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練習
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はじめて銃を持ったとき、萌乃はあまりの軽さに驚いた。もちろん重みは有るのだが、思っていたものよりも軽くて驚いたのだ。萌乃は今手の中にあるものが偽物とわかっている。だから本物はもっと重たいのだと頭でわかっているが、心でこう思わずにはいられなかった。
この軽さで人の命が奪えるのか…。と。これでは人の命が軽いようではないか。と思わずにはいられなかった。それほど衝撃的だったのだ。
引き金を引いた時は反動の衝撃に驚いた。撃った自分に帰ってくる反動が、重く、体にのしかかるとき、後ろに体が揺れる。その反動の大きさに、これが撃つと言う事だと理解した。
しかし、今となればどちらもどうでもいいものだった。
練習用のアルミ缶を無表情で蜂の巣にしていく。萌乃がそうなるまで1ヶ月ちょいを有した。逆に言えば萌乃は1ヶ月ちょっとで水の入ったアルミ缶を正確に撃てる用になったのだ。最初の感情など脳のゴミ箱へ捨て、ただひたすらに、アルミ缶を撃つ、撃つ、撃つ。
その姿は凛々への愛だった。少しでも、付き合える可能性がある。それだけで萌乃は凛々の父に見立てたアルミ缶を凄まじい執念で次々と破壊していった。
「冷たっ」
顔の横に冷たい何かが触れたことで気が散ってしまい、玉を外す。
「まだまだだね」
横には水分補給にと水を持ってきてくれた凛々が立っている。
「もうっ」
そんな仕草も可愛いので、萌乃は邪魔された事より嬉しさのほうが大きくなっている。
「そういえば…」
「なに?」
萌乃はパキっとキャップを開け、ごくごくと水を飲む。
「来週戦いに行くって話してきたから」
「ブッ…。え?」
水が口から出ていってしまっている。凛々はオワッと水がかからないように華麗に避けていた。
「早くない!?」
「これでも待ったほうなのよ。本当ならあの日行くつもりだったの。それに嫌なら1人で行くわ」
凛々の意思は固く。萌乃が何を言っても、1人でも行く雰囲気だった。仕方なく萌乃が折れることにする。
「行くよ。なんの為にカラコンも髪染めもしてると思っているの?」
萌乃は、今、髪の毛も目もピンクにしている。
「愛に目覚めたからピンクなんだっけ?」
「そう! これはリリーへの愛!」
「先生に怒られてなかった?」
この色にした日。先生は怒った、愛だよっと言われ、どうしていいかわからず次の日は頭が痛すぎて先生が休んだのだが、萌乃はそんな事しらない。
「怒られたけど?」
ケロッとしている。誠に先生が可愛そうである。
「萌乃が気にしてないならいいや。とりあえず来週の土曜日だから」
これ以上、反対の言葉はどちらにもなかった。後はどちらかが殺るだけである。
「OK」
2人はまた射撃の練習に戻る。しかし、お互いに気合が目に見えた。
この軽さで人の命が奪えるのか…。と。これでは人の命が軽いようではないか。と思わずにはいられなかった。それほど衝撃的だったのだ。
引き金を引いた時は反動の衝撃に驚いた。撃った自分に帰ってくる反動が、重く、体にのしかかるとき、後ろに体が揺れる。その反動の大きさに、これが撃つと言う事だと理解した。
しかし、今となればどちらもどうでもいいものだった。
練習用のアルミ缶を無表情で蜂の巣にしていく。萌乃がそうなるまで1ヶ月ちょいを有した。逆に言えば萌乃は1ヶ月ちょっとで水の入ったアルミ缶を正確に撃てる用になったのだ。最初の感情など脳のゴミ箱へ捨て、ただひたすらに、アルミ缶を撃つ、撃つ、撃つ。
その姿は凛々への愛だった。少しでも、付き合える可能性がある。それだけで萌乃は凛々の父に見立てたアルミ缶を凄まじい執念で次々と破壊していった。
「冷たっ」
顔の横に冷たい何かが触れたことで気が散ってしまい、玉を外す。
「まだまだだね」
横には水分補給にと水を持ってきてくれた凛々が立っている。
「もうっ」
そんな仕草も可愛いので、萌乃は邪魔された事より嬉しさのほうが大きくなっている。
「そういえば…」
「なに?」
萌乃はパキっとキャップを開け、ごくごくと水を飲む。
「来週戦いに行くって話してきたから」
「ブッ…。え?」
水が口から出ていってしまっている。凛々はオワッと水がかからないように華麗に避けていた。
「早くない!?」
「これでも待ったほうなのよ。本当ならあの日行くつもりだったの。それに嫌なら1人で行くわ」
凛々の意思は固く。萌乃が何を言っても、1人でも行く雰囲気だった。仕方なく萌乃が折れることにする。
「行くよ。なんの為にカラコンも髪染めもしてると思っているの?」
萌乃は、今、髪の毛も目もピンクにしている。
「愛に目覚めたからピンクなんだっけ?」
「そう! これはリリーへの愛!」
「先生に怒られてなかった?」
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「怒られたけど?」
ケロッとしている。誠に先生が可愛そうである。
「萌乃が気にしてないならいいや。とりあえず来週の土曜日だから」
これ以上、反対の言葉はどちらにもなかった。後はどちらかが殺るだけである。
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2人はまた射撃の練習に戻る。しかし、お互いに気合が目に見えた。
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