125 / 150
7章
6
しおりを挟む
羨望のまなざしのクウガ族であろう親子。
何族かわからぬが物の陰からコッソリとこちらを伺うもの。
数多くの街人たちが動きを止め俺たちを見ていた。
「くおん~」
大きな白い耳をピコピコさせながら永遠の指さすほうを見ると、店先で何かを焼いているのが見え、香ばしい匂いが漂ってきた。
「あれは串焼きか?」
「いいにおい、あれたべるの~」
グイグイと俺の腕を引っ張る永遠だが、白い街での食事すら幾人もの毒見ののち出されていたと聞いていたから、さすがに通りすがりの店での飲食は無理だろう。
「永遠、今すぐに食べるのは無理だから買って帰ろう?」
キョトンとした顔で見上げる永遠の瞳が悲しみに染まってゆき、楽しげだった口元がへの字になる。
かわいそうだが仕方がないことだ。
「いいにおい、おいしそうのに…」
グズグズいう永遠に
「ワガママいけないんだぞ。後で食べれるから帰るまで我慢しろよ」
千早も言い聞かせてくれる。
唇を尖らせいい匂いのする店先を見つめる永遠の前に、グニスタが進み出て跪く。
「あの店でございますね。すぐにご案内いたします」
驚いて見下ろす俺の瞳を見つめ返したグニスタが、大きく頷く。
「ほんちょに?いますぐ、たべていーの?」
グニスタと俺を交互に見ながら、満面の笑みを取り戻した永遠が嬉しさに飛び跳ねた。
案内された店内は、間口の広さに比べ奥行きが広く、落ち着いた飴色の木材でできた机と椅子が、こじんまりとした風情のある中庭に面して配置されている。
俺と永遠と千早が並んで座り、あちこちに警護のクウガ族とクテニ族が配置につく。
店の奥へと消えていたグニスタが、何族かわからない大きな丸い耳の前掛けをかけた店主であろう男を伴って戻ってきた。
座ったままチラリと店主を見ると、すぐさま板張りの床に土下座してしまった。
「おいちぃ~やね~」
初めて見るものだが、もっちりとしてとてもおいしい。
これはカルーペのように、カメグを練って作ったものであろう。
似たようなものを母さんがよく汁に入れてくれていたが、店先で焼いているのを見ていたところタレをぬって香ばしく焼いていた。
少しづつ食べる永遠を見ると、頬がスケリの実のように色づき、モッチャモッチャと咀嚼している。
気に入ったものは、少しづつよく噛んで食べるのが永遠のくせだ。
「ほんとだウメー」
一皿に3つづつ乗っていたのに千早はすでに食べ終え、ガビエ茶も一気に飲み干していた。
俺も1つ口に放り込み、口中に広がるタレのうまさに目を閉じる。
「うまいな」
先ほども土下座をしてやめさせるのに苦労したのに
俺の一言に部屋の隅に立っていた店主が再び土下座をしてしまった。
「永遠さまはすべての生き物に愛され惹きつけてしまうのです」
俺たちしかいない店内でグニスタが静かに話し出す。
--------そりゃ永遠は愛らしすぎるからな
フムと納得した俺にグニスタは続ける
「代々の白の番様も皆さまそうでございましたが、永遠さまはこのように屈託なく無邪気に誰とでも打ち解けてしまうお方でありますゆえ、距離感を誤ってしまうものも発生してしまいます」
--------距離感を誤る?
何族かわからぬが物の陰からコッソリとこちらを伺うもの。
数多くの街人たちが動きを止め俺たちを見ていた。
「くおん~」
大きな白い耳をピコピコさせながら永遠の指さすほうを見ると、店先で何かを焼いているのが見え、香ばしい匂いが漂ってきた。
「あれは串焼きか?」
「いいにおい、あれたべるの~」
グイグイと俺の腕を引っ張る永遠だが、白い街での食事すら幾人もの毒見ののち出されていたと聞いていたから、さすがに通りすがりの店での飲食は無理だろう。
「永遠、今すぐに食べるのは無理だから買って帰ろう?」
キョトンとした顔で見上げる永遠の瞳が悲しみに染まってゆき、楽しげだった口元がへの字になる。
かわいそうだが仕方がないことだ。
「いいにおい、おいしそうのに…」
グズグズいう永遠に
「ワガママいけないんだぞ。後で食べれるから帰るまで我慢しろよ」
千早も言い聞かせてくれる。
唇を尖らせいい匂いのする店先を見つめる永遠の前に、グニスタが進み出て跪く。
「あの店でございますね。すぐにご案内いたします」
驚いて見下ろす俺の瞳を見つめ返したグニスタが、大きく頷く。
「ほんちょに?いますぐ、たべていーの?」
グニスタと俺を交互に見ながら、満面の笑みを取り戻した永遠が嬉しさに飛び跳ねた。
案内された店内は、間口の広さに比べ奥行きが広く、落ち着いた飴色の木材でできた机と椅子が、こじんまりとした風情のある中庭に面して配置されている。
俺と永遠と千早が並んで座り、あちこちに警護のクウガ族とクテニ族が配置につく。
店の奥へと消えていたグニスタが、何族かわからない大きな丸い耳の前掛けをかけた店主であろう男を伴って戻ってきた。
座ったままチラリと店主を見ると、すぐさま板張りの床に土下座してしまった。
「おいちぃ~やね~」
初めて見るものだが、もっちりとしてとてもおいしい。
これはカルーペのように、カメグを練って作ったものであろう。
似たようなものを母さんがよく汁に入れてくれていたが、店先で焼いているのを見ていたところタレをぬって香ばしく焼いていた。
少しづつ食べる永遠を見ると、頬がスケリの実のように色づき、モッチャモッチャと咀嚼している。
気に入ったものは、少しづつよく噛んで食べるのが永遠のくせだ。
「ほんとだウメー」
一皿に3つづつ乗っていたのに千早はすでに食べ終え、ガビエ茶も一気に飲み干していた。
俺も1つ口に放り込み、口中に広がるタレのうまさに目を閉じる。
「うまいな」
先ほども土下座をしてやめさせるのに苦労したのに
俺の一言に部屋の隅に立っていた店主が再び土下座をしてしまった。
「永遠さまはすべての生き物に愛され惹きつけてしまうのです」
俺たちしかいない店内でグニスタが静かに話し出す。
--------そりゃ永遠は愛らしすぎるからな
フムと納得した俺にグニスタは続ける
「代々の白の番様も皆さまそうでございましたが、永遠さまはこのように屈託なく無邪気に誰とでも打ち解けてしまうお方でありますゆえ、距離感を誤ってしまうものも発生してしまいます」
--------距離感を誤る?
116
あなたにおすすめの小説
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
「トリプルSの極上アルファと契約結婚、なぜか猫可愛がりされる話」
星井 悠里
BL
Ωの凛太。夢がある。その為に勉強しなきゃ。お金が必要。でもムカつくα父のお金はできるだけ使いたくない。そういう店、もありだろうか……。父のお金を使うより、どんな方法だろうと自分で稼いだ方がマシ……でもなぁやっぱりなぁ…と悩んでいた凛太の前に、めちゃくちゃイケメンなαが現れた。
凛太はΩの要素が弱い。ヒートはあるけど不定期だし、三日こもればなんとかなる。αのフェロモンも感じないし、自身のも弱い。
なんだろこのイケメン、と思っていたら、話している間に、変な話になってきた。
契約結婚? 期間三年? その間は好きに勉強していい。その後も、生活の面倒は見る。デメリットは、戸籍にバツイチがつくこと。え、全然いいかも……。お願いします!
トリプルエスランク、紫の瞳を持つスーパーαのエリートの瑛士さんの、超高級マンション。最上階の隣の部屋。もし番になりたい人が居たら一緒に暮らしてもいいよとか言うけど、一番勉強がしたいので! 恋とか分からないしと断る。
表に夫夫アピールはするけど、それ以外は絡む必要もない、はずだったのに、なぜか瑛士さんは、オレの部屋を訪ねてくる。そんな豪華でもない普通のオレのご飯を一緒に食べるようになる。勉強してる横で、瑛士さんも仕事してる。「何でここに?」「居心地よくて」「いいですけど」そんな日々が続く。いろいろ距離がちかくなってきたある時、久しぶりにヒート。三日間こもるんで来ないでください。この期間だけは一応Ωなんで、と言ったオレに、一緒に居る、と、意味の分からない瑛士さん。一応抑制剤はお互い打つけど、さすがにヒートは無理。出てってと言ったら、一人でそんな辛そうにさせてたくない、と。――ヒートを乗り越えてから関係が変わる。瑛士さん、なんかやたら、距離が近くてあますぎて。そんな時、色んなツテで、薬を作る夢の話が盛り上がってくる。Ωの対応や治験に向けて活動を開始するようになる。夢に少しずつ近づくような。そんな中、従来の抑制剤の治験の闇やΩたちへの許されない行為を耳にする。少しずつ証拠をそろえていくと、それを良く思わない連中が居て――。瑛士さんは、契約結婚をしてでも身辺に煩わしいことをなくしたかったはずなのに、なぜかオレに関わってくる。仕事も忙しいのに、時間を見つけては、側に居る。なんだか初の感覚。でもオレ、勉強しなきゃ!なのに…? と、αに可愛がられて翻弄されまくる話です。ぜひ✨
表紙:クボキリツ(@kbk_Ritsu)さま
素敵なイラストをありがとう…🩷✨
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる