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二章 レベル50までの道のり
26 アイデンティティ
「目が覚めたかしら?」
シュヴァによって母の元につれて来られたが、俺の様子を見て、シュヴァは追い出されたらしい。部屋には俺と母しかいなかった。
「俺…病気?」
いつになく弱気な俺に母はふっと優しそうに笑い、おでこに手を当てる。その顔はまるで女神のようだった。ひんやりとした感触が気持ちがいい。
「病気とは違うのよ。急にLvUPしたから体が少し急成長したようね。大人の女性に近づいただけよ。」
大人の女性と言う言い方に引っかかった俺はすぐにぴーんとくるものがあった。それは前世での妹が毎月おとなしい時期があったからだ。俺はその度に薬とポカリとプリンを買って帰っていた。最初にチョコを買ったときは凄くキレられて大変だった。そして、余りにも痛いと゛あの゛妹が泣くので心配だった。
「ま、まさか…?」
「あら? さすがのリディでも知っていたのね。どう説明しようかと思っていたのよ」
うっ、嫌だ…凄く嫌だ。体の不調と不快感。自分が男ではないという事を実感させられるそれ。今までは感じなかった感覚に俺は再びキラキラしたものを吐き出す。これはあれだ、うん、決してあれではない。あくまでキラキラした何かだからな。などと、自分の冷静な部分で誰にかもわからない言い訳をする。そうするくらいには脳が混乱しているのだろう。
「俺…俺は…」
ふわっと母に抱きしめられた。安心するその腕の中。前世の俺ならナイスボディの美人さんにこんな事されたらドキドキしそうだが、それどころではないし、リディアと混ざってからは女性にドキドキはあまりしなくなった。可愛いと思うけどよっぽどの事が無いとドキッとはしないのだ。それよりもルイやシュヴァの行動にドキッとする事が多くなった気がする。
嫌だ。…違う。俺は…違う。本当の俺は…どっちだ?
まだ、゛俺゛として生きてきた年月が長い。しかし、漠然と気がつく、気づかないうちに混ざっている自分に。いや、混ざっているというより──。
リディア・シルヴィアは女の子として生まれた。あの日、゛俺゛を思い出さなければ、普通に恋だってする女の子だったんだろう。だから、いくら混ざり者が男だからって本来は変わらない。だって俺の中にはリディアの記憶もあるから。所詮俺は、副産物だから。しかし、男と結婚できるかと聞かれるとそれは───無理だ。
どうしても俺の記憶が゛俺゛は女の子では無いと警報を鳴らす。
自分の゛性別゛を認めることが怖い。認めてしまえば? 俺は? 山田太郎は? 今いる俺は一体なんだ? 唯一混じり合わない゛性別゛を2つ抱えた誰でもない俺。それがヴァイス・シルヴィア。
どちらかに天秤が傾けば片方が掻き消えそうで、変わっていく自分が嫌だ。掻き消えた片方はどこに行くのだろうか。そして誰が消えるべきかなんて明白できっとそれは────。
「いいのよ。どっちでも。誰だって私の大事な子供なんだから、あの日そう決めたんだから」
悩めば悩むほど、気持ちが下がるほど、ズキリズキリお腹が痛む。まるですべての混沌を煮つめたかのような暗い、深く暗い痛みに、体は限界だったようで、汗がびっしょりだった。しかし、母の言葉にホッとしたのか、到底眠れる様な状態と心理では無いのに、うとうと睡魔が襲ってくる。
「疲れたでしょう。大丈夫よ。好きに生きてもいいの。だから少しお休みなさい。」
その言葉を最後に本日何度めかもわからない意識を手放した。
✽─✽─✽─✽─
「体調はどうですか?」
ベットの横から心配そうな声がかかる。
「ん~頭とお腹が痛いし、なんだか体は重い。二度と体験したくない」
本当に辛い。なるほど妹がこの時期ヒステリック気味にイライラしてるた理由が今ならよくわかる。ここに来たのがツバキではなくて、シュヴァとかならあたっていた所だろう。女の子って凄いんだなっと実感する。
「お腹冷やさないようにこれを…」
ツバキが心配そうにカップをおずおずと差し出してきた。受け取ると、温かい。恐る恐るゴクッと一口飲めばはちみつの甘さが優しい生姜湯だった。
「…おいしい」
体が温まっただけなのに心まで落ち着いてくる。癒やされる。
「良かったです」
ニコッと笑うツバキも可愛いらしくて、ダブルで癒やされる。あ~ずっとこの空間にいたい。殺傷も嫌だし、レベルもいいかな…。ヒロイン様と出会う前にどっかにツバキと逃げちゃおうかなっと現実逃避したところで、レベルといえばで、はっと思い出す。
「カード!!」
無くさないように普段は首からかけているカードを取り出す。昨日の頭痛は大量のありえない経験値を流された事にもよると聞いたのを忘れていた。ちなみにシュヴァは昨日の件でお仕置きをくらっている。
俺は体調不良で1週間程度の自宅療養中で学校に休み届けを出した。ツバキは授業終わりに来てくれた。1週間の間は通ってくれるそうだ。そしてシュヴァのお仕置きは1週間、俺と離れても学園に通う事。(危ない目に合わせたのもあり、面会も謝絶)
俺の分までノートも書くように言われているらしい。ツバキがノートを預かってきてくれていた。疑問点はシュヴァが先生にメモを渡してくれる。まぁ、母から何でもいいから書けと言われたのでシュヴァを人と関わらすための訓練も兼ねているのだろう。人見知りなのか俺と家族以外とはほとんど喋らないからな。それに、人前ではツンツンした口調になってるし、結構嫌がってそうだな。自業自得なので仕方ないけど。それより、こんなに離れる事がないので、俺の方が深刻なもふもふ不足だ。
っとと、それよりカード!
レベルまだ見てないんだよな。朝は話だけで寝ちゃったし、なんか眠気も凄いんだよなっと思いつつカードをチラッと見る。シュヴァがいないので本当の姿にはできないがそこには…
ーーーーーーーーーー
ヴァイス・シルヴィア Lv45
職:シルヴィア家の令息
所属:貴族・冒険者
所持金: 1万エトワ
貴族ランクE・冒険者ランクB⁺
ーーーーーーーーーー
と、表示されていた。
「や、やった~!!」
目標までLv5足りてないけど、ほぼチートだけどなんとか高等部に上がるまでにはなんとかLv50になれそうだった。後からわかったことだが、B⁺なのは今回倒したあいつの素材をほぼ燃えかすからシュヴァが集めて持っていってくれたらしいからである。ほんとにいつの間に。
「ツバキ! 見てくれ! 目標いけそうだ!!」
あまりの嬉しさにいろんな事が脳から消し飛んだ。ただただ嬉しくてツバキにも見せびらかす。
「あっという間に抜かれてしまいまったようです」
ツバキが下を向いて肩を震わせている。そうだよな…俺チートしたもんなツバキからすると悔しいよな。申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「ご、ごめ」
「これでやっと私も修行に入れます」
「え?」
震えていたのは悔しさではなく笑みからだったようで、初めて見るダークで妖艶な笑みにビクッとした。
違う意味で心臓がドクドクと高鳴った。ギャップ萌えという言葉を思い出す。ギャップってしゅごい。
シュヴァによって母の元につれて来られたが、俺の様子を見て、シュヴァは追い出されたらしい。部屋には俺と母しかいなかった。
「俺…病気?」
いつになく弱気な俺に母はふっと優しそうに笑い、おでこに手を当てる。その顔はまるで女神のようだった。ひんやりとした感触が気持ちがいい。
「病気とは違うのよ。急にLvUPしたから体が少し急成長したようね。大人の女性に近づいただけよ。」
大人の女性と言う言い方に引っかかった俺はすぐにぴーんとくるものがあった。それは前世での妹が毎月おとなしい時期があったからだ。俺はその度に薬とポカリとプリンを買って帰っていた。最初にチョコを買ったときは凄くキレられて大変だった。そして、余りにも痛いと゛あの゛妹が泣くので心配だった。
「ま、まさか…?」
「あら? さすがのリディでも知っていたのね。どう説明しようかと思っていたのよ」
うっ、嫌だ…凄く嫌だ。体の不調と不快感。自分が男ではないという事を実感させられるそれ。今までは感じなかった感覚に俺は再びキラキラしたものを吐き出す。これはあれだ、うん、決してあれではない。あくまでキラキラした何かだからな。などと、自分の冷静な部分で誰にかもわからない言い訳をする。そうするくらいには脳が混乱しているのだろう。
「俺…俺は…」
ふわっと母に抱きしめられた。安心するその腕の中。前世の俺ならナイスボディの美人さんにこんな事されたらドキドキしそうだが、それどころではないし、リディアと混ざってからは女性にドキドキはあまりしなくなった。可愛いと思うけどよっぽどの事が無いとドキッとはしないのだ。それよりもルイやシュヴァの行動にドキッとする事が多くなった気がする。
嫌だ。…違う。俺は…違う。本当の俺は…どっちだ?
まだ、゛俺゛として生きてきた年月が長い。しかし、漠然と気がつく、気づかないうちに混ざっている自分に。いや、混ざっているというより──。
リディア・シルヴィアは女の子として生まれた。あの日、゛俺゛を思い出さなければ、普通に恋だってする女の子だったんだろう。だから、いくら混ざり者が男だからって本来は変わらない。だって俺の中にはリディアの記憶もあるから。所詮俺は、副産物だから。しかし、男と結婚できるかと聞かれるとそれは───無理だ。
どうしても俺の記憶が゛俺゛は女の子では無いと警報を鳴らす。
自分の゛性別゛を認めることが怖い。認めてしまえば? 俺は? 山田太郎は? 今いる俺は一体なんだ? 唯一混じり合わない゛性別゛を2つ抱えた誰でもない俺。それがヴァイス・シルヴィア。
どちらかに天秤が傾けば片方が掻き消えそうで、変わっていく自分が嫌だ。掻き消えた片方はどこに行くのだろうか。そして誰が消えるべきかなんて明白できっとそれは────。
「いいのよ。どっちでも。誰だって私の大事な子供なんだから、あの日そう決めたんだから」
悩めば悩むほど、気持ちが下がるほど、ズキリズキリお腹が痛む。まるですべての混沌を煮つめたかのような暗い、深く暗い痛みに、体は限界だったようで、汗がびっしょりだった。しかし、母の言葉にホッとしたのか、到底眠れる様な状態と心理では無いのに、うとうと睡魔が襲ってくる。
「疲れたでしょう。大丈夫よ。好きに生きてもいいの。だから少しお休みなさい。」
その言葉を最後に本日何度めかもわからない意識を手放した。
✽─✽─✽─✽─
「体調はどうですか?」
ベットの横から心配そうな声がかかる。
「ん~頭とお腹が痛いし、なんだか体は重い。二度と体験したくない」
本当に辛い。なるほど妹がこの時期ヒステリック気味にイライラしてるた理由が今ならよくわかる。ここに来たのがツバキではなくて、シュヴァとかならあたっていた所だろう。女の子って凄いんだなっと実感する。
「お腹冷やさないようにこれを…」
ツバキが心配そうにカップをおずおずと差し出してきた。受け取ると、温かい。恐る恐るゴクッと一口飲めばはちみつの甘さが優しい生姜湯だった。
「…おいしい」
体が温まっただけなのに心まで落ち着いてくる。癒やされる。
「良かったです」
ニコッと笑うツバキも可愛いらしくて、ダブルで癒やされる。あ~ずっとこの空間にいたい。殺傷も嫌だし、レベルもいいかな…。ヒロイン様と出会う前にどっかにツバキと逃げちゃおうかなっと現実逃避したところで、レベルといえばで、はっと思い出す。
「カード!!」
無くさないように普段は首からかけているカードを取り出す。昨日の頭痛は大量のありえない経験値を流された事にもよると聞いたのを忘れていた。ちなみにシュヴァは昨日の件でお仕置きをくらっている。
俺は体調不良で1週間程度の自宅療養中で学校に休み届けを出した。ツバキは授業終わりに来てくれた。1週間の間は通ってくれるそうだ。そしてシュヴァのお仕置きは1週間、俺と離れても学園に通う事。(危ない目に合わせたのもあり、面会も謝絶)
俺の分までノートも書くように言われているらしい。ツバキがノートを預かってきてくれていた。疑問点はシュヴァが先生にメモを渡してくれる。まぁ、母から何でもいいから書けと言われたのでシュヴァを人と関わらすための訓練も兼ねているのだろう。人見知りなのか俺と家族以外とはほとんど喋らないからな。それに、人前ではツンツンした口調になってるし、結構嫌がってそうだな。自業自得なので仕方ないけど。それより、こんなに離れる事がないので、俺の方が深刻なもふもふ不足だ。
っとと、それよりカード!
レベルまだ見てないんだよな。朝は話だけで寝ちゃったし、なんか眠気も凄いんだよなっと思いつつカードをチラッと見る。シュヴァがいないので本当の姿にはできないがそこには…
ーーーーーーーーーー
ヴァイス・シルヴィア Lv45
職:シルヴィア家の令息
所属:貴族・冒険者
所持金: 1万エトワ
貴族ランクE・冒険者ランクB⁺
ーーーーーーーーーー
と、表示されていた。
「や、やった~!!」
目標までLv5足りてないけど、ほぼチートだけどなんとか高等部に上がるまでにはなんとかLv50になれそうだった。後からわかったことだが、B⁺なのは今回倒したあいつの素材をほぼ燃えかすからシュヴァが集めて持っていってくれたらしいからである。ほんとにいつの間に。
「ツバキ! 見てくれ! 目標いけそうだ!!」
あまりの嬉しさにいろんな事が脳から消し飛んだ。ただただ嬉しくてツバキにも見せびらかす。
「あっという間に抜かれてしまいまったようです」
ツバキが下を向いて肩を震わせている。そうだよな…俺チートしたもんなツバキからすると悔しいよな。申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「ご、ごめ」
「これでやっと私も修行に入れます」
「え?」
震えていたのは悔しさではなく笑みからだったようで、初めて見るダークで妖艶な笑みにビクッとした。
違う意味で心臓がドクドクと高鳴った。ギャップ萌えという言葉を思い出す。ギャップってしゅごい。
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