231 / 250
第172話 書類と手紙
しおりを挟む
「こちらが本日分でございます」
執事のコーネリア・センシスがアラーナの執務室に書類を持参する。
そこそこの厚みはあるが、それでもカルトメリが常時処理する量の3分の1ほど。
残りの3分の2は執事のフレードや、カルトメリの父であるヴァイン先代公爵に任されている。
「ご苦労様」
置かれた書類をアラーナ(タルバン)が確認していく。
即断できる内容の書類は、口頭で述べるなり記述するなりして、アリィ(アラーナ)に渡す。
さりげなく書類にアリィ(アラーナ)が目を通しつつ書類をそろえた後、コーネリアに渡した。
トントントントン
扉を叩く音がする。
アラーナ(タルバン)が目で指示すると、パルマが「どうぞ」と答えて扉を開ける。
「お手紙でございます」
公爵家の侍女が手紙を持って来た。
パルマが「ありがとうございます」と受け取って、アラーナ(タルバン)の元に運ぶ。
「今日も多いのね」
届いた封書の中から、ひと回り大きいものを取り上げた。
差出人はカルトメリ・ワーレンバーグ公爵。
ナイフで封を開けると、2枚の便せんと2通の封書が入っていた。
封筒の表書きを確認する。
「こちらはパルマね」
1通はアラーナ宛てのカルトメリの私信。
そしてもう1通はパルマに宛てたオルギュールの私信だ。
出征後、カルトメリから手紙が毎日届く。
それに便乗する形で、数日に1回オルギュールからの手紙が同封されている。
いずれも公爵家ならではの贅沢。
「今読んでも良いのよ」
オルギュールからの手紙が届くたびに、アラーナ(タルバン)が勧める。
しかし封書を渡されたパルマは「いえ」と手紙をポケットにしまうのが常だ。
「そうね」
アラーナ(タルバン)も机の脇に封書を置く。
アリィ(アラーナ)に目をやると、アリィ(アラーナ)が頬を赤らめていた。
「さてと…」
アラーナ(タルバン)が便せんに目を通す。こちらはワーレンバーグ公爵家宛ての連絡。
「行軍は問題なし。予定通りに着くだろうとのことです」
便せんをコーネリアに渡す。コ-ネリアも素早く目を通した。
「お父様とお母様にもお伝えして、フレードにも」
「かしこまりました」
「後の書類は決まり次第、ね」
「はい」
便せんと一部の書類を受け取ったコーネリアはアラーナの執務室を出て行った。
「手紙が増えましたね」
パルマとアリィ(アラーナ)が手紙を整理する。
カルトメリらが出征した後、貴族社会で変わったことがある。
戦時の常ではあるが、日々開かれていたパーティーや食事会、茶会が自粛となった。
もちろん完全に無くなってはおらず、内々でごく少数の茶会や食事会は開かれている。
しかし夫であるカルトメリ公爵が出征しているアラーナを招く人はほとんどいない。
その代わりに「戦争が終わったら、ぜひ…」と激励する手紙が送られてきた。
ワーレンバーグ公爵家の雰囲気も変わった。
公爵家に所属する騎士の大半が出征したため、普段聞こえている鍛錬の声がほとんどしない。
普段は「うるさいなあ」と顔をしかめる女中もいるが、今は物足りなさそうな顔をしていた。
執事のコーネリア・センシスがアラーナの執務室に書類を持参する。
そこそこの厚みはあるが、それでもカルトメリが常時処理する量の3分の1ほど。
残りの3分の2は執事のフレードや、カルトメリの父であるヴァイン先代公爵に任されている。
「ご苦労様」
置かれた書類をアラーナ(タルバン)が確認していく。
即断できる内容の書類は、口頭で述べるなり記述するなりして、アリィ(アラーナ)に渡す。
さりげなく書類にアリィ(アラーナ)が目を通しつつ書類をそろえた後、コーネリアに渡した。
トントントントン
扉を叩く音がする。
アラーナ(タルバン)が目で指示すると、パルマが「どうぞ」と答えて扉を開ける。
「お手紙でございます」
公爵家の侍女が手紙を持って来た。
パルマが「ありがとうございます」と受け取って、アラーナ(タルバン)の元に運ぶ。
「今日も多いのね」
届いた封書の中から、ひと回り大きいものを取り上げた。
差出人はカルトメリ・ワーレンバーグ公爵。
ナイフで封を開けると、2枚の便せんと2通の封書が入っていた。
封筒の表書きを確認する。
「こちらはパルマね」
1通はアラーナ宛てのカルトメリの私信。
そしてもう1通はパルマに宛てたオルギュールの私信だ。
出征後、カルトメリから手紙が毎日届く。
それに便乗する形で、数日に1回オルギュールからの手紙が同封されている。
いずれも公爵家ならではの贅沢。
「今読んでも良いのよ」
オルギュールからの手紙が届くたびに、アラーナ(タルバン)が勧める。
しかし封書を渡されたパルマは「いえ」と手紙をポケットにしまうのが常だ。
「そうね」
アラーナ(タルバン)も机の脇に封書を置く。
アリィ(アラーナ)に目をやると、アリィ(アラーナ)が頬を赤らめていた。
「さてと…」
アラーナ(タルバン)が便せんに目を通す。こちらはワーレンバーグ公爵家宛ての連絡。
「行軍は問題なし。予定通りに着くだろうとのことです」
便せんをコーネリアに渡す。コ-ネリアも素早く目を通した。
「お父様とお母様にもお伝えして、フレードにも」
「かしこまりました」
「後の書類は決まり次第、ね」
「はい」
便せんと一部の書類を受け取ったコーネリアはアラーナの執務室を出て行った。
「手紙が増えましたね」
パルマとアリィ(アラーナ)が手紙を整理する。
カルトメリらが出征した後、貴族社会で変わったことがある。
戦時の常ではあるが、日々開かれていたパーティーや食事会、茶会が自粛となった。
もちろん完全に無くなってはおらず、内々でごく少数の茶会や食事会は開かれている。
しかし夫であるカルトメリ公爵が出征しているアラーナを招く人はほとんどいない。
その代わりに「戦争が終わったら、ぜひ…」と激励する手紙が送られてきた。
ワーレンバーグ公爵家の雰囲気も変わった。
公爵家に所属する騎士の大半が出征したため、普段聞こえている鍛錬の声がほとんどしない。
普段は「うるさいなあ」と顔をしかめる女中もいるが、今は物足りなさそうな顔をしていた。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる