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二章 レベル50までの道のり
13 バトルロワイヤル
俺が放つ矢がことごとく水に沈んでいく。
「その程度ですか?」
メガローネ先生は退屈そうに指をクルクルしては水の壁を出し、俺の矢を沈めると、攻撃はしない。つまり、遊ばれているのだ。
「ぐっ」
悔しい。わかりきってはいたが、あまりにも差があって、勝てそうにない。
「これなら…どうだっ!」
俺は矢を真上に1本放った後、メガローネ先生を囲むように走りながら撃っていく。
「そうですね…狙いはいいですけど…」
水の壁がドーム状に現れる。そんなのありかよ。中で息できるのか?
「中は空洞ですよ」
声に出していたのか、疑問に対する返事が返ってきた。
「ふふっ。顔に出てますよ」
優雅な笑顔は誰が見ても美しく、俺以外は見惚れていた。…と言うか今実技テスト中だったよな?
見渡すと回りには観客ができ、マローネ先生を応援している。少しは俺も応援してくれ。
「おや? よそ見とは余裕がありますね」
「うわっ」
マローネ先生が手を上へやると、上から水が降ってくる。幸い雨程度のもので、痛くはないのだが、冷たい。すこぶる冷たい。
「冷た。寒っ」
日本のゲームなので、四季もあり、今は夏なのだが、冷水をかぶればさすがに寒く、カチカチと歯をならし、鳥肌が立ち、震える。これでは風邪を引きそうだ。唯一の救いはドワじぃが新しく作ったこの戦闘服といってもただの服にしか見えないのだが、これが透けない素材で良かった。
ドワじぃどうしても白がいいって譲らないんだもんな。いくら何でもサラシとか見えたら女だとバレるよな。
「おやおや、濡れてしまいましたね。これでは風邪を引きますよ。降参してはどうです?」
ここぞとばかりにクスクスと笑いながら煽ってくるな~。普段はいい人なのに、戦闘に入るとドSなのか? それとも普段の仕返しにストレス発散か?
「ふふっ普段は困った方ですが、今日は楽しいですね」
はい。絶対後者だこれ。普段の仕返しパターンだ。
「ほらほら。水が得意なだけで、他の魔法も使えるのですよ」
俺の体にフワッと風が吹く。普段なら心地よいであろうその風はとても冷たい気がする。
気のせいじゃないよね!? 服も濡れてるし、寒いわ!
「降参ですか?」
俺が寒がっているのを見て、クスクスと笑い、煽ってくる。
ムカつくなぁ…。どうにかしたいが、やはりどうにも勝てそうにない。それに本当に寒い。
「クシュン」
とうとう体からSOSとも呼べるものが出た。まぁ、ただのくしゃみなんだけど。しかし、メガローネ先生はちょっと焦っているようだった。
「このままでは本当に風邪を引きますよ! 降参なさい」
そりゃ、大人気なく戦って生徒に風邪を引かしたら、他の教師人とかに怒られそうだよね。…怒られるのかな?
俺ってあんまり近づきたくないようで、メガローネ先生以外は俺の存在を無視するんだけど。
「降参はしない」
なんにせよ、怒られても、怒られなくても俺には関係ないよね。きっぱりとドヤ顔で断る!
「本当に仕方のない人ですね」
次の瞬間フワッと体が浮き炎に包まれる。
「うおっ。あつ…くない?」
炎に包まれ、燃やされるかと思ったが、温かい風を送って来ているだけのようだった。服が乾いたぐらいで地面に降ろされる。
「なにこれ?」
「温情です」
メガローネ先生は眼鏡をグイッと上げながらそう答える。顔が何やら赤い。照れ隠しかな?
「ふーん。敵に情けかけるんだ」
馬鹿め。スキだらけたぜ。俺は矢を素早く放つ。
「当たるわけ無いでしょう」
またも水で阻まれた。ぐぅっやっぱり無理。ドワじぃにもメガローネ先生と戦うって言ったら諦めるのじゃな。と言われたし、悔しい。
「1発ぐらい当たってくれてもいいだろう!」
もはや、理不尽な事を言い出す俺に、メガローネ先生は、はぁっと頭を抱える。見慣れすぎたポーズだ。
「たまには違いを知るのもいいでしょう」
メガローネ先生がパチンと指を鳴らすと土の牢屋に俺は入れられていた。
「えっ! なにこれ」
「降参しないと出してあげませんよ」
ニコッと爽やかスマイル再びである。フツ甘いぜ。牢屋など隙間があるものは弓矢を放てる。
「あ、悪い顔してますけど、矢筒こっちにありますからね?」
「いつのまに!?」
確かに俺が持っていた矢筒はメガローネ先生の手元にあった。ぐっこれでは何もできない。
「はぁ…。降参」
俺は両手を上げた。これ以上やっても無駄だと思ったからだ。周りからはワーッと声援が上がる。クソッちょっとは俺に対するものは無いのか。
「早く出して~」
周りの声など諦めた俺はメガローネ先生に出してアピールをする。しかし、メガローネ先生はニコッと笑うだけで出してくれる気配はない。
「なぁ、メガローネ先生だしてって」
「違いますよね?」
「何が?」
「負けたら呼び方は?」
これは…呼ばなければ出さないぞと言う新手のいじめか!
なんで皆そこまでして愛称やらで呼ばれたいのかね。仕方ないなぁ…。
「メガロ先生だして~」
「はいはい」
メガローネ先生もといメガロ先生は満足したようです。とてもいい笑顔でした。
「終わった?」
「シュヴァ!?」
「いつの間にそこに…?」
メガロ先生が俺を出そうとしていたとき、シュヴァの声がしたと思ったら牢屋の上にシュヴァが座っていた。
「ねー。俺とも戦ってくれる?」
「え?」
メガロ先生はだいぶ困っているようで、困惑した顔をする。
「えっとですね、これはヴァイス君の為の特別テストなのですが…」
「だから?」
…なんでこんなに不機嫌なんだ?
メガロ先生はシュヴァの元の姿も見たことある。だからシュヴァに睨まれてビクッと肩が揺れる。心なしか冷や汗を流しているように見える。
「わかりました。本気で行かせてもらいます」
シュヴァはメガロでも本気でないときついのか、空気が変わった気がした。俺の時の煽りや笑顔が消え失せる。
「あ、そ。俺のヴァイスを閉じ込めた責任は取ってもらう」
あー。閉じ込められたのを何か知らんけど勘違いしているらしい。
「俺はだい…」
大丈夫。そう言おうとした言葉途中で止まる。
2人の戦いは凄まじかった。シュヴァは俺の「人らしく振る舞え」を守っているようで、戦闘中に犬になる事もそれを匂わせる魔法も使わなかった。もちろん闇魔法もだ。
しかし、2人は同等に戦っている。シュヴァが先制攻撃で、炎をメガロ先生にむければ、それを水で消す。
そしたら、次は土で先生を囲い潰そうとし、それを空を飛んで避ける。しかし、避けた先にシュヴァは水の塊で溺れさそうとして、複数の魔法とスピードについていけない。
さすがに、水魔法に関してはメガロ先生が上らしく。メガロ先生の水のカッターをシュヴァは炎で蒸発させていたが、漏れがあり、食らっていた。
…シュヴァがもし、闇魔法を使って、いつもの姿だったらと思うと少しゾッとする。
「意外と強い」
「お褒めにいただきどうも」
メガロ先生は息が上がってきている。体力的にはやはりシュヴァが優勢なのだろう。野生動物だもんな。まだまだこれからだと、いうときにシュヴァの手は止まる。そして…。
「飽きた」
「えっ」
シュヴァのまさかの発言に外野も俺も、ましてや戦っていた先生がもびっくりである。飽きたってお前、自分から仕掛けておいて…。
「それは、降参すると言うことでよろしいでしょうか?」
メガロ先生は、大きなため息をつきながらシュヴァにきく。
「おあずけ? よく考えたらヴァイス怪我してないし、いいや」
辺りはポカーンとした雰囲気に包まれる中、シュヴァは俺の檻を破壊すると、俺を姫抱きする。
「おいっ! やめろ」
「担ぐよりはこれがいいって、ルイが言ってた」
あいつ何教えてるんだよ。
「おーろーせー」
「ヤダ」
なんかまだ不機嫌?
「機嫌悪くない?」
「別に」
「あーもう。帰ったらもふもふ手入れしてやるから機嫌直せって」
俺はシュヴァの頭をなでこなでことなでる。すると元気が出たようで、ペッカーと笑顔を輝かせた。きっと、俺がメガロ先生と戦っていたのが楽しそうに見えて寂しかったのだろう。最近かまってやれなかったしな。帰ったらブラッシングやらなんやらとつくしてやろう。俺はシュヴァに運ばれながらそんな事を考えていた。
俺らが帰った現場では、メガロ先生がボソリと呟いていた。「死ぬかと思った」と。…ちなみに、シュヴァの戦闘が凄すぎて俺の評価は赤点ギリギリ回避ぐらいになる。
さらに、後日のテスト結果では、シュヴァが1学年総合1位。続いてマローネが学年2位。ツバキは魔力の実技が悪かったらしく学年15位だった。2学年はと言うと双子が総合1位。続いて、フィラが2位。マリが3位となる。俺? 1学年総合153位だ。…学年200人中。
…俺の周りハイスペック過ぎて嫌すぎる。特に双子!あいつら遊んでただろう。女神許さん。
「はい。ジャスミンティー」
「ありがとう」
俺は久しぶりに、ゆっくりとルイの入れたお茶を飲んでいた。もちろん執事として身の回りのことはやってもらっていたが、最近のルイはツバキ専属になっているので、会話をあまりしていなかった。だから、今日は久しぶりに2人で、ホッとする。
「…シュヴァに姫抱きにされたんだって?」
ルイの突拍子もない言葉にお茶を吹き出す。
「ぶっ。なんだよ急に。そもそもルイがー」
ルイは俺の話も聞かずむくれる。
「僕とは時間がないとか言ってたのに、シュヴァとはイチヤイチヤしてたんだー」
「違っ。テストだよ」
「姫抱っこのテストなんて無いでしょ」
何だそのテスト拷問かよ。
「ん!」
ルイが手を広げる。
「なんだよ」
「最近寂しかったんだからハグぐらいしてくれても良くない? ドワじぃにも会ってたの知ってるんだから」
でた、ルイの意味不明なやつ。こうなるとめんどくさいんだよな。大人しくくしてやるか。
「ほらよ」
ギューとすると、満足したのか。ホクホクとした顔で嬉しそうにしている。ふぅ…なんで俺の周りは変な奴らが多いのかね。
「あ、そう言えばテストお疲れ様のチョコケーキ!」
いつものおやつよりちょっと豪華な感じのケーキが出てきて、お疲れ様と文字が書かれていた。控えめに言っても甘いものは好きなので嬉しい。転生前はそうでもなかったのだが、転生後は女子のデザートは別腹が良くわかる、
「んま~」
「ふふっ良かった」
テストの成果→特に変動なし。メガローネの疲労特大。
「その程度ですか?」
メガローネ先生は退屈そうに指をクルクルしては水の壁を出し、俺の矢を沈めると、攻撃はしない。つまり、遊ばれているのだ。
「ぐっ」
悔しい。わかりきってはいたが、あまりにも差があって、勝てそうにない。
「これなら…どうだっ!」
俺は矢を真上に1本放った後、メガローネ先生を囲むように走りながら撃っていく。
「そうですね…狙いはいいですけど…」
水の壁がドーム状に現れる。そんなのありかよ。中で息できるのか?
「中は空洞ですよ」
声に出していたのか、疑問に対する返事が返ってきた。
「ふふっ。顔に出てますよ」
優雅な笑顔は誰が見ても美しく、俺以外は見惚れていた。…と言うか今実技テスト中だったよな?
見渡すと回りには観客ができ、マローネ先生を応援している。少しは俺も応援してくれ。
「おや? よそ見とは余裕がありますね」
「うわっ」
マローネ先生が手を上へやると、上から水が降ってくる。幸い雨程度のもので、痛くはないのだが、冷たい。すこぶる冷たい。
「冷た。寒っ」
日本のゲームなので、四季もあり、今は夏なのだが、冷水をかぶればさすがに寒く、カチカチと歯をならし、鳥肌が立ち、震える。これでは風邪を引きそうだ。唯一の救いはドワじぃが新しく作ったこの戦闘服といってもただの服にしか見えないのだが、これが透けない素材で良かった。
ドワじぃどうしても白がいいって譲らないんだもんな。いくら何でもサラシとか見えたら女だとバレるよな。
「おやおや、濡れてしまいましたね。これでは風邪を引きますよ。降参してはどうです?」
ここぞとばかりにクスクスと笑いながら煽ってくるな~。普段はいい人なのに、戦闘に入るとドSなのか? それとも普段の仕返しにストレス発散か?
「ふふっ普段は困った方ですが、今日は楽しいですね」
はい。絶対後者だこれ。普段の仕返しパターンだ。
「ほらほら。水が得意なだけで、他の魔法も使えるのですよ」
俺の体にフワッと風が吹く。普段なら心地よいであろうその風はとても冷たい気がする。
気のせいじゃないよね!? 服も濡れてるし、寒いわ!
「降参ですか?」
俺が寒がっているのを見て、クスクスと笑い、煽ってくる。
ムカつくなぁ…。どうにかしたいが、やはりどうにも勝てそうにない。それに本当に寒い。
「クシュン」
とうとう体からSOSとも呼べるものが出た。まぁ、ただのくしゃみなんだけど。しかし、メガローネ先生はちょっと焦っているようだった。
「このままでは本当に風邪を引きますよ! 降参なさい」
そりゃ、大人気なく戦って生徒に風邪を引かしたら、他の教師人とかに怒られそうだよね。…怒られるのかな?
俺ってあんまり近づきたくないようで、メガローネ先生以外は俺の存在を無視するんだけど。
「降参はしない」
なんにせよ、怒られても、怒られなくても俺には関係ないよね。きっぱりとドヤ顔で断る!
「本当に仕方のない人ですね」
次の瞬間フワッと体が浮き炎に包まれる。
「うおっ。あつ…くない?」
炎に包まれ、燃やされるかと思ったが、温かい風を送って来ているだけのようだった。服が乾いたぐらいで地面に降ろされる。
「なにこれ?」
「温情です」
メガローネ先生は眼鏡をグイッと上げながらそう答える。顔が何やら赤い。照れ隠しかな?
「ふーん。敵に情けかけるんだ」
馬鹿め。スキだらけたぜ。俺は矢を素早く放つ。
「当たるわけ無いでしょう」
またも水で阻まれた。ぐぅっやっぱり無理。ドワじぃにもメガローネ先生と戦うって言ったら諦めるのじゃな。と言われたし、悔しい。
「1発ぐらい当たってくれてもいいだろう!」
もはや、理不尽な事を言い出す俺に、メガローネ先生は、はぁっと頭を抱える。見慣れすぎたポーズだ。
「たまには違いを知るのもいいでしょう」
メガローネ先生がパチンと指を鳴らすと土の牢屋に俺は入れられていた。
「えっ! なにこれ」
「降参しないと出してあげませんよ」
ニコッと爽やかスマイル再びである。フツ甘いぜ。牢屋など隙間があるものは弓矢を放てる。
「あ、悪い顔してますけど、矢筒こっちにありますからね?」
「いつのまに!?」
確かに俺が持っていた矢筒はメガローネ先生の手元にあった。ぐっこれでは何もできない。
「はぁ…。降参」
俺は両手を上げた。これ以上やっても無駄だと思ったからだ。周りからはワーッと声援が上がる。クソッちょっとは俺に対するものは無いのか。
「早く出して~」
周りの声など諦めた俺はメガローネ先生に出してアピールをする。しかし、メガローネ先生はニコッと笑うだけで出してくれる気配はない。
「なぁ、メガローネ先生だしてって」
「違いますよね?」
「何が?」
「負けたら呼び方は?」
これは…呼ばなければ出さないぞと言う新手のいじめか!
なんで皆そこまでして愛称やらで呼ばれたいのかね。仕方ないなぁ…。
「メガロ先生だして~」
「はいはい」
メガローネ先生もといメガロ先生は満足したようです。とてもいい笑顔でした。
「終わった?」
「シュヴァ!?」
「いつの間にそこに…?」
メガロ先生が俺を出そうとしていたとき、シュヴァの声がしたと思ったら牢屋の上にシュヴァが座っていた。
「ねー。俺とも戦ってくれる?」
「え?」
メガロ先生はだいぶ困っているようで、困惑した顔をする。
「えっとですね、これはヴァイス君の為の特別テストなのですが…」
「だから?」
…なんでこんなに不機嫌なんだ?
メガロ先生はシュヴァの元の姿も見たことある。だからシュヴァに睨まれてビクッと肩が揺れる。心なしか冷や汗を流しているように見える。
「わかりました。本気で行かせてもらいます」
シュヴァはメガロでも本気でないときついのか、空気が変わった気がした。俺の時の煽りや笑顔が消え失せる。
「あ、そ。俺のヴァイスを閉じ込めた責任は取ってもらう」
あー。閉じ込められたのを何か知らんけど勘違いしているらしい。
「俺はだい…」
大丈夫。そう言おうとした言葉途中で止まる。
2人の戦いは凄まじかった。シュヴァは俺の「人らしく振る舞え」を守っているようで、戦闘中に犬になる事もそれを匂わせる魔法も使わなかった。もちろん闇魔法もだ。
しかし、2人は同等に戦っている。シュヴァが先制攻撃で、炎をメガロ先生にむければ、それを水で消す。
そしたら、次は土で先生を囲い潰そうとし、それを空を飛んで避ける。しかし、避けた先にシュヴァは水の塊で溺れさそうとして、複数の魔法とスピードについていけない。
さすがに、水魔法に関してはメガロ先生が上らしく。メガロ先生の水のカッターをシュヴァは炎で蒸発させていたが、漏れがあり、食らっていた。
…シュヴァがもし、闇魔法を使って、いつもの姿だったらと思うと少しゾッとする。
「意外と強い」
「お褒めにいただきどうも」
メガロ先生は息が上がってきている。体力的にはやはりシュヴァが優勢なのだろう。野生動物だもんな。まだまだこれからだと、いうときにシュヴァの手は止まる。そして…。
「飽きた」
「えっ」
シュヴァのまさかの発言に外野も俺も、ましてや戦っていた先生がもびっくりである。飽きたってお前、自分から仕掛けておいて…。
「それは、降参すると言うことでよろしいでしょうか?」
メガロ先生は、大きなため息をつきながらシュヴァにきく。
「おあずけ? よく考えたらヴァイス怪我してないし、いいや」
辺りはポカーンとした雰囲気に包まれる中、シュヴァは俺の檻を破壊すると、俺を姫抱きする。
「おいっ! やめろ」
「担ぐよりはこれがいいって、ルイが言ってた」
あいつ何教えてるんだよ。
「おーろーせー」
「ヤダ」
なんかまだ不機嫌?
「機嫌悪くない?」
「別に」
「あーもう。帰ったらもふもふ手入れしてやるから機嫌直せって」
俺はシュヴァの頭をなでこなでことなでる。すると元気が出たようで、ペッカーと笑顔を輝かせた。きっと、俺がメガロ先生と戦っていたのが楽しそうに見えて寂しかったのだろう。最近かまってやれなかったしな。帰ったらブラッシングやらなんやらとつくしてやろう。俺はシュヴァに運ばれながらそんな事を考えていた。
俺らが帰った現場では、メガロ先生がボソリと呟いていた。「死ぬかと思った」と。…ちなみに、シュヴァの戦闘が凄すぎて俺の評価は赤点ギリギリ回避ぐらいになる。
さらに、後日のテスト結果では、シュヴァが1学年総合1位。続いてマローネが学年2位。ツバキは魔力の実技が悪かったらしく学年15位だった。2学年はと言うと双子が総合1位。続いて、フィラが2位。マリが3位となる。俺? 1学年総合153位だ。…学年200人中。
…俺の周りハイスペック過ぎて嫌すぎる。特に双子!あいつら遊んでただろう。女神許さん。
「はい。ジャスミンティー」
「ありがとう」
俺は久しぶりに、ゆっくりとルイの入れたお茶を飲んでいた。もちろん執事として身の回りのことはやってもらっていたが、最近のルイはツバキ専属になっているので、会話をあまりしていなかった。だから、今日は久しぶりに2人で、ホッとする。
「…シュヴァに姫抱きにされたんだって?」
ルイの突拍子もない言葉にお茶を吹き出す。
「ぶっ。なんだよ急に。そもそもルイがー」
ルイは俺の話も聞かずむくれる。
「僕とは時間がないとか言ってたのに、シュヴァとはイチヤイチヤしてたんだー」
「違っ。テストだよ」
「姫抱っこのテストなんて無いでしょ」
何だそのテスト拷問かよ。
「ん!」
ルイが手を広げる。
「なんだよ」
「最近寂しかったんだからハグぐらいしてくれても良くない? ドワじぃにも会ってたの知ってるんだから」
でた、ルイの意味不明なやつ。こうなるとめんどくさいんだよな。大人しくくしてやるか。
「ほらよ」
ギューとすると、満足したのか。ホクホクとした顔で嬉しそうにしている。ふぅ…なんで俺の周りは変な奴らが多いのかね。
「あ、そう言えばテストお疲れ様のチョコケーキ!」
いつものおやつよりちょっと豪華な感じのケーキが出てきて、お疲れ様と文字が書かれていた。控えめに言っても甘いものは好きなので嬉しい。転生前はそうでもなかったのだが、転生後は女子のデザートは別腹が良くわかる、
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