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第88話 お茶会の予定
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「もう帰ってしまうのね」
テレシアが残念そうな視線を向けた。
「こうしてお食事の時しかお話できなかったし…」
「それはテレシアがお茶会に出かけていたからじゃないのか?」
カルトメリが反論しかけると、テレシアが「そう、それよ!」と指摘する。
「どうして私が呼ばれたと思う?」
カルトメリもアラーナ(タルバン)も思いつかない。
「ヴァイン様やプリス様なら、お分かりになりますよね」
話を振られたヴァイン・ワーレンバーグ先代公爵と「ああ」とうなずいた。
「父上が?母上もご存じなのですか?」
プリス夫人も「ええ」と答える。
「皆さんに聞かれるのですよ。『アラーナ様はいかがでしたか?』と」
テレシアも大きくうなずく。
「お茶会ね。昨日は2件、今日も2件、明日は3件呼ばれていますけど、皆様そろって興味津々」
「ふむ、で、何と答えているんだ?」
「そうね。『大したことなかったわ。あの程度で妥協するなんて、公爵閣下もどうかしてるわ』とか」
カルトメリが「おい!」と、とがめかけたところで、アラーナ(タルバン)が「クスッ」と笑う。
「そうお答えできれば面白そうですね」
「ええ、そうできれば良いのだけど」
「何だ、冗談か…」
「当たり前です。お兄様。そもそも、ここ数日の新聞をご覧になってませんの?」
アラーナ(タルバン)一行がクリスパ領を出立して以降、宿泊した地でアラーナ(タルバン)を見かけた宿屋の従業員を始めとした住人から聞き集めた話を掲載している。
さらに今朝の新聞には、口止めしてあったにも関わらず、公爵家の家人や服飾店の従業員から聞いたとするアラーナ(タルバン)の容姿を書き連ねていた。
「そうした中で、『大したことなかった』って言ってもね。信じてもらえません」
「まあ…そうか」
テレシアがアラーナ(タルバン)に視線を向ける。
「それに本当なら、寝室にご一緒して広いベッドで横になりながらお話したかったのに」
アラーナ(タルバン)の正体を知っているカルトメリが「いや、それは…」と口ごもる。
「ええ、分かっています。お兄様の夜の訪問のお邪魔をする気はありません」
テレシアの言葉にヴァインとプリスが笑う。
「でもアラーナ、結局、何も無かったんですよね?」
「はい、公爵閣下が紳士であると確認できました」
本当のところ、初日の夜にこの2人は同じベッドで寝ていたのだが、テレシアが考えるようなことが「無かった」のは間違いない。
「ふぅん、お兄様も変わったのね」
「まるで私が毎夜忙しくしていたみたいな言い方だな」
「あら、…違ったかしら?」
カルトメリ以外の4人が大笑いした。
「でも、本当に名残惜しいわ」
プリスがアラーナ(タルバン)に語り掛ける。
「結婚式はクリスパ領であげるとしても、その前に良かったらまた来てくださいね」
「ええ、ぜひ」
「その時は一緒にお休みしたいものね。お兄様も紳士だそうですし」
アラーナ(タルバン)は「ええ、できれば」と答えるに留まった。
テレシアが残念そうな視線を向けた。
「こうしてお食事の時しかお話できなかったし…」
「それはテレシアがお茶会に出かけていたからじゃないのか?」
カルトメリが反論しかけると、テレシアが「そう、それよ!」と指摘する。
「どうして私が呼ばれたと思う?」
カルトメリもアラーナ(タルバン)も思いつかない。
「ヴァイン様やプリス様なら、お分かりになりますよね」
話を振られたヴァイン・ワーレンバーグ先代公爵と「ああ」とうなずいた。
「父上が?母上もご存じなのですか?」
プリス夫人も「ええ」と答える。
「皆さんに聞かれるのですよ。『アラーナ様はいかがでしたか?』と」
テレシアも大きくうなずく。
「お茶会ね。昨日は2件、今日も2件、明日は3件呼ばれていますけど、皆様そろって興味津々」
「ふむ、で、何と答えているんだ?」
「そうね。『大したことなかったわ。あの程度で妥協するなんて、公爵閣下もどうかしてるわ』とか」
カルトメリが「おい!」と、とがめかけたところで、アラーナ(タルバン)が「クスッ」と笑う。
「そうお答えできれば面白そうですね」
「ええ、そうできれば良いのだけど」
「何だ、冗談か…」
「当たり前です。お兄様。そもそも、ここ数日の新聞をご覧になってませんの?」
アラーナ(タルバン)一行がクリスパ領を出立して以降、宿泊した地でアラーナ(タルバン)を見かけた宿屋の従業員を始めとした住人から聞き集めた話を掲載している。
さらに今朝の新聞には、口止めしてあったにも関わらず、公爵家の家人や服飾店の従業員から聞いたとするアラーナ(タルバン)の容姿を書き連ねていた。
「そうした中で、『大したことなかった』って言ってもね。信じてもらえません」
「まあ…そうか」
テレシアがアラーナ(タルバン)に視線を向ける。
「それに本当なら、寝室にご一緒して広いベッドで横になりながらお話したかったのに」
アラーナ(タルバン)の正体を知っているカルトメリが「いや、それは…」と口ごもる。
「ええ、分かっています。お兄様の夜の訪問のお邪魔をする気はありません」
テレシアの言葉にヴァインとプリスが笑う。
「でもアラーナ、結局、何も無かったんですよね?」
「はい、公爵閣下が紳士であると確認できました」
本当のところ、初日の夜にこの2人は同じベッドで寝ていたのだが、テレシアが考えるようなことが「無かった」のは間違いない。
「ふぅん、お兄様も変わったのね」
「まるで私が毎夜忙しくしていたみたいな言い方だな」
「あら、…違ったかしら?」
カルトメリ以外の4人が大笑いした。
「でも、本当に名残惜しいわ」
プリスがアラーナ(タルバン)に語り掛ける。
「結婚式はクリスパ領であげるとしても、その前に良かったらまた来てくださいね」
「ええ、ぜひ」
「その時は一緒にお休みしたいものね。お兄様も紳士だそうですし」
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