悠遠の誓い

6章

オレの好きなもの

「オレねーばあちゃんのポークソテーが大好きだ！」

ソースが甘くて、カリカリに焼いた豚肉に絡みついて下味のカレー粉が絶妙なんだ。

「鶏肉を甘く照り煮にしたやつも好きだしー　フワッフワの焼き立てのチョコカスタードパンも好き！」
「あらあら　じゃまたスグに作らなきゃね」

ねだったつもりはないけど、思い出すと食べた過ぎてよだれがあふれてきた。
オレは自分のばあちゃんが関西で遠いせいか、海瑠のばあちゃんのほうが身近で自分のばあちゃんみたいに思ってる。

そうだ―――――ばあちゃんなら知ってるかもしれない。

「ねーねーばあちゃんは知ってるかな？オレが忘れちゃってる約束のこと」






私が話してもいいのか―――――

公園のベンチに二人して座ると、ためらいがちにばあちゃんがそう言った。
だったら知ってるってことだよな？教えてほしい。思い出せたらアイツが喜ぶと思うから。

「オレが覚えてないことで海瑠がなんか…苦しそうなんだ。オレ思い出したいけど全然無理で。だからっ。オレ海瑠が好きなんだ。だから思い出して喜ばせたいんだ。知ってるなら…ヒントだけでもいいから教えてよ」

日傘をたたみながら困ったように笑うばあちゃん。

「私が知ってることだけになるけれど。後で海瑠さんに叱られてしまうかもだけども、何かのきっかけになれば…」


って話してくれた内容は俺の想像の遥か上を行くものだった。