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第一章
6話
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「うるさいですね。あなたたち人間は黙って食事をすることも出来ないんですか?せっかく私が珍しく人型で食事をとってあげようと言うのに。気分を害さないで下さい。」
「なんだ、サカキ、来ていたのか。」
「あなたが私にたまには人型になって一緒に食事をしようと言ったのではないですか。だから言われた通りに来たまでですよ。」
突然現れてスーザン先輩と親しげに話す男をエリザはびっくりして見つめた。
「髪が黒くない……。」
その男は緑色の髪を七三に分け、きっちりと学校の制服を着こなしていた。宿舎では制服の着用は義務付けられていないにもかかわらず、来ているところを見るに相当真面目な人物なのか。
エリザが思わずつぶやくと、目の前の男はフンっと鼻を鳴らした。
「当たり前でしょう。私は高貴なる竜なのですから。あなたたち竜使いと一緒にしないでください。」
「りゅ、竜?!」
突然の発言にエリザはまたまた衝撃を受ける。
「すまない。言い忘れていたな。これは私が契約している竜のサカキだ。見た通り真面目なやつだから打ち解けるのに時間がかかるかもしれないが、こう見えて結構良い奴なんだ。」
「そうなんですね……。竜なんて初めて見るので感動です。それに人間の姿にもなれるんですね。」
「なれるぞ。竜使いの魔力を貸せば一定期間人型になることは可能だ。」
「1週間はこのままでいられるだろうな。それにしてもお前の竜はいつ見てもカッチリしてるよな。」
今まで会話を見守っていたゴイル先輩が口を挟む。
(確かに、なんか私の想像するザ・優等生って感じ。生徒会長とかやってそうな見た目だなあ。)
「心外ですよ。そもそもあなたたち人間がだらけすぎているんです。もっと気を引き締めなさい。」
「はいはい。」
「はいは1度だけにしなさい!」
ゴイルとサカキの会話を聞いて、エリザは思った。
(なんかお母さんとは息子みたい。)
「まあ、入学してすぐに竜と契約をするからエリザも覚悟しといた方がいいぞ。」
ゴイルがエリザに忠告する。
「覚悟ってなんか大変なことあるんですか?」
覚悟という穏やかでは無い言葉に反応してエリザは恐る恐るガイルに尋ねる。
「そうだなあ。別に契約自体はそう難しいことはないんだ。ただ竜族っていうのは人間よりも長寿だからか言うことがやけに古臭くて口うるさいんだ。俺なんか慣れるまで喧嘩ばかりだったな……。」
「ええ?!そうなんですか!ちなみにゴイル先輩の竜はどんな方なんですか?」
「ああ、俺の竜はすごく元気だぞ。サカキみたいに礼儀正しくない分俺とは気が合うんだが、なにぶん血気盛んだからな。すぐ喧嘩になるぞ。今はどっかの森に狩りにいってるんじゃないかな。」
「へ、へぇ~。」
(狩りかぁ。確かにフットワークが軽いっていうか、強そうっていうか。とにかくなんかすごい方だってことはわかった。)
話しているうちに先輩が頼んでおいてくれたおすすめのメニューが到着したようだ。
「こちらはステーキでございます。鉄板が熱いので気をつけてくださいね。」
ボーイさんが各々の目の前に皿を置く。
(すごい。牛肉のステーキなんてほとんど食べたことないよ。しかも見た目がすごい高そう。あれ、マナーってどうするんだけっけ?全然わかんないよ。)
「すみません、先輩。私マナーとかよく知らないんですけど大丈夫ですか?」
絵は心配になって思わず先輩2人に尋ねる。
「そんなの全然気にしなくて大丈夫だぞ。この食堂だって、俺たちのためってより竜たちがグルメだからいい食材を使ってるって言うのが大きいんだからそんなに気にすることないって。」
「そうだな。ここではそんなにマナーを気にする人はいないんじゃないかな。気にする事はないよ。」
ゴイルとスーザンがフォローしてくれる。
「ありがとうございます。それじゃあいただきます!」
3人と1匹は手を合わせてから目の前のステーキを食べることに集中し始めた。
「なんだ、サカキ、来ていたのか。」
「あなたが私にたまには人型になって一緒に食事をしようと言ったのではないですか。だから言われた通りに来たまでですよ。」
突然現れてスーザン先輩と親しげに話す男をエリザはびっくりして見つめた。
「髪が黒くない……。」
その男は緑色の髪を七三に分け、きっちりと学校の制服を着こなしていた。宿舎では制服の着用は義務付けられていないにもかかわらず、来ているところを見るに相当真面目な人物なのか。
エリザが思わずつぶやくと、目の前の男はフンっと鼻を鳴らした。
「当たり前でしょう。私は高貴なる竜なのですから。あなたたち竜使いと一緒にしないでください。」
「りゅ、竜?!」
突然の発言にエリザはまたまた衝撃を受ける。
「すまない。言い忘れていたな。これは私が契約している竜のサカキだ。見た通り真面目なやつだから打ち解けるのに時間がかかるかもしれないが、こう見えて結構良い奴なんだ。」
「そうなんですね……。竜なんて初めて見るので感動です。それに人間の姿にもなれるんですね。」
「なれるぞ。竜使いの魔力を貸せば一定期間人型になることは可能だ。」
「1週間はこのままでいられるだろうな。それにしてもお前の竜はいつ見てもカッチリしてるよな。」
今まで会話を見守っていたゴイル先輩が口を挟む。
(確かに、なんか私の想像するザ・優等生って感じ。生徒会長とかやってそうな見た目だなあ。)
「心外ですよ。そもそもあなたたち人間がだらけすぎているんです。もっと気を引き締めなさい。」
「はいはい。」
「はいは1度だけにしなさい!」
ゴイルとサカキの会話を聞いて、エリザは思った。
(なんかお母さんとは息子みたい。)
「まあ、入学してすぐに竜と契約をするからエリザも覚悟しといた方がいいぞ。」
ゴイルがエリザに忠告する。
「覚悟ってなんか大変なことあるんですか?」
覚悟という穏やかでは無い言葉に反応してエリザは恐る恐るガイルに尋ねる。
「そうだなあ。別に契約自体はそう難しいことはないんだ。ただ竜族っていうのは人間よりも長寿だからか言うことがやけに古臭くて口うるさいんだ。俺なんか慣れるまで喧嘩ばかりだったな……。」
「ええ?!そうなんですか!ちなみにゴイル先輩の竜はどんな方なんですか?」
「ああ、俺の竜はすごく元気だぞ。サカキみたいに礼儀正しくない分俺とは気が合うんだが、なにぶん血気盛んだからな。すぐ喧嘩になるぞ。今はどっかの森に狩りにいってるんじゃないかな。」
「へ、へぇ~。」
(狩りかぁ。確かにフットワークが軽いっていうか、強そうっていうか。とにかくなんかすごい方だってことはわかった。)
話しているうちに先輩が頼んでおいてくれたおすすめのメニューが到着したようだ。
「こちらはステーキでございます。鉄板が熱いので気をつけてくださいね。」
ボーイさんが各々の目の前に皿を置く。
(すごい。牛肉のステーキなんてほとんど食べたことないよ。しかも見た目がすごい高そう。あれ、マナーってどうするんだけっけ?全然わかんないよ。)
「すみません、先輩。私マナーとかよく知らないんですけど大丈夫ですか?」
絵は心配になって思わず先輩2人に尋ねる。
「そんなの全然気にしなくて大丈夫だぞ。この食堂だって、俺たちのためってより竜たちがグルメだからいい食材を使ってるって言うのが大きいんだからそんなに気にすることないって。」
「そうだな。ここではそんなにマナーを気にする人はいないんじゃないかな。気にする事はないよ。」
ゴイルとスーザンがフォローしてくれる。
「ありがとうございます。それじゃあいただきます!」
3人と1匹は手を合わせてから目の前のステーキを食べることに集中し始めた。
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