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7章
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永遠の勘違いに気づき、正してくれたのは宰相らしい。
「さいしょーが、しろのつがいのちから、で牡でもこどもできるよーて」
その時よっぽど嬉しかったのだろう、ようやく永遠が微笑んでくれた。
「そうだ、俺は知ってたぞ?前に宰相がそんな話してくれただろ?」
あの時、同じ部屋にいたであろう永遠も聞いていると思ったが、千早とケンカしてたのか、お菓子に夢中だったのか聞いてなかったらしい。
「えー、とわ、しらなかったよ。さいしょーも、まえにゆったって…とわ、きいてなかった」
「そうか」
ギュと抱きしめると、永遠がお腹に抱えていた籠が邪魔で密着できない。
籠の中を覗くと、先ほどおやつに出てきたシャクッと口の中でとろける菓子が入っていた。
「これは…」
美味しいと言い合える相手がいないと嘆いていた菓子。
小さな手が1つ、つまみ上げ俺の口へと入れる。
俺も1つつまみ、永遠の唇へと押し当てると、パクリと口に入れシャクシャクと咀嚼する。
俺の口の中に甘みが広がり溶けてゆく。
スケリ色に染まる頬に両手をあて、ホゥと甘い息を吐く永遠が愛らしすぎて大好きでグッと胸にこみあげるものを飲み下す。
「おいちーやね。とわ、これすきだから、くおんにもたべてほしいやった」
シャクッ、トロッとすぐになくなる菓子を次々に俺の口の中に入れてくれる。
指ごとパクリと食べると
「あー、めーのよ!とわ、たべちゃめーの!」
クスクスと笑う永遠の手を取り、甲に口づける。
「永遠」
シンと静まり返る屋敷は物音ひとつしない。
そっと永遠に口づけると、膝の上の籠を弾き飛ばして永遠が俺の首に抱き着いてくる。
長い長い口づけだった。
久しぶりの感触と永遠の匂いを吸い込み、暗雲が立ち込めるようだった、悩んでいた日々が晴れ渡ってゆく。
「ハァ…」
トロンとした瞳でようやく離れた永遠が誘うように唇を舐めた。
俺の股間がギュンと反応し、膝の上で抱き着いている永遠にもわかったのだろう。
嬉しそうに笑う永遠だが、その前に言っておかなければいけないことがある。
「永遠、聞いてほしい」
真剣な表情の俺に、怪訝そうな顔をする永遠だがかまわずに続ける。
「俺は永遠が牡でも雌でも関係ない。永遠が永遠だから好きだ、愛してる」
ピコッと永遠の耳が動き、大きな瞳がクシャリとゆがむ。
「もしもいつまでたっても子供が出来なかったとしても、それならそれでいい。」
真っ赤な顔になった永遠の瞳から再び涙があふれ出す。
「黒の王の使命として子供が必要?だったら黒の王なんてくそくらえだ。やめてやる」
…ヒック
しゃくりあげるようにして泣く永遠の頭を撫で耳を触る。
「他の雌?そんなのいらない。俺には永遠しか見えてない」
「うー…っ!」
目を閉じ上を向く永遠の喉が滑らかで美味しそうで噛みつきたい衝動に駆られる。
「俺は永遠に飽きられ嫌われたのか、それともほかに好きな奴でも出来たのかと思ったんだ。でもそれでも仕方がないと諦めようとした。でもやっぱり--------」
俺の瞳からも涙がこぼれ出る
「俺は、俺はもうダメなんだ。永遠がいないと、情けないがもう生きていける気がしないんだ。心がポッカリ穴が開いてスースーして…もぅ…」
それから俺たちは抱き合い子供のように泣いた。
「さいしょーが、しろのつがいのちから、で牡でもこどもできるよーて」
その時よっぽど嬉しかったのだろう、ようやく永遠が微笑んでくれた。
「そうだ、俺は知ってたぞ?前に宰相がそんな話してくれただろ?」
あの時、同じ部屋にいたであろう永遠も聞いていると思ったが、千早とケンカしてたのか、お菓子に夢中だったのか聞いてなかったらしい。
「えー、とわ、しらなかったよ。さいしょーも、まえにゆったって…とわ、きいてなかった」
「そうか」
ギュと抱きしめると、永遠がお腹に抱えていた籠が邪魔で密着できない。
籠の中を覗くと、先ほどおやつに出てきたシャクッと口の中でとろける菓子が入っていた。
「これは…」
美味しいと言い合える相手がいないと嘆いていた菓子。
小さな手が1つ、つまみ上げ俺の口へと入れる。
俺も1つつまみ、永遠の唇へと押し当てると、パクリと口に入れシャクシャクと咀嚼する。
俺の口の中に甘みが広がり溶けてゆく。
スケリ色に染まる頬に両手をあて、ホゥと甘い息を吐く永遠が愛らしすぎて大好きでグッと胸にこみあげるものを飲み下す。
「おいちーやね。とわ、これすきだから、くおんにもたべてほしいやった」
シャクッ、トロッとすぐになくなる菓子を次々に俺の口の中に入れてくれる。
指ごとパクリと食べると
「あー、めーのよ!とわ、たべちゃめーの!」
クスクスと笑う永遠の手を取り、甲に口づける。
「永遠」
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そっと永遠に口づけると、膝の上の籠を弾き飛ばして永遠が俺の首に抱き着いてくる。
長い長い口づけだった。
久しぶりの感触と永遠の匂いを吸い込み、暗雲が立ち込めるようだった、悩んでいた日々が晴れ渡ってゆく。
「ハァ…」
トロンとした瞳でようやく離れた永遠が誘うように唇を舐めた。
俺の股間がギュンと反応し、膝の上で抱き着いている永遠にもわかったのだろう。
嬉しそうに笑う永遠だが、その前に言っておかなければいけないことがある。
「永遠、聞いてほしい」
真剣な表情の俺に、怪訝そうな顔をする永遠だがかまわずに続ける。
「俺は永遠が牡でも雌でも関係ない。永遠が永遠だから好きだ、愛してる」
ピコッと永遠の耳が動き、大きな瞳がクシャリとゆがむ。
「もしもいつまでたっても子供が出来なかったとしても、それならそれでいい。」
真っ赤な顔になった永遠の瞳から再び涙があふれ出す。
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しゃくりあげるようにして泣く永遠の頭を撫で耳を触る。
「他の雌?そんなのいらない。俺には永遠しか見えてない」
「うー…っ!」
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「俺は永遠に飽きられ嫌われたのか、それともほかに好きな奴でも出来たのかと思ったんだ。でもそれでも仕方がないと諦めようとした。でもやっぱり--------」
俺の瞳からも涙がこぼれ出る
「俺は、俺はもうダメなんだ。永遠がいないと、情けないがもう生きていける気がしないんだ。心がポッカリ穴が開いてスースーして…もぅ…」
それから俺たちは抱き合い子供のように泣いた。
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