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14章
まきまき
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「どこ行っとったんや」
山荘に戻ると渉の車があってオレの両親と渉がせっせと荷物を運んでいるところだった。
オレはおぶわれてることが恥ずかしくて体を捩って、下ろしてくれと海瑠に訴えるが下ろしてもらえなかった。
「靴はいてないから、家の中まで、ね?」
「なんやコアラやのーて今度はオンブお化けにでもなったんか」
渉のやつめ!オンブお化けってなんだよ。
恥ずかしさに海瑠の背中に顔をうずめてシャツをギュッと握る。しっとりと汗ばむ背中から海瑠のコロンと体臭が混じったのが舞い上がる。コロンのせいだけじゃない、大好きな匂いを目いっぱい吸い込んだ。
「海瑠ごめんね重かったでしょうに、ショタが迷惑かけるわね」
『ショタが迷惑かけるわね』は母ちゃんの口癖だ
「いえ、俺のトレーニングに付き合ってもらってるだけですから」
家に入ると漸くソファへと下ろしてもらえたオレは慌てて立ち上がりキッチンへと入り、運ばれてきた食べ物や日用品を片付ける父ちゃんを手伝う。
「正太朗ちょっと体重増えたか?顔色も良さそうだな」
「うん。よく眠れるようになったし右手もほら見て、だいぶマシでしょ?」
右手をユルユルと父ちゃんに差し出し、指を曲げて見せる。
小指はまだあまりうまく動かないけど親指はずいぶんと曲げれるようになった。
「ほんまや、すごいやん」
重そうな荷物を運んでる渉も褒めてくれて嬉しさが隠せずにエヘヘヘとだらしなく笑っちゃった。だってこんなに進歩したんだもん絶対褒めてくれると思ったし。
「父ちゃん仕事のほうは?」
「あぁ順調だ。海瑠くんが紹介してくれたファイ…フアインシャルさんがよくしてくれるから」
ファイナンシャルプランナーだろうに。父ちゃん横文字苦手だからな。工場を会社にすることでの難しい手続きやら運営にあたってのノウハウなんかも全部教えてくれて、職人一筋だった父ちゃんだけどスムーズに会社が動くようになったらしい。
この日の夜ごはんは両親と渉と一緒に手巻き寿司をして食べた。
オレは右手を机に置き海苔を乗せ、左手で具材を乗せ一人で出来るところを見せる。
「パンをこねるのもいいリハビリになってるみたいです。明日の朝しょーちゃん作のウインナーパン食べてくださいね」
「この子が作ったパンなの?初めてだわー楽しみなような怖いような。フフッ」
オレの『迷惑かけるばっかじゃないぞ』って両親に見せたい気持ちを察してくれてだろう海瑠の言葉にまた恥ずかしくなってしまう。
「海瑠くん。何から何まで申し訳ない、ありがとうございます」
頭を下げる父ちゃんの隣で母ちゃんも頭を下げてるのを見て、つられてオレも頭を下げた。
「そんな、頭を上げてください。俺の方こそ…しょーちゃんを任せていただいて感謝しています。お二人もしょーちゃんと過ごしたいでしょうに信頼して預けていただいて感謝しかありません。ここでの暮らしは快適で楽しくて、時を忘れてしまいそうに幸せです。幸い俺の仕事はここからでもできますし、しょーちゃんもリハビリがんばってずいぶん回復してますから、もう少し…ここでの生活を続けさせてください」
海瑠まで頭を下げる。
「ホイホイ!まだまだご飯中やでー。はよ食べて渉様セレクションの花火やろーや」
「花火っ!?」
オレは花火が大好きだ。
「せや、お前が好き言うてたパラシュート花火も持って来たったからな、はよ食え」
「うん!」
子供の頃、空に上がった後フワリフワリと落ちてくるパラシュートを誰が取るかで競争した。いつもオレが取れてたのは両親や海瑠がわざと取らせてくれてたって今のオレならわかる。あの頃のオレは自分の実力だと思って嬉しくて楽しくて大はしゃぎしてた、バカだったなぁ。
山荘に戻ると渉の車があってオレの両親と渉がせっせと荷物を運んでいるところだった。
オレはおぶわれてることが恥ずかしくて体を捩って、下ろしてくれと海瑠に訴えるが下ろしてもらえなかった。
「靴はいてないから、家の中まで、ね?」
「なんやコアラやのーて今度はオンブお化けにでもなったんか」
渉のやつめ!オンブお化けってなんだよ。
恥ずかしさに海瑠の背中に顔をうずめてシャツをギュッと握る。しっとりと汗ばむ背中から海瑠のコロンと体臭が混じったのが舞い上がる。コロンのせいだけじゃない、大好きな匂いを目いっぱい吸い込んだ。
「海瑠ごめんね重かったでしょうに、ショタが迷惑かけるわね」
『ショタが迷惑かけるわね』は母ちゃんの口癖だ
「いえ、俺のトレーニングに付き合ってもらってるだけですから」
家に入ると漸くソファへと下ろしてもらえたオレは慌てて立ち上がりキッチンへと入り、運ばれてきた食べ物や日用品を片付ける父ちゃんを手伝う。
「正太朗ちょっと体重増えたか?顔色も良さそうだな」
「うん。よく眠れるようになったし右手もほら見て、だいぶマシでしょ?」
右手をユルユルと父ちゃんに差し出し、指を曲げて見せる。
小指はまだあまりうまく動かないけど親指はずいぶんと曲げれるようになった。
「ほんまや、すごいやん」
重そうな荷物を運んでる渉も褒めてくれて嬉しさが隠せずにエヘヘヘとだらしなく笑っちゃった。だってこんなに進歩したんだもん絶対褒めてくれると思ったし。
「父ちゃん仕事のほうは?」
「あぁ順調だ。海瑠くんが紹介してくれたファイ…フアインシャルさんがよくしてくれるから」
ファイナンシャルプランナーだろうに。父ちゃん横文字苦手だからな。工場を会社にすることでの難しい手続きやら運営にあたってのノウハウなんかも全部教えてくれて、職人一筋だった父ちゃんだけどスムーズに会社が動くようになったらしい。
この日の夜ごはんは両親と渉と一緒に手巻き寿司をして食べた。
オレは右手を机に置き海苔を乗せ、左手で具材を乗せ一人で出来るところを見せる。
「パンをこねるのもいいリハビリになってるみたいです。明日の朝しょーちゃん作のウインナーパン食べてくださいね」
「この子が作ったパンなの?初めてだわー楽しみなような怖いような。フフッ」
オレの『迷惑かけるばっかじゃないぞ』って両親に見せたい気持ちを察してくれてだろう海瑠の言葉にまた恥ずかしくなってしまう。
「海瑠くん。何から何まで申し訳ない、ありがとうございます」
頭を下げる父ちゃんの隣で母ちゃんも頭を下げてるのを見て、つられてオレも頭を下げた。
「そんな、頭を上げてください。俺の方こそ…しょーちゃんを任せていただいて感謝しています。お二人もしょーちゃんと過ごしたいでしょうに信頼して預けていただいて感謝しかありません。ここでの暮らしは快適で楽しくて、時を忘れてしまいそうに幸せです。幸い俺の仕事はここからでもできますし、しょーちゃんもリハビリがんばってずいぶん回復してますから、もう少し…ここでの生活を続けさせてください」
海瑠まで頭を下げる。
「ホイホイ!まだまだご飯中やでー。はよ食べて渉様セレクションの花火やろーや」
「花火っ!?」
オレは花火が大好きだ。
「せや、お前が好き言うてたパラシュート花火も持って来たったからな、はよ食え」
「うん!」
子供の頃、空に上がった後フワリフワリと落ちてくるパラシュートを誰が取るかで競争した。いつもオレが取れてたのは両親や海瑠がわざと取らせてくれてたって今のオレならわかる。あの頃のオレは自分の実力だと思って嬉しくて楽しくて大はしゃぎしてた、バカだったなぁ。
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