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第94話 谷間に咲くスミレ
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「どうしてこんなひどいことを…」
長い時間をかけた3度の交わりが終わった。
ようやく束縛から逃れたヴァイオレットが股間に手を触れると、男の体液があふれ出る。
亡き夫の弟であるグレイをにらむ。
「ひどい?随分と気分を出していたようだが?」
「そんな…」
グレイの夫に似た声を耳にすると、ヴァイオレットの体の芯が熱くなる。
「あなたの兄である夫のことを忘れたのですか?」
グレイは「ふん」と皮肉交じりに笑う。
「弟がダメと言うのなら、息子なら良いのかい?」
「どうして、それを…」
「同じ獲物を狙う狩人同志は分かるものさ」
「獲物って…」
「先を越されたのは残念だが、あんな若造…」
グレイはヴァイオレットを腕を握って引き寄せると、胸元に吸い付く。
「いやっ!」
赤黒い跡を付けるとグレイは手を離す。
ヴァイオレットは指を当てるが、そう簡単に消えるものではない。
「そのうち身も心の俺のものにしてやる。忘れるな」
グレイは服を整えると、寝室を出ていった。
「あなた…、助けて…」
ヴァイオレットの静かな泣き声が止まなかった。
----- 谷間に咲くスミレ 第3章 完 -----
【この先はどうなるのですか?】
アラーナの輝く瞳に負けたパルマは引き出しから紙の束を差し出した。
一番最初に「谷間に咲くスミレ 第4章」と書いてある。
『谷間に咲くスミレ』はパルマの創作した5作目の物語。
若くして富豪の後妻となったヴァイオレット。
「金目当て」と陰口を叩かれながらも、夫からの真摯な愛情と優しくも激しい夫婦の営みに幸せを感じていた。
しかし夫が事故死したことで、ヴァイオレットは未亡人となってしまう。
そんな彼女に、それまで非難していた義弟のグレイと義理の息子のダークが言い寄ってくる。
どこか夫の面影を感じる2人に、抗えないヴァイオレットは身を任せてしまった。
【この先も楽しみです】
「何とか頑張ってみます」
【これらはパルマの経験を活かしてるのですか?】
パルマは「とんでもない」と手を振った。
「男と付き合ったことなんて一度もありません」
【気になる人もいないのですか?】
パルマは天井を見上げつつ、「いませんねえ」と返事する。
【少し前に知り合いの男性と歩いているところを見かけました】
「そこまでってことです。ですから、ぜーんぶ想像です」
【それで、ここまで書けるなんてすごいです】
パルマは意地悪っぽい顔を見せる。
「ですから、アラーナ様には教えていただきたいですね」
【私がですか?】
「はい、結婚の後で公爵様とアラーナ様がどんな夜を過ごされたのかを」
アラーナが思い切り首を振った。
「実録ものなんて面白そうですね。『A令嬢は語る!K公爵との熱い夜!』とか」
アラーナは手にした板でパルマを叩こうとする。
それを避けるべく、パルマが紙束を頭に乗せた。
その紙束がアラーナの目に留まった。
【そちらは新作ですか?】
パルマは紙束を隠す。
「こ、こちらは構想の段階ですので、まだ読ませられるものではなくて」
【できあがったら読ませてくださいね】
「まあ、そのうちに、あまり期待しないでください」
紙束を横に置いたパルマは本が詰まった袋を渡す。
「こちらはデュランのところから持ってきたものです」
【こんなにたくさん】
「王都に行っていますから、いろいろ持ってきました」
アラーナは袋の中から1冊を取り出すと、そっと開いてみる。
服を乱した女性の周囲を3人の男性が取り囲んでいる絵が大胆に描かれていた。
パルマは「クスッ」と笑う。
「デュランが良く見ているところなのでしょうね」
あわてて閉じたアラーナの頬は赤らんでいる。
「今夜にでもゆっくりとご覧ください。でも夜更かしはいけませんよ」
【ありがとう】
袋と紙束を抱えたアラーナは恥じらいつつもうれしそうにパルマの部屋を出ていった。
「さて…」
先ほど隠した紙束を取り出す。すんなり書いて行けば、5作目の物語になるはず。
跡取り息子として伯爵家に生まれたものの、訳あって女のように育てられた主人公。
成長して後、偶然出会った若き公爵から愛の告白を受ける。
男と気づかないまま主人公を押し倒した公爵は意外な事実に驚く。
それでも他人に渡す気になれない公爵は主人公とひと晩を共ににする。
「出てくる2人が誰かって…分るよねえ」
パルマは紙束で顔を仰いだ。
長い時間をかけた3度の交わりが終わった。
ようやく束縛から逃れたヴァイオレットが股間に手を触れると、男の体液があふれ出る。
亡き夫の弟であるグレイをにらむ。
「ひどい?随分と気分を出していたようだが?」
「そんな…」
グレイの夫に似た声を耳にすると、ヴァイオレットの体の芯が熱くなる。
「あなたの兄である夫のことを忘れたのですか?」
グレイは「ふん」と皮肉交じりに笑う。
「弟がダメと言うのなら、息子なら良いのかい?」
「どうして、それを…」
「同じ獲物を狙う狩人同志は分かるものさ」
「獲物って…」
「先を越されたのは残念だが、あんな若造…」
グレイはヴァイオレットを腕を握って引き寄せると、胸元に吸い付く。
「いやっ!」
赤黒い跡を付けるとグレイは手を離す。
ヴァイオレットは指を当てるが、そう簡単に消えるものではない。
「そのうち身も心の俺のものにしてやる。忘れるな」
グレイは服を整えると、寝室を出ていった。
「あなた…、助けて…」
ヴァイオレットの静かな泣き声が止まなかった。
----- 谷間に咲くスミレ 第3章 完 -----
【この先はどうなるのですか?】
アラーナの輝く瞳に負けたパルマは引き出しから紙の束を差し出した。
一番最初に「谷間に咲くスミレ 第4章」と書いてある。
『谷間に咲くスミレ』はパルマの創作した5作目の物語。
若くして富豪の後妻となったヴァイオレット。
「金目当て」と陰口を叩かれながらも、夫からの真摯な愛情と優しくも激しい夫婦の営みに幸せを感じていた。
しかし夫が事故死したことで、ヴァイオレットは未亡人となってしまう。
そんな彼女に、それまで非難していた義弟のグレイと義理の息子のダークが言い寄ってくる。
どこか夫の面影を感じる2人に、抗えないヴァイオレットは身を任せてしまった。
【この先も楽しみです】
「何とか頑張ってみます」
【これらはパルマの経験を活かしてるのですか?】
パルマは「とんでもない」と手を振った。
「男と付き合ったことなんて一度もありません」
【気になる人もいないのですか?】
パルマは天井を見上げつつ、「いませんねえ」と返事する。
【少し前に知り合いの男性と歩いているところを見かけました】
「そこまでってことです。ですから、ぜーんぶ想像です」
【それで、ここまで書けるなんてすごいです】
パルマは意地悪っぽい顔を見せる。
「ですから、アラーナ様には教えていただきたいですね」
【私がですか?】
「はい、結婚の後で公爵様とアラーナ様がどんな夜を過ごされたのかを」
アラーナが思い切り首を振った。
「実録ものなんて面白そうですね。『A令嬢は語る!K公爵との熱い夜!』とか」
アラーナは手にした板でパルマを叩こうとする。
それを避けるべく、パルマが紙束を頭に乗せた。
その紙束がアラーナの目に留まった。
【そちらは新作ですか?】
パルマは紙束を隠す。
「こ、こちらは構想の段階ですので、まだ読ませられるものではなくて」
【できあがったら読ませてくださいね】
「まあ、そのうちに、あまり期待しないでください」
紙束を横に置いたパルマは本が詰まった袋を渡す。
「こちらはデュランのところから持ってきたものです」
【こんなにたくさん】
「王都に行っていますから、いろいろ持ってきました」
アラーナは袋の中から1冊を取り出すと、そっと開いてみる。
服を乱した女性の周囲を3人の男性が取り囲んでいる絵が大胆に描かれていた。
パルマは「クスッ」と笑う。
「デュランが良く見ているところなのでしょうね」
あわてて閉じたアラーナの頬は赤らんでいる。
「今夜にでもゆっくりとご覧ください。でも夜更かしはいけませんよ」
【ありがとう】
袋と紙束を抱えたアラーナは恥じらいつつもうれしそうにパルマの部屋を出ていった。
「さて…」
先ほど隠した紙束を取り出す。すんなり書いて行けば、5作目の物語になるはず。
跡取り息子として伯爵家に生まれたものの、訳あって女のように育てられた主人公。
成長して後、偶然出会った若き公爵から愛の告白を受ける。
男と気づかないまま主人公を押し倒した公爵は意外な事実に驚く。
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「出てくる2人が誰かって…分るよねえ」
パルマは紙束で顔を仰いだ。
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