エッセイ集

憂月柘榴

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私の書き物

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 私の書き物は大抵狂っている。エッセイ以外を読んでくださった方ならばお分かりいただけるだろう。自覚はある。さらに言えば、大抵の人間に「読まれない作品」であろうことも自覚がある。それでも私は、かれこれ数年も書き続けている。飽きることもなく、むしろ狂気の刃をさらに研ぎ澄まさせて、書き続けている。
 それには理由がある。まず、私の書きたいものというのは、「無意識」だ。これは明瞭としている。私は、物語を編みたいわけではない。私が書きたいのは、無意識をなるべくそのまま、言葉にして、文章に乗せたいのだ。そんなことをして何になるか?…何にもならないだろう。ただの趣味嗜好で、好奇心だ。他に意味はない。だが、それ以外の意味など、仮にあったとしても取るに足らないと思わないか?…
 無意識を書こうとすればするほど、言葉や文章は支離滅裂になりかける。イメージは奔流し、物語は物語を逸脱していく。映像はあちらこちらと飛び回り、視点は飛躍する。ある時は体の内側に入り込み、時には世界のどこかに放り投げられる。そこに秩序はない。秩序がないからこそ、無意識だ。私はそれを歓迎する。
 だが、完全な無意識そのままではいけない。自動筆記では、面白みが足りない。故に私は、無意識をできる限りそのまま、「意味がないようである文章」に翻訳している。それが私の書き物だ。混沌の中に美意識を込め、無秩序をある程度整理し、一定の方向性を与える。それこそ私の書き物の仕事、と言える部分だ。素材そのものは無意識が提供してくれる。つまり私はそれを翻訳して、整理しているに過ぎない。
 私は大抵の場合、プロットを作らない。何故なら、プロットを作って仕舞えば、理性が介入しすぎるからだ。無意識ではなく、理性が素材集めに奔走するようになる。それは私の書きたい物とは違う。いや、そういう物も書いたことはあるが、本筋とは異なる。言うなればそれは余暇だ。それに、こうしてそれらしい理由を並べ立てたが、私はプロットを作って計画通りに書いていくことが苦手でもある。それも理由であるのは、否定できない。理性と知性によって物語を編む人間を私が尊敬しているのは、私にできないことをしているからだ。私にできるのは、良くも悪くも無意識の翻訳に過ぎない。
 私は、その無意識の翻訳の刃を研ぎ続けている。それがどこに行き着くのか、はたまた堂々巡りを繰り返して、進展などどこにもないのか。それはわからない。ただ、私は書き続けるつもりだ。私の物書きは、私の生命と連動している。無意識の翻訳は、つまり、抑圧の解放でもある。それは私の生命維持に必要だ。欲動を文章に昇華する。そう言い換えてもいい。この作業がなければ、私の精神は瞬く間に破綻するだろう。故に、私は生きている限り書き続ける。例え誰に読まれなくとも、意味が円環し、もはや目新しさすら消えようとも、無意識を書き続ける。もはやそれは、私の宿命であり、そして私にしかできないとどこかで信じている。これは陳腐な自負かもしれない。だが、確かだ。
 込み入ったエッセイになってしまった。あまり長く続ければ小難しい、面倒なものになるだろう。この辺りで筆を置こうと思う。
 それでは、また。
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