愛情探偵の報告書

雪月 瑠璃

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行き過ぎた愛は嫉妬を生む 第3話

scene8 対象者との接触

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 桜が丘セントラルホテルは桜が丘で最も大きいホテルだ。もちろんビジネスホテルだが、自習室、会議室、マッサージルームなどビジネスマンにはありがたい施設が整えられている。
 僕は対象者に接触するので車に女性二人を残し、一人でホテルの中に入った。落ち着いた雰囲気の広いロビーにはスーツを着た人たちが何人かいた。僕は迷わずフロントに向かい、写真を見せて桐原さんの目撃情報を集めた。
「この人、見たことありますか?」
「見た、ような気がします」
 答えたのは清潔感が漂う若い男性従業員だった。曖昧な答え方には覚えがあった。
「もしかして、こんな感じの堅い服装だったけどボロッボロで具合が悪そうな感じでしたか?」
「はい! その通りです。多分、チェックアウトをされていないはずですから、まだ宿泊されていると思います」
「その人、桐原透吾きりはらとうごさんというのですが、どこに泊まっているか分かりますか?」
「お調べいたします」
 従業員はカウンターの下で何やらペラペラしていると、顔を上げた。
「三○二号室です」
「ありがとうございます」
 僕はすぐに場所を確認して、エレベーターに乗って三階へ向かった。

 三○二号室。エレベーターを降りて少し奥に行ったところにあった。僕は鞄の中から名刺を一枚出して、ドアをノックした。
 数秒もおかず、部屋の主が返事をした。
「……どなたですか?」
 小さな声だったが、声を潜めているというよりは疲れているような感じだった。僕が黙っていると、覗き穴から名刺を見たようで、「……探偵?」と呟いたのが聞こえた。
「決して怪しい者じゃありません。詳しい話は中で話したいと思っておりますので、入れてもらえませんでしょうか?」
 無言が続いて、かちゃりと鍵が開く音が聞こえた。すると、扉がゆっくりと開いて部屋の人物が姿を見せた。ネットカフェの店員やホテルの従業員が言っていたように、服は汚れていたりほつれていたりしてボロボロで、顔色は決していいと言えるものではなかった。
「……どうぞ……」
 今にも嘔吐しそうな声でそう言って、僕を入れてくれた。
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