【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第115話 公爵の再訪

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「見えたぞ!」

カルトメリ・ワーレンバーグ公爵がクリスパ領に入った。
3日後に行われる結婚式のためだ。

真っすぐクリスパ家に向かうのではなく、途中で2泊しつつ、あちこちの町や村に寄って行く。
カルトメリ公爵が通りがかった町や村では、どこも歓声で迎えられた。

これには理由がある。

結婚披露の一環として、クリスパ領内の男達には酒と肉、女や子供には菓子と果物が振舞われた。
もちろん全てワーレンバーグ公爵家の持ち出しだ。

「そのくらいは良かろう」

クリスパ領の近くに住む近隣領民の便乗は大目に見られた。

「それは許すな」

騒ぎに乗じた盗っ人や詐欺の類いは、自警団に加えて公爵家の騎士らが厳重に取り締まった。

「多少はきれいになっただろう」
「そのようですな」

万が一にそなえてオルギュールら騎士が目を光らせるが、怪しい気配すら感じることはなかった。

「お待ちしておりました」

クリスパ領に建てられたワーレンバーグ公爵家の別邸では、執事のコーネリア・センシスが出迎える。

「うむ」
「後程、タルバン・クリスパ伯爵様が参られるとのことです」
「そうか」

居間でくつろぐカルトメリの耳に、ひづめの音が聞こえた。
窓から下を見ると、4頭の馬が見える。

「タルバン、パルマ、デュランと…誰だ?」

しばらくして居間の扉がノックされた。

「入れ」

コーネリアが4人を案内すると、扉を閉めて出て行った。

「タルバン?」

カルトメリの前に革鎧を着たタルバンが立っている。

タルバンに近づいたカルトメリは顔を見つめた後、「…じゃない」と言い切った。
カルトメリは付いてきたパルマに声をかける。

「見事なものだな」
「いえ、公爵閣下には敵いません」

たちまち見破ったカルトメリに、パルマが『降参です』とばかりに首を振る。

「するとお前が?」

一緒に付いてきた3人の中でカルトメリが見知らぬ顔がある。

「召使いのバルタです」

顔が違うものの、声でタルバンと分かる。

「本当に見事なものだ」

それだけ言うと、タルバン(アラーナ)の顔に手を添えて口づけした。

パルマとデュランは顔を反らす。
バルタ(タルバン)は小さくため息をついた。

2度、3度と口づけを繰り返すカルトメリとタルバン(アラーナ)。
バルタ(タルバン)が咳払いで中断させた。

「そろそろ明日のことを話しましょう」

カルトメリとタルバン(アラーナ)は名残惜しそうに、もう1度口づけした。

しばらく5人で話し合った後、タルバン(アラーナ)らは別邸を去る。

「それでは明日」

カルトメリがタルバン(アラーナ)の手を握ると、タルバン(アラーナ)がうなずく。
馬に乗って去っていく4人の背中をカルトメリは長く見送った。
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