【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第171話 2人で朝まで

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「タ・ル・バ・ン・さ・ま」

使用人として割り当てられたバルタの部屋のベッドで寝ているタルバン。
いつもよりも早めにパルマが起こしに来た。

「むぅ、おはよう」

タルバンが目を覚ますと、すっかり身支度を整えたパルマが心配そうな顔をしている。

「どうした?」
「あの、その…」

言いにくそうにするパルマがアラーナの寝室の方に視線を移す。

「アラーナと兄さん?」
「ええ、まあ…」
「まだ寝てるの?まあ、良いんじゃない?」
「いえ、その…」

その辺りでタルバンはピンと来るものがあった。

「まだ真っ最中、とか?」

パルマは頬を赤らめてうなずいた。

「少し前に、お起こししようと思ったのですが、いろいろと続いているようでしたので…」
「…ああ、なるほどね」
「それで少し時間を置いたのですけど、今もまだ続いているようで…」

タルバンは苦笑したが、ハッと気づいたように言う。

「ってことは、ひと晩中?」
「さあ、それは何とも…」
「うーん、まあ、ひと月ふた月も留守にすると思えば、そう…なるのか」
「そう…なるのですか?」

そこでタルバンは少し前のことを思い出す。

「ああ、パルマ」
「何でしょう?」
「この間の連休、外泊で昼頃帰ってきたけど…」
「…」
「オルギュールさんと会ったんだよね」
「…」
「やっぱり、ひと晩中だったの?」
「…」

無言となったパルマは主でもあるタルバン・クリスパ伯爵の耳を思い切り引っ張った。

「あ、ちょ、パルマ、痛いって、いたたたた」

タルバンの悲鳴にも関わらず、パルマは手を緩めない。

「タルバン様、私のことは、どうでも良いのです」
「いや、ちょっと、聞いてみたくて…」
「ど・う・で・も、よ・い・の、で・す!」
「あ、分かった、ごめん、ごめん」

パルマは手を放した。
それと同時に扉を叩く音がする。

タルバンが「どうぞ」と返すと、デュランが入ってきた。

「おはよ」
「おはようございます、って、あれ?」

パルマの姿を見たデュランは不思議そうな顔を見せる。
それでもタルバンが「兄さんとアラーナが…」と言いかけると、デュランも「ああ」と察した。

「さすがにそろそろ起きていただかないと…」
「まあ、私が行くさ」

ベッドから降りたタルバンがアラーナの寝室へ向かう。パルマとデュランも後に続いた。

アラーナ専用の客間からアラーナの執務室に入り、アラーナの寝室へと向かう。
寝室への扉に近づくにつれて、3人の足音が小さくなった。

寝室に続く扉の前にタルバンが、数歩離れてパルマとデュランが立つ。

そんなパルマとデュランの耳にも、ベッドのきしむ音が聞こえてくる。
さらに布地がすれる音、水気が弾けるような音、何かに吸い付くような音。
そしてカルトメリがアラーナに向けてささやく言葉も。

2人よりもはっきりと聞こえるタルバンが、しばし天井を仰ぎ見る。
それでも大きく深呼吸した後、拳を口に当てた。

ゴッホン!

大きく咳払いする。
途端に寝室の中が静かになった。

ウォッホン!

さらにもう一度咳払いした。
今度は寝室の中が騒がしくなった。

もう少しして寝室が静まったところで、タルバンが強めに扉を叩いた。

「うむ、どうぞ」

カルトメリの声が返ってきたのを確認して、タルバンが扉を開けた。

「兄さん、おはようございます」
「あ、ああ、おはよう」

上半身を起こしたカルトメリが真面目な顔をタルバンに向ける。
しかし首筋から胸にかけて無数のあざが見て取れた。
もちろんアラーナが残したものに違いない。

「そろそろ起きた方が良いかと」
「ああ、そうだな」

ベッドから降りたカルトメリは一歩だけふらついたものの、素早く夜着を身に着ける。

「じゃあ、アリィ、また後で」

シーツ越しにアラーナに口づけして寝室を出て行った。

「パルマ、後は頼む」
「かしこまりました」

大役を果たしたタルバンと入れ替わりに、パルマが寝室に入ってくる。

「アラーナ様、お邪魔して申し訳ありません」

シーツからアラーナが顔を出す。

【どこから聞いていました?】
「…少し前から、です」

アラーナが「本当に?」と言いたげな視線を向ける。
パルマは「申し訳ありません」と頭を下げて告白した。

「最初は空が白み始めた頃に、そこから…時間を置いて…3回ほど」
【それでお兄様に、ってこと?】
「さようでございます」

アラーナが苦笑すると、パルマがもう一度「申し訳ありません」と頭を下げた。

シーツから抜け出したアラーナにパルマが夜着を手渡す。

パルマが見るでもなく見ると、アラーナの乳房や背中にいくつものあざが残っていた。
もちろんカルトメリが残したものに違いない。

夜着を整えたアラーナがパルマに尋ねる。

【ところでパルマはどうだったの?】
「『どう?』とは、何のことでしょう?」
【この間のお休み 戻るのが遅かったと思うけど】
「…何のことでしょう?」
【オルギュールさんと 会ってたのよね?】
「…何のことでしょう?」
【パルマも ひと晩中だったの?】
「…何のことでしょう?」

アラーナは子供のように頬を膨らませる。

【ずるい】

パルマは「プッ」と吹き出しつつも「…何のことでしょう?」と繰り返した。
それでも休日の交わりを思い出して体の芯が熱くなる。

【でもいつか 良い知らせを聞かせてね】

アラーナの願いにパルマは困ったような顔を見せる。

『そんなご報告ができる時が来ると良いのですが』

少しでも明るい将来を考えつつ、パルマはアラーナの髪を整えた。
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