悠遠の誓い

angel

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16章

準備 海瑠side

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「ふぇ~」

牛乳とコーンをミキサーにかける俺の手元を見るしょうちゃんの口から感嘆の声が漏れているのに本人は気づいていない。
ミキサーの使い方をやっと理解したであろうしょーちゃんの上気した頬が可愛らしい。
今夜のメニューはしょーちゃんが『一生これだけしか食べれないとしたら?』の問いに答えたコーンクリームシチューだ。

人参は入れずに玉ねぎとウインナーとジャガイモだけのシンプルなシチューに牛乳とコーンをたっぷり入れる。器にご飯を盛り、カレーライスのようにシチューをかけるのが好きなしょーちゃん。淳子さんによると離乳食がほぼこれだったそうで、赤ちゃんの頃のぷくぷくしたしょーちゃんの写真を見ながら『いまだに赤ちゃん舌なのよ』って笑ってた。
付け合わせのサラダはミニトマトのハニーマリネを乗せたベビーリーフ。
ずいぶんと回復してきた右腕に握るスプーンに指を通すリングはなく、木の太い持ち手をシッカリと握っている。
一口食べるとニヘラと笑うしょーちゃん、可愛すぎる。

夢中で食べるしょーちゃんが時折何かを思い出したかのようにスプーンを止め、赤くなった目元で何かを探すかのように視線を彷徨わせる。目が合うとそらされ、また視線が合うと恥ずかしそうに俯くんだ。
いつもよりも時間がかかった夕食が終わる。いよいよだ。
食器を流し台に運ぶしょーちゃんに後ろから声をかける。

「俺が洗っとくからしょーちゃんお風呂行っといでよ」

ビクンと跳ねあがる肩。ガチャンと音が鳴り食器がシンクに落ちる。

「えっ、どっ…ぅ?」

首筋から耳まで真っ赤にするしょーちゃんがシンクを見つめたまま動かなくなったので後ろから腰を抱きしめる。
背が低いから俺が屈むようにして抱きしめ、頭頂部に鼻を埋めてお日様のような匂いを吸い込む。なんていい匂いなんだろう。お風呂で洗い流されてしまうのがもったいないような?けど初めてなんだから、お風呂くらい入らせてあげたい。

「一人で入れる…?一緒に行こうか?」


意地悪だったかもしれない。
俺がそう言った途端振り払うかのように逃げられ、脱衣所の方に走って行ってしまった。
深呼吸をしてお皿を水で流し食器洗い機にセットしていく。
やることなすこと可愛すぎて、焼ききれそうな理性を繋ぎ合わせ形を保つ。

俺の寝室へ行きしょーちゃんが大好きな甘い香りのお香を灯し、ベッドのアルパカ抱き枕はチェストの上に移動した。
事前に用意してたものを引き出しから出しサイドボードの上に並べて置く。
脱衣所の籠の中に着替えを入れておき、キッチンに戻りお湯を沸かす。ティーポットに茶葉を入れ、カップをお湯で温めておく。今夜は蜂蜜じゃなくイチゴジャムを入れてみようか。

ウッドデッキに運び脱衣所のほうを伺うがまだ出てきそうな気配はしない。
しょーちゃんがお風呂に行って既に30分は経っている。見に行くのも憚られるがもしかして倒れてるということもあり得ない話ではない。

不安に襲われた俺は脱衣所へ向かった。

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