【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第98話 夜の散歩

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「こっちだ」

夜の王都を歩く影が4つ。
いずれもマントについたフードを目深にかぶり、人相が分かりにくいようにしている。
影の歩き様から、4人ともに男と分かる。

先頭を歩くのは、カルトメリ・ワーレンバーグ公爵。
次にタルバン・クリスパ伯爵。
そしてデュラン・ラッペル。
最後にオルギュール・ビルギイトが油断なく周囲に気を配っている。

カルトメリが分厚い扉の前に立つと、2度軽く叩く。
扉の向こうから女の声がする。

「闇夜のカラスはどこにいる?」
「闇夜のカラスは餌で連れ」

カルトメリの言葉で重い扉が静かに開く。
1人の老婆が出迎えた。

「どうぞこちらへ」

老婆の後に4人が続く。
奥にかけられた分厚いカーテンを開けると、またも分厚い扉が現れた。

「お入りください」

カルトメリが扉を開けると、まばゆいばかりの光が4人の目に刺さった。

「お待ちしておりました」

肩や脚ばかりでなく、襟ぐりも大きく露出させた妙齢の女性が待っていた。

「ミュルガリル、久しぶりだな」
「そちらが?」
「ああ、タルバンだ」

背後にいたタルバンの首に腕をかけて前に押し出す。
ミュルガリルがタルバンの腕に手をかけると、そのまま引っ張っていく。
さらに奥へと進んで広間に出ると、何人もの美女がソファに腰かけて待っていた。

「さぁ、誰にします?」

タルバンが美女達を見回す。

肌の艶、髪の色、瞳の輝きは様々。
背が高めのものもいれば、小柄なものもいる。
衣服を吹き飛ばしそうなくらい豊かな肉付きもあれば、ドレスの色柄を邪魔しないほどスリムな場合もある。

女達の反応もいろいろだ。

軽く唇を突き出したり、素早くウインクしたりする小さな反応を見せる女達。
ヒラヒラと手を振ったり、満面の笑ったりして存在を示す女達。
腕で挟んで豊かな胸をさらに強調したり、大きく脚を組み替えたりして誘う女達。

「誰と言われても…」

娼館はもちろんのこと、これほどの女達から注目を浴びたのは初めてのタルバン。
美女達の間を目移りするばかりだった。

「ふむ…」

決めきれないタルバンを見たカルトメリは、ミュルガリルを呼ぶと、ある女の名前を耳打ちする。
ミュルガリルは居並ぶ女の中から、1人の女性を手招きした。

「トリックスよ、いかが?」
「あ、その…」

戸惑うタルバンをカルトメリが引き寄せる。

「金髪に青い瞳、どうだ?誰かに似てるだろ」

言うまでもなくテレシア・リフォリア子爵令嬢のこと。

「兄さん、何を考えてるんですか?」
「うん?嫌なら、引っ込んでもらうぞ」
「それは、その…」

言い淀むタルバンをカルトメリが押し出す。

「大事な弟だ。しかも初めてでな。よろしく頼む」
「ええ、喜んで」

何も言えないままとなっていたタルバンの手を取ったトリックスは、そのまま奥へと消えて行った。

「デュラン、オルギュール、お前達は誰にする?」
「私は、あの人を…」

デュランは女達の中から、黒髪でスリムな女性を指さした。
ミュルガリルが手招きすると、小さくうなずいた女がデュランの前に立つ。

「アルカンです。どうぞよろしくお願いいたします」

デュランの腕を取ったアルカンも、そのまま奥へと消えて行った。

残るは1人。

「オルギュール?」
「私はちょっと…」
「体調でも悪いのか?」
「そう言うわけではありませんが…」
「これまでは2人、3人と連れて行ったこともあったじゃないか?」

そんなオルギュールを知っている女達から声があがる。

「閣下!人聞きの悪い」
「ここで人聞きを気にしてどうする」
「まあ、そうですが…」
「気になる女性でもできたのか?」

またしても女達から声があがる。

「いえ、その…」
「煮え切らなんな。おーい、オルギュールの相手をしたいってのはいるか?」

カルトメリの呼びかけに、赤毛の女が「はいっ!」と手を上げる。
一瞬遅れて何人もの女が手を上げるが、カルトメリは赤毛の女に向けてオルギュールを押した。

「楽しんで来い!」

結局、オルギュールも赤の女性と奥へと消えて行った。

「閣下は良いのですか?」

ミュルガリルが尋ねると、「ああ」とうなずく。

「酒と料理を持ってこい!皆もやってくれ!」

そう言ってカルトメリは女達の中へと飛び込んで行った。
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