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16章
ただいま
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遠くに山荘が見えた時、オレはせりあがるものをこらえきれずまた泣いてしまった。
帰ってきた…帰れたんだ。オレたちの家に。
サンデッキのカウチに降ろされたオレがあわてて立ち上がると驚いたように海瑠が見上げてくる。
「オレ、きたないから。土まみれだし泥んこだから汚れちゃう」
「汚くなんかないよ」
オレの手を握り再び座らせようとする海瑠だけど、汚いだろ。
体中真っ黒で、湿った落ち葉やら泥がついてるのに。
「カウチなんて汚れてもいいから、ね?ここ座ろ俺も座るから」
先に座るコイツに強引に手を引かれ座らされた。
「疲れたでしょ、ここでユックリしてからお風呂入ろうね」
疲れたのはお前だろうに。カウチの下の籠からブランケットを取り出しオレの体にかけ頭をポンポンすると
「待ってて、すぐ戻るから」とキッチンのほうへと消えていく。
すっかり日の暮れた見慣れた風景にホッとする。
かけてくれたブランケットからはいつもの柔軟剤のいい匂いがして汚い手で触るのをためらってしまう。
しばらくしてシャツを羽織り、トレーを手にした海瑠が戻ってきて隣に座る。
手渡されたコップは黄金色をした透明の液体と氷が入ってて、オレは喉がカラカラだったことを思い出した。
コクンと一口飲むと口いっぱいに広がる甘さとさわやかな香りに、これは先月 海瑠のばぁちゃんと一緒に作った梅ジュースだとわかった。
「…おいしい」
「うまくできてたね」
笑う海瑠の顔が泥んこじゃなくなってて、自分だけ顔洗ってきたなと軽く睨みつける。ズルイぞ。
「ほら、目つぶって」
言われた通りにするとホカホカの布で顔を拭われる。あったかくて気持ちいい。
手も拭われて指の一本一本まで丁寧に確認されたあと、靴を脱がされ足も拭かれる。
「ひざ下に細かい切り傷がいっぱい出来ちゃってるね…」
そんな悲しそうな顔するなよ。オレの着てる作務衣は半ズボンだから剥き出しの足に傷が出来るのは仕方ないんだから。
「もう痛くないし平気だ」
ホントはまだちょっと痛かったけどそのうち治るだろう。
それよりもトレーの上から漂ういい匂いにガマンできなくなったオレのおなかがグゥーッと鳴る。
クスリとわらった海瑠が鍋の蓋を取り器へと中身を移していく。
「急いで作ったから具も何もないけど」
ホカホカと湯気の上がってるスプーンにフーフーと息を吹きかけ差し出され、パクリと食べると広がるミルクの香りと優しい味に体と心がが温まる。
疲れた体の細胞1つ1つに優しいミルク粥が染みわたっていくのを感じた。
帰ってきた…帰れたんだ。オレたちの家に。
サンデッキのカウチに降ろされたオレがあわてて立ち上がると驚いたように海瑠が見上げてくる。
「オレ、きたないから。土まみれだし泥んこだから汚れちゃう」
「汚くなんかないよ」
オレの手を握り再び座らせようとする海瑠だけど、汚いだろ。
体中真っ黒で、湿った落ち葉やら泥がついてるのに。
「カウチなんて汚れてもいいから、ね?ここ座ろ俺も座るから」
先に座るコイツに強引に手を引かれ座らされた。
「疲れたでしょ、ここでユックリしてからお風呂入ろうね」
疲れたのはお前だろうに。カウチの下の籠からブランケットを取り出しオレの体にかけ頭をポンポンすると
「待ってて、すぐ戻るから」とキッチンのほうへと消えていく。
すっかり日の暮れた見慣れた風景にホッとする。
かけてくれたブランケットからはいつもの柔軟剤のいい匂いがして汚い手で触るのをためらってしまう。
しばらくしてシャツを羽織り、トレーを手にした海瑠が戻ってきて隣に座る。
手渡されたコップは黄金色をした透明の液体と氷が入ってて、オレは喉がカラカラだったことを思い出した。
コクンと一口飲むと口いっぱいに広がる甘さとさわやかな香りに、これは先月 海瑠のばぁちゃんと一緒に作った梅ジュースだとわかった。
「…おいしい」
「うまくできてたね」
笑う海瑠の顔が泥んこじゃなくなってて、自分だけ顔洗ってきたなと軽く睨みつける。ズルイぞ。
「ほら、目つぶって」
言われた通りにするとホカホカの布で顔を拭われる。あったかくて気持ちいい。
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そんな悲しそうな顔するなよ。オレの着てる作務衣は半ズボンだから剥き出しの足に傷が出来るのは仕方ないんだから。
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ホカホカと湯気の上がってるスプーンにフーフーと息を吹きかけ差し出され、パクリと食べると広がるミルクの香りと優しい味に体と心がが温まる。
疲れた体の細胞1つ1つに優しいミルク粥が染みわたっていくのを感じた。
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※マシュマロ【https://bit.ly/3QSv9o7】
※掲載箇所【エブリスタ/アルファポリス/ムーンライトノベルズ/BLove/fujossy/pixiv/pictBLand】
□ショートストーリー
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