【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

文字の大きさ
176 / 250

第117話 執事と執事

しおりを挟む
「とてもよくお似合いですね」

間もなく結婚式が始まるであろう時間。
盛装に身を包んだコーネリアにデュランが声をかけた。

これまでの執事姿と大きく異なるのは、光沢のある紺色の生地が足首まで伸びた細身のロングスカート。
そして首の周りにはネクタイの代わりに白いスカーフをゆったりと巻いていた。

さらに髪にはシンプルな白い髪留め。

「別にあなたのために着飾った訳ではありません!」
「ええ、結婚式ですから」
「そうです!」

強く言い張るコーネリアに、デュランは笑顔を崩さない。

「コーネリアさんに気に入った頂けたようで良かったです」
「あ…」

コーネリアは髪留めに手を当てた。

「これは、その、ありがとうございます」
「私の見立てもまんざらではなかったようですね」
「…ええ、気に…入りました」

正直な気持ちを口にしつつも、デュランから目を反らして顔を伏せがちにする。

「そのままの格好でも執事の仕事はできそうですが…」
「いざと言う時に走れないのは困ります」
「確かに」

デュランはスカーフに手を触れる。

「な、何を…」

軽く引っ張ってスカーフのひだをそろえた。

「こうすると、美人度が上がりますよ」
「び、美人って…」
「自覚、ありません?」
「執事の仕事に容姿は…」
「関係ないですけど、逆に言えば、容姿を整えても良いってことですよね」
「まあ、それは、そうですけど」

コーネリアは深呼吸して風向きを変えようと試みる。

「デュランさんは、クリスパ伯爵家でどんな執事の仕事をしてるんですか?」

いきなりの質問にデュランは考え込んだ。

「うーん、執事と言うよりも、何でも屋ですね」
「何でも屋?」
「馬番、掃除夫、大工、伝令、庭師、釜焚き、鍛冶師…、あ、騎士も」

デュランは指折り数えて行く。

「肝心の執事が出てきませんね」
「で、合間に執事」

コーネリアは呆れつつも微笑みを見せた。

「ワーレンバーグ公爵家に行けば執事職に専念できそうですが…」
「が?」
「他の全く仕事を知らないよりも、知っておけば役に立つこともあるでしょう」
「それは、そうですね」

コーネリアは少し考える。

「では、ワーレンバーグ公爵家に来た折には、公爵家なりの執事職についてお教えしましょう」
「はあ、ありがとうございます」
「その対価として、他の職について教えてください」
「え?」
「執事以外の職であっても、さわりくらい知っておいて損は無いのでしょう?」
「ええ、まあ」

デュランは少しがっかりした顔をする。

「執事職について教えてもらうお礼にイヤリングでも、と思ったんですが…」

何の飾りもないコーネリアの耳に手を伸ばそうとするが、コーネリアはデュランの手を跳ねのけた。

「娼館に行く間もないくらいに、忙しくしてさしあげますよ」

強引に風向きを変えたコーネリアがニヤリと笑う。

「えっ!知ってたんですか?」
「公爵家の執事であれば、夜中であっても人の出入りくらい把握していて当然です」
「……」
「仕事をしっかりこなしていれば、とがめるようなことはしませんけどね」

見る見るうちにデュランの肩から力が抜けて行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

処理中です...