【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第102話 強行日程

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「お世話になりました」

広々とした公爵邸に深い闇がまとわりつく。

玄関に見送りに出たヴァイン・ワーレンバーグ先代公爵とプリス夫人にタルバンが頭を下げた。
少し離れたところでは、デュランもコーネリアに公爵邸を案内したお礼を伝えている。

「実質1日では大したもてなしもできなかったな」
「そんなことはありません。本当に感謝しております」
「機会があれば、いつでも遊びに来なさい」
「ご厚意、ありがとうございます。来月にはもう一度アラーナがお世話になると思います」
「おお!楽しみに待っておるぞ」
「はい」

再度、深く頭を下げた。
そんなタルバンの肩をカルトメリが引っ張り上げて、耳元でささやく。

「昨日、でもって、今日と楽しんだしな」
「兄さん、ありがと」

タルバンも小声で答えた。

「本番で戸惑わない程度には経験を積めたか?」
「うーん、まあ、何とか、トリックスさんのお陰で」
「そりゃ良かった」

カルトメリはタルバンの頭を思い切り撫でる。

その時、公爵邸を見上げたタルバンは2階の窓が目に入る。
テレシア・リフォリア子爵令嬢がタルバンを見下ろしていた。
どこか気まずい思いを抱えつつテレシアに向かって会釈すると、テレシアは笑顔で手にした扇子を振った。

「じゃあ、気をつけてな」
「はい」

フードを目深に被ったタルバンとデュランが馬にまたがる。
これまたフードを被ったオルギュールが「出発!」と合図した。

本来、タルバンがワーレンバーグ公爵家を離れるのは明日の昼頃の予定だった。
しかし移動中の訪問を避けるため、予定を繰り上げた上、2日で駆け抜ける強行日程を組んだ。

「どこまで上手く行くか…」
「タルバン様、ダメで元々ですよ」
「私もやってみる価値はあると思います」

タルバンは半信半疑だったが、デュランとオルギュールの強い勧めもあって実行された。

結果として強行日程の効果は十分にあった。

単に追いかけるだけであれば、不可能ではなかっただろう。
しかし年頃の女性を連れて訪問することは難しかった。

1日目に泊まった宿に訪問者はなし。

2日目の夜には近隣領主2名の訪問を受けた。

どちらも急いで駆けつけた様がありありとしており、汗を拭きつつ社交辞令を述べた後、本題に入る。

「カルトメリ・ワーレンバーグ公爵閣下によろしくお伝えください」
「確かに承りました」

2人とも結婚祝いの贈り物も持参していたが、丁寧に遠慮してカードのみ受け取った。

「かなり効果があったな」
「しかしアラーナ様の時には、この手は使えませんね」
「また何か別の手を考えましょう」

2日目の昼過ぎにクリスパ領に入った一行は、夕刻前にはクリスパ邸に付いた。

「お帰りなさいませ」

ラッペル夫妻とパルマ、そしてアラーナが出迎える。

「それでは我々はこれで」
「うむ、助かった」

一休みしたオルギュールら騎士達は王都へと馬を走らせて行った。
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