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第95話 追う者と追われる者
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「追う方が有利だったか」
宿の窓から外を覗いたタルバンは馬車の列に目を見張る。
予定を変更した先に待っている者はいなかったが、夜に入ると続々と馬車が止まり始めた。
「申し訳ありません。これ程とは…」
「いやいや、謝ることじゃない」
「そうです。先様の熱意が優ったと見ましょう」
謝るオルギュールに、タルバンとデュランが声をかける。
「まあ、順に会っていくか」
「すぐに用意いたします」
デュランが部屋を出て行った。
「明日はもう少し工夫して…」
言いかけたオルギュールを、タルバンが「いや…」と止める。
「こちらの実りも少なく、相手にも苦労をかける小細工は止めよう。公爵閣下の旅程に戻して欲しい」
「かしこまりました」
その日は8組の訪問を受ける。
もちろんいずれの訪問者も女性を連れていた。
翌日、早めに出発した一行は予定の宿へと早めに到着。
王都に近いこともあってか、初日の倍となる40組の訪問を受けた。
言わずもがな、全ての訪問者が女性を伴っていた。
「さすがに疲れたよ」
ソファに体を投げ出したタルバンにデュランがグラスを差し出した。
赤い液体を-ワイン-を見たタルバンの顔がほころぶ。
「助かる」
「本当にお疲れ様でした」
一気にあおったタルバンは、「お代わりは?」とグラスを出す。
しかし、デュランが首を振ったのを見て諦めた。
「明日は王都ですから」
「そうだな」
「ところで一昨日、昨日と合わせて印象に残った女性はいましたか?」
タルバンはグラスを眺めつつ、「うーん」と考える。
適齢期を逃したであろう中年女性や年端も行かない少女は別として、身目麗しい美女もいたし、愛嬌あふれる可愛らしい女性もいた、が…。
「皆、それぞれに素敵だったよ」
「言い換えれば、取り立てて…ですか?」
タルバンは「手厳しいな」と笑った。
そこに強めのノックと「オルギュールです」との声が聞こえた。
タルバンが「どうぞ」と答えると、やや疲れた顔のオルギュールが入ってくる。
「皆様、お帰りになられました」
「そうか。お疲れ様」
デュランがオルギュールにワインの入ったグラスを差し出す。
オルギュールは断ろうとしたが、タルバンがうなずくのを見て、グラスを受け取って口を付けた。
「明日は王都だな」
「はい、さすがに公爵家にまで押しかけてくる方はいないと思います」
「押しかけては来ないだろうが…」
「何か気になることでもございますか?」
タルバンはオルギュールの顔を見る。
「閣下と娼館に行ったことはあるか?」
いきなりの質問でオルギュールはグラスを落としそうになる。
「無くはないよな」
「ええ、まあ、何度か…」
「数回だけ、じゃないよな」
「いや、何とも…」
デュランが口を挟む。
「タルバン様、娼館がどうかなさいましたか?」
「うーん、まあ、良いか…」
タルバンは「もう休もう」と2人に促す。
デュランもオルギュールも「はあ」と、あいまいにうなずいた。
宿の窓から外を覗いたタルバンは馬車の列に目を見張る。
予定を変更した先に待っている者はいなかったが、夜に入ると続々と馬車が止まり始めた。
「申し訳ありません。これ程とは…」
「いやいや、謝ることじゃない」
「そうです。先様の熱意が優ったと見ましょう」
謝るオルギュールに、タルバンとデュランが声をかける。
「まあ、順に会っていくか」
「すぐに用意いたします」
デュランが部屋を出て行った。
「明日はもう少し工夫して…」
言いかけたオルギュールを、タルバンが「いや…」と止める。
「こちらの実りも少なく、相手にも苦労をかける小細工は止めよう。公爵閣下の旅程に戻して欲しい」
「かしこまりました」
その日は8組の訪問を受ける。
もちろんいずれの訪問者も女性を連れていた。
翌日、早めに出発した一行は予定の宿へと早めに到着。
王都に近いこともあってか、初日の倍となる40組の訪問を受けた。
言わずもがな、全ての訪問者が女性を伴っていた。
「さすがに疲れたよ」
ソファに体を投げ出したタルバンにデュランがグラスを差し出した。
赤い液体を-ワイン-を見たタルバンの顔がほころぶ。
「助かる」
「本当にお疲れ様でした」
一気にあおったタルバンは、「お代わりは?」とグラスを出す。
しかし、デュランが首を振ったのを見て諦めた。
「明日は王都ですから」
「そうだな」
「ところで一昨日、昨日と合わせて印象に残った女性はいましたか?」
タルバンはグラスを眺めつつ、「うーん」と考える。
適齢期を逃したであろう中年女性や年端も行かない少女は別として、身目麗しい美女もいたし、愛嬌あふれる可愛らしい女性もいた、が…。
「皆、それぞれに素敵だったよ」
「言い換えれば、取り立てて…ですか?」
タルバンは「手厳しいな」と笑った。
そこに強めのノックと「オルギュールです」との声が聞こえた。
タルバンが「どうぞ」と答えると、やや疲れた顔のオルギュールが入ってくる。
「皆様、お帰りになられました」
「そうか。お疲れ様」
デュランがオルギュールにワインの入ったグラスを差し出す。
オルギュールは断ろうとしたが、タルバンがうなずくのを見て、グラスを受け取って口を付けた。
「明日は王都だな」
「はい、さすがに公爵家にまで押しかけてくる方はいないと思います」
「押しかけては来ないだろうが…」
「何か気になることでもございますか?」
タルバンはオルギュールの顔を見る。
「閣下と娼館に行ったことはあるか?」
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「無くはないよな」
「ええ、まあ、何度か…」
「数回だけ、じゃないよな」
「いや、何とも…」
デュランが口を挟む。
「タルバン様、娼館がどうかなさいましたか?」
「うーん、まあ、良いか…」
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