九十九異能者物語 "御角"

白木飛鳥

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第1話「前夜」

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5年前。5月1日夜。長崎・土御門家。大広間。

「いいか、お前たち。我々土御門家は長崎有数の豪族の末裔であり、〈フクザル〉の一端を担う一族である。それは、お前たち5人は知っておるな?」
『はい!』
「そして、私、土御門宗一(つちみかどそういち)は25年前家督を継いだ。その時にな・・・。」

5年前。5月1日夜。長崎・土御門家。櫻蘭の部屋。

「はぁ~~~~、疲れたぁ~~~!!!もうGWで学校もお休みだからラッキーだと思ったのに、お父様の昔語りで毎晩毎晩疲れるわ~~~。」
「そういうことを言わないの。櫻蘭。お父様だって私たちのことを考えて言ってるのよ???」
「美登お姉ちゃん、絶対そんなことないよ???あの人はいつだって家のことというか、自分のことしか考えてないと思うよ??ねぇ、湊魅お姉ちゃん?」
「まぁ、否定はできないかな~~~。まぁでも、お父様は私たちのことも含めて家のことを考えてるのよ。」
「そうかな~~~~???浦人兄さんも和人兄さんも真面目に毎日よく聞けるなぁって思ってる。兄さん二人からしたら相当いやな話じゃない???」
「そうかもね。兄弟同士で家督争いだもんね。」
「ホワイトアウトだっけ???」
「そうね、私たちの時はそういうことはないようにしてほしいわね。」

ホワイトアウトとは、25年前に父と叔父が兄弟で家督をめぐって争ったという事件であり、敗れた叔父は長崎から永久追放となり行方が分からないのである。
父はそれまでにあった悪しき風習たちを次々と正していき長崎の中でも2番目の地位である『福猿七司(ふくざるしちし)』という七つの家の一つとなった。
兄二人からしたら実の兄弟で戦うなどということはしたくないし、聞きたくないだろうなという意見である。


5年前。5月1日夜。長崎・土御門家。櫻蘭の部屋。

「そういえば、明日ハウステンボスで新作が出るらしいけど三人で行く??」
「そうだね。遊びに行こう!!!!」
「お母様とも行きたいから誘おう~~~!!!!!」

5年前。5月1日夜。長崎・????

「準備はいいか???」
「はい。いつでも突撃の用意はできております。」
「よかろう。みなのもの!!!!この日をもって長崎土御門家の家督はこの土御門享弘がいただくとする。忌まわしき元兄である土御門宗一を倒して見せようぞ!!!!」
『お~~~~!!!!!』
「動くのは明日(みょうにち)の午後1時。直ちに兵を進める。」

5年前。5月2日朝。長崎・土御門家。玄関。

「ねぇ~~~。お母様~~~も行きましょうよ~~~~!!!!???」
「こら、櫻蘭?お母様が困ってしまうでしょ??」
「でも~~~~。」
「はいはい、櫻蘭。今度一緒に遊びに行きましょうね。今日は来客が来るので私も忙しいのよ。」
「でも、お母様、たまには、私たちを頼ってくださいね。私たちも全員16を超えてるので。」
「頼りにしていますよ。ずっと。ほら、いってらっしゃい。あなたたちが好きなパスタを用意しておきますよ。」
「やったぁぁぁぁぁぁ!!!!!パスタ!!!行ってきます~~~!!!!」

私たちは3人で出かけた。

「白寅、恩慈、奏楽、あの子たちを守ってください。何か嫌な予感がします。私の護衛よりもあの子たちを優先してお願いします。」
『了解した。』
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