魔王チェンジ 〜魔王様に勝手に体を交換されたらイケメン執事から溺愛されました〜

水無月 あざみ

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勝手に魔王様にされました

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「えっと、無理です」

「無理ではありません。多少違えど魂は同じ、貴方様は魔王アルリム様で間違えないのです」

 魔王様など無理だと両手を振りながら否定する舞桜に青年は片膝を付き、手を胸に当ててかしづく。

「魔王様の忠実なる下僕ルシフェル。アルリム様に忠誠を誓います。多少違えど貴方様は私の王」

 ルシフェルの背中には真黒だがふわふわの羽があった。頭には天使の輪のような、しかし、色が黒く、トゲトゲしているものが浮かんでいる。

「き…れい……」

 舞桜の口からは自然と声がもれた。 ルシフェルの姿が神に祈る天使の1枚絵に見えたからだった。すると、ルシフェルは立ち上がり、舞桜の手をとりながら顔を近づける。息がかかるほど近い距離で目が合う。

「魔王様……」

「えっと、あの、あの」

 ビジュアルが良すぎてなのか、魔族と言う人間を惑わす性ゆえなのか、ルシフェルの潤んだ瞳に見つめられるとどんな嫌な事でも良いと言ってしまいそうになった。

「貴方は今日から魔王アルリム様です。いいですね?」

 まるで幼い子供に言い聞かせるように、蜂蜜はちみつに砂糖を混ぜるがのごとく甘くささやき、最後には耳にふぅっと熱い吐息がかかる。

「ひ、ひゃぃ」

 今までされた事のない感覚に舞桜…いや、もう魔王アルリムとなった彼は思わず腰が抜けた。そこを、ルシフェルが片腕を回して支える。

「おっと、刺激が強かったようですね」

 アルリムは腕の中でこくこくっと頷いた。支えてない方の手をねっちり絡ませながらルシフェルがくすくす笑う。

「アルリム様がこんなに初心うぶだなんて困りましたね。お食事どうします?」

 急にご飯の話をされたからか、慣れない事したからか、アルリムのお腹からぐぅっと音がなる。

「お腹は空いているようですね。ですが初めてですし…」

 支えられているが、かろうじて地面についていた足が地面から離れる。お姫様を抱えるような姫抱きスタイルで運ばれたのは寝室だと思える広いベットの上だった。食事と言われたはずなのになぜベットに運ばれたのか理解できず、アルリムは困惑した。

 ドサッと降ろされて、声がもれる。

「んっ」

「今夜は私の性を食べさせてあげますね」

 シュルシュルと服を脱ぎ始めるルシフェルを見ながらアルリムは自分が何を言われたのか理解が追いつかず困惑した。

(Say? せい 性? ご飯…?)

「待ってくれ、ご飯は?」

 執事服の下からは程よく引き締まった体があらわになりつつ、上におおい被さる。

「アムリム様の種族は吸血鬼よりのインキュバスですよ」

 ニコッといい笑顔をアルリムに向けながらルシフェルは続ける。

「中に注いであげますからね? それとも私のココに歯をつきたてたいですか?」

 ルシフェルはアルリムの手を掴み自分の首をつうぅとなぞらせた。お腹が空いているからか、どくどくとした血管がわかる。噛みつきたい衝動に狩られ、口を開け、腕を後ろにまわす。途端に牙が伸びた。背中がムズムズとする。

「ふふっ目の色が変わってきてますよ…」

 鋭い牙がルシフェルの首に突き立てられた時、アルリムの背中から可愛らしいピンク色の羽が出てきた。それは、ルシフェルのとは違い、悪魔らしい…例えるならコウモリのような羽だった。同時に、髪は灰色に、目や尻尾、角はピンクに変わる。普段の威厳ある黒髪のアルリムではなく、その姿はインキュバスの要素が強く現れていた。

「んっむっ…ふっ…」

 初吸血は甘美かんびそのものだった。今まで味わった事がないぐらい甘く美味しい物が口いっぱいに広がるのを感じる。サラサラと流れるそれをもっともっとと夢中で味わうが、ファースト吸血はそんなに上手くいかず、途中から気持ちとテクニックが合わず、ちゃんと吸えなくなる。仕方なく、アルリムは噛み付いた部分をペロペロと舐め、チュッチュッと音を立てながら吸う。

「ふふっ そんなに美味しいですか?」

 首筋にたくさんの鬱血痕キスマークをつけられながらどこか満足そうにルシフェルは悪魔らしい顔で微笑んだ。

「もっと…もっと欲しい」

 血液というご飯をもらっているのにもかかわらず、お腹はそんなに満たされず、アルリムは強請ねだるような瞳でルシフェルを見る。

「やはり血液程度ではお腹は満たされないようですね」

 ルシフェルの手がそっとアルリムのお尻を撫でる。

「では…そろそろ…」

 快楽に溺れてぼーっと呆けていた意識がお尻を撫でられた事によって少し戻ってきたのか、アルリムの髪や目などが真黒にもどる。満たされないながらも潤わされた事によって理性が戻ってきたのだろう。ルシフェルは理性が戻って残念だと思ったが、押せば行けそうだと感じ、そのまま手でまさぐる事にした。

「やっ」

 アルリムは慌ててお尻を手で隠しながらルシフェルを突き飛ばした。いやいやと首を左右に動かす。潤んだ瞳でルシフェルを見上げ、無理と目で訴えるが、ルシフェルは獲物を見つけたかのごとくペロッと下で唇を舐めながら顔を近づける。

「まだ満たされていないでしょう?」

「も、もう大丈夫です」

 先程のようにビジュアルの良さをいかしてくるルシフェルに負けないように必死で後ろにさがる。

「や、やだ…こわぃ…」

 怖いと言われたのが不満だったのか、追いかけるように迫っていた体が、首をかしげつつムッとした表情で止まった。

「何が怖いんですか?」 

 ひとまず止まった事に少し安堵あんどしたのか、不機嫌ふきげんオーラな雰囲気ふんいきに押されてなのか、素直に言葉をつむぐ。

「だって…そ、そんな経験ないし…いきなり迫られて…え、エッチな事がご飯とか言われても…は、恥ずかしいし…こ、こわぃ…です」

 話を聞いていたルシフェルは不機嫌オーラがおさまり、かわりに目を大きく開いた。

「誰とも経験ないんですか?」

 アルリムは返事のかわりにこくりと首を立てに動かす。

「もしかして…まだ人間で言うところの子供だったりします?」

 なんだか、馬鹿にされているような気がしたアルリムは先程まで後ろに逃げていた事も忘れて前のめりになりながらプンスコ怒る。

「こ、これでも32歳です!」

 しかし、堂々と年齢を言った事で逆に恥ずかしくなったのか、赤面しながら尻すぼみ気味に言い訳をする。

「べ、別に相手がいないわけではないんですよ! 大切な人と初めてがしたかったというか何というか、仕事ばかりしていたらこんなに年をとっ…んぅっ」

 言葉は途中で途切れた。ルシフェルの唇が唇に触れて、舌が入る事によってそれ以上喋れなくなったからである。唇が離れるとルシフェルの水色の瞳が楽しそうに揺れている。まるでよく晴れた青空みたいだなっとその瞳に魅入ってしまう。

「大人だそうですし…私が気持ちいい事を教えて差し上げますね」

「は、初めては大切な人と…」

 また、じりじりと後ろに身を寄せながら言ってみるが、逃さないようにするためか、抱き寄せられた。

「私では大切な方になれませんか? 口吸くちすいまでしたのに?」

「く、くちす…」

 先程の唇が触れ合う接吻せっぷんを思い出し、顔から火がでそうだった。

「私では駄目ですか?」

 熱に浮かされてか、考える余地など与えてくれないせいか。その綺麗な容姿のせいか。押されてしまう。

「て、手を繋ぐ事から…始めるなら…」

 ルシフェルが手を絡めるようにしながらアルリムの手の甲にキスをした。

「かしこまりました」

 やっと、開放されそうな事に心の底から安堵したのはつかの間、尻尾の付け根をキュッと握られた。

「あっ」

 油断していた体にビビビッと電気が走った後、力が抜け、クタッとしてしまう。そのまま押し倒された。

「尻尾…気持ちいいでしょう?」

 そう言いながらルシフェルは硬いものをすり合わせるようにグイグイ押し付けながら揺すってくる。

「やっあっ…手繋ぎからって…」

 拒みたいが、尻尾のせいか力が入らずされるがままに感じる。

「手は繋いでいるでしょう? それに入れたりはしませんよ。お腹空いてるようですから…ね?」

 何が『ね?』なのか考えることもできず、されるがままに揺さぶられる。

「ひっ…ぁ…んっ…ァ…ふ…ぅん…あ…あぁッ…いっちゃ…んぅ……」

「んっ…私も…」

 ドロっとした熱いものがお腹のうえにポタポタとかかる。

「あ…つ……ぃ……」

 感じた事のない熱に酔っていると、白い液体をすくうようにルシフェルがお腹をなぞる。

「んぅっ」

「あーぁ。混ざっちゃいましたね。ご自分のは美味しくないし、栄養にならないでしょうが我慢なさってくださいね?」

 ルシフェルの長い指が口の中を蹂躙じゅうりんしながら粘度ねんどのある液体を味合わせるように突っ込んでくる。

「ふっん…うっん…あっ…ん…」

 初めて味合うは甘苦い味だった。まるで甘い甘いチョコレートにコーヒーの粉をかけて食べるような…そんな甘苦さだった。甘い…チョコレートだけならもっと欲しいような…そう思ったところでねっとりと喉に絡みながら通っていく。

…ゴクリ。

「美味しかったですか?」

 決して美味しいはずがないはずのものだったし、苦味の部分は嫌だったのに、何故か満足な気分と満腹感で、こくりと首が縦に動いていた。
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