせれば、彼の右に出る者はいないでしょう。しかし、とても堅い男でした。冗談は言わない、いたずらもしない。笑うこともありません」
「それ、結構怖いですよね」
「いえ、男の私でも惚れてしまうような男前でしたから、屋敷の者からは人気がありました」
菊野さんは最後に唇を噛んで、呟くように言った。
「――――私は、彼には到底及ばぬ男なのです」
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