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行き過ぎた愛は嫉妬を生む 第3話
scene7 ネットカフェでのひらめき
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やってきたのは駅前のネットカフェ『チェリーブロッサム』。そこは駅のホームからも見える大きなネットカフェで、僕も一年前くらいに仕事で来たことがあったから、場所に迷うことはなく到着できた。
さて、ここでやることは二つ。一つはメールの送り主を特定すること。もう一つは桐原さんの目撃情報の収集。前者は菜々穂さんに任せるとして、後者は大川さんと分担して行うことになった。
僕はまずフロントの店員さんに聞いた。
「ここ十日間くらい、写真のような燕尾服のお堅い顔の男、見たことありますか?」
「うん……、私は見てないですが……。他の店員にも聞いてみますね」
「お願いします」
店員は奥のスタッフルームに消えていった。そして、しばらくすると戻ってきて別の店員を連れてきた。
「この人が、見たって言ってました」
さっきの店員は連れてきた人を指して言った。
「本当ですか?」
「はい。ちょうど三、四日前だったと思うんですが、そんな感じの服を着た男の人が半日くらいここにいました」
「本当にこの人でしたか?」
僕が写真を見せると、その人はそれに顔を近づけてよく見た。
「そう、だと思います」
「随分、不確かな言い方ですね」
「いや、だって、その人の服、妙にボロボロだったから。顔もげっそりしてて、具合が悪そうだったし」
「具合が悪そうだった?」
「今にも吐きそうだったっていうか、とにかく見るからに体調が悪そうでした」
ボロボロの服に、具合の悪そうな雰囲気。それがもし本当に桐原さんだとしたら、何があったのだろうか。
具合の悪そうな――――?
思い当たる節があった。
「ありがとうございました!」
僕は大きくお辞儀をして大川さんのところに急いだ。思いついたことを話したかったのだ。
大川さんはカフェの部屋を一つ一つ回っていた。
「大川さん!」
僕は次に行こうとしている彼女を引き留めた。
「九条様、ここはお店でございますよ。お静かに……」
「桐原さんはマーメイド・ユートピアを服用させられたのかもしれません、だとしたら――――」
発見をしたのは僕だけではなかった。菜々穂さんの方も進展したらしく、使用者が何をしていたのかを突き止めていた。
「メールの送り主は、他にも違う内容のメールを、リストを送った人と同じ人に送っていたの。内容は文だけだったり、写真を送っていたりでいろいろだけど、誰かに向けて送っていたって感じだった」
という報告を聞いたのは、車内でのことだった。そのデータは全部USBメモリに移したらしく、彼女のパソコンでも閲覧できた。いくつもあるメールの中で、僕たちは情報として有力なものを見つけた。
送信日は三日前――――はるねちゃんが依頼に来た日の夕方だった。内容は『私今、桜が丘セントルホテルにいます。状況を詳しくお話しできないのはとても申し訳ありませんが、しばらくは変えれそうにありません』と書かれていただけだった。差出人の名前もなければ、メールアドレスも書かれていない。ところどころ誤字や脱字があるところを見ると、きっと急いで書いたものなのだろう。だが、桜が丘のホテルにいることが分かる。
桜が丘にあるホテルは三つあるが、きっと桜が丘セントラルホテルだろう。一文字抜けているが、そこしか考えられない。
僕は大川さんに行き先を桜が丘セントラルホテルに指定し、車を発進させた。
さて、ここでやることは二つ。一つはメールの送り主を特定すること。もう一つは桐原さんの目撃情報の収集。前者は菜々穂さんに任せるとして、後者は大川さんと分担して行うことになった。
僕はまずフロントの店員さんに聞いた。
「ここ十日間くらい、写真のような燕尾服のお堅い顔の男、見たことありますか?」
「うん……、私は見てないですが……。他の店員にも聞いてみますね」
「お願いします」
店員は奥のスタッフルームに消えていった。そして、しばらくすると戻ってきて別の店員を連れてきた。
「この人が、見たって言ってました」
さっきの店員は連れてきた人を指して言った。
「本当ですか?」
「はい。ちょうど三、四日前だったと思うんですが、そんな感じの服を着た男の人が半日くらいここにいました」
「本当にこの人でしたか?」
僕が写真を見せると、その人はそれに顔を近づけてよく見た。
「そう、だと思います」
「随分、不確かな言い方ですね」
「いや、だって、その人の服、妙にボロボロだったから。顔もげっそりしてて、具合が悪そうだったし」
「具合が悪そうだった?」
「今にも吐きそうだったっていうか、とにかく見るからに体調が悪そうでした」
ボロボロの服に、具合の悪そうな雰囲気。それがもし本当に桐原さんだとしたら、何があったのだろうか。
具合の悪そうな――――?
思い当たる節があった。
「ありがとうございました!」
僕は大きくお辞儀をして大川さんのところに急いだ。思いついたことを話したかったのだ。
大川さんはカフェの部屋を一つ一つ回っていた。
「大川さん!」
僕は次に行こうとしている彼女を引き留めた。
「九条様、ここはお店でございますよ。お静かに……」
「桐原さんはマーメイド・ユートピアを服用させられたのかもしれません、だとしたら――――」
発見をしたのは僕だけではなかった。菜々穂さんの方も進展したらしく、使用者が何をしていたのかを突き止めていた。
「メールの送り主は、他にも違う内容のメールを、リストを送った人と同じ人に送っていたの。内容は文だけだったり、写真を送っていたりでいろいろだけど、誰かに向けて送っていたって感じだった」
という報告を聞いたのは、車内でのことだった。そのデータは全部USBメモリに移したらしく、彼女のパソコンでも閲覧できた。いくつもあるメールの中で、僕たちは情報として有力なものを見つけた。
送信日は三日前――――はるねちゃんが依頼に来た日の夕方だった。内容は『私今、桜が丘セントルホテルにいます。状況を詳しくお話しできないのはとても申し訳ありませんが、しばらくは変えれそうにありません』と書かれていただけだった。差出人の名前もなければ、メールアドレスも書かれていない。ところどころ誤字や脱字があるところを見ると、きっと急いで書いたものなのだろう。だが、桜が丘のホテルにいることが分かる。
桜が丘にあるホテルは三つあるが、きっと桜が丘セントラルホテルだろう。一文字抜けているが、そこしか考えられない。
僕は大川さんに行き先を桜が丘セントラルホテルに指定し、車を発進させた。
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