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第134話 ソバとヤギ
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【これが良さそうです】
アリィ(アラーナ)が農業書を広げた。
「ソバ?」
【ソバです】
「もう、あるよね」
アリィ(アラーナ)が首を振る
【今育てているものとは別の品種です】
3人が農業書に見入る。
元々、ソバは地味が貧しい土地でも育ちやすい作物だ。
逆に貧しい土地では育つのがソバくらいしかないとも言える。
アリィ(アラーナ)が見つけたソバは、日当たりや気温が厳しい地域でも収穫が期待できそうな品種とある。
「へえ」
「なるほど」
「同じソバでもかなり違うようですね」
【問題は入手できるかどうか】
そこでアラーナ(タルバン)が胸を張る。
「こんな時こそ、ワーレンバーグ公爵家でしょ」
まるで自分のことのように言う。
「いくつかの商会に当たってみるさ」
デュランが別の本を持って来る。
「これも一緒に頼めないかな」
デュランの本に描かれているのは頭に2本の角がある小柄な動物。
【ヒツジ?ヤギ?】
「うんうん、ヤギです」
デュランの本に視線が集まる。ヤギの品種に「パシュミール」とある。
【糸?】
「肉でもなく、乳でもなく、糸?」
「このヤギから作る織物が貴重だとか」
「ほう」
そして日当たりや気温が厳しい土地でも育ちやすいとある。
「雄と雌を何匹か仕入れて、繁殖させて、毛を刈って…」
アラーナ(タルバン)が指折り数える。
思わずため息が出てしまう。
「5年、10年がかりの事業になりそうですね」
「そうだなあ」
【やって見なければ成功はありません】
アラーナ(タルバン)が「そうだな」と同意したところで、
トン!トン!トン!
書斎の扉を叩く音がした。
慌てて4人が取り繕う。
別邸の主人であるアラーナ(タルバン)が中心となり、使用人の3人が取り巻くように。
「私だ」
声がカルトメリと分かって、4人の気が抜けた。
「どうぞ」
アラーナ(タルバン)が声を返すと、カルトメリが顔を覗かせる。
ここまで付いてきた侍女を下がらせると、アリィ(アラーナ)に駆け寄る。
アラーナ(タルバン)は視線を反らし、パルマとデュランは体ごとそっぽを向く。
「会いたかった」
カルトメリがアリィ(アラーナ)を強く抱きしめて口づけする。
アリィ(アラーナ)もカルトメリの口を強く吸った。
チュパッ
チュッ
チュポン
・
・
・
「ゴッホン、ゲッホン」
しばらく待っていたアラーナ(タルバン)が、わざとらしく咳ばらいをする。
カルトメリがアリィ(アラーナ)を放した雰囲気を察して、パルマとデュランも体の向きを戻した。
「兄さん、まだ日が高いですよ」
「日が高いと愛妻に口づけしてはいかんのか?」
「…好きにしてください」
「おっ、許可が出たぞ」
カルトメリはアリィ(アラーナ)を抱き寄せると、頬に口づけする。
アリィ(アラーナ)は、いくらかくすぐったい顔をしたが、抵抗はしない。
「…話しを戻したいんですけど」
「問題ない。耳は向いている」
その耳をアリィ(アラーナ)が軽く引っ張ると、カルトメリは開かれた本を見る。
「ソバ、と……ヤギ?」
「これならクリスパ領でも育つんじゃないかと」
「ふむ」
カルトメリも本に見入る。
「すると、入手先か?」
「ええ、ワーレンバーグ公爵家で当てはありませんか?」
「うーん」
カルトメリがポンと手を打つ。
「ココット商会に当たってみよう」
「ココット商会?」
【クランダルク王国の商人ではないですね】
「うむ、5年ほど前から勢力を伸ばしてきた商会だ。手広く物を扱っている。それに…」
「?」
何かを言いかけたカルトメリだったが、「まあ、呼んでおくよ」と言葉を切った。
アリィ(アラーナ)が農業書を広げた。
「ソバ?」
【ソバです】
「もう、あるよね」
アリィ(アラーナ)が首を振る
【今育てているものとは別の品種です】
3人が農業書に見入る。
元々、ソバは地味が貧しい土地でも育ちやすい作物だ。
逆に貧しい土地では育つのがソバくらいしかないとも言える。
アリィ(アラーナ)が見つけたソバは、日当たりや気温が厳しい地域でも収穫が期待できそうな品種とある。
「へえ」
「なるほど」
「同じソバでもかなり違うようですね」
【問題は入手できるかどうか】
そこでアラーナ(タルバン)が胸を張る。
「こんな時こそ、ワーレンバーグ公爵家でしょ」
まるで自分のことのように言う。
「いくつかの商会に当たってみるさ」
デュランが別の本を持って来る。
「これも一緒に頼めないかな」
デュランの本に描かれているのは頭に2本の角がある小柄な動物。
【ヒツジ?ヤギ?】
「うんうん、ヤギです」
デュランの本に視線が集まる。ヤギの品種に「パシュミール」とある。
【糸?】
「肉でもなく、乳でもなく、糸?」
「このヤギから作る織物が貴重だとか」
「ほう」
そして日当たりや気温が厳しい土地でも育ちやすいとある。
「雄と雌を何匹か仕入れて、繁殖させて、毛を刈って…」
アラーナ(タルバン)が指折り数える。
思わずため息が出てしまう。
「5年、10年がかりの事業になりそうですね」
「そうだなあ」
【やって見なければ成功はありません】
アラーナ(タルバン)が「そうだな」と同意したところで、
トン!トン!トン!
書斎の扉を叩く音がした。
慌てて4人が取り繕う。
別邸の主人であるアラーナ(タルバン)が中心となり、使用人の3人が取り巻くように。
「私だ」
声がカルトメリと分かって、4人の気が抜けた。
「どうぞ」
アラーナ(タルバン)が声を返すと、カルトメリが顔を覗かせる。
ここまで付いてきた侍女を下がらせると、アリィ(アラーナ)に駆け寄る。
アラーナ(タルバン)は視線を反らし、パルマとデュランは体ごとそっぽを向く。
「会いたかった」
カルトメリがアリィ(アラーナ)を強く抱きしめて口づけする。
アリィ(アラーナ)もカルトメリの口を強く吸った。
チュパッ
チュッ
チュポン
・
・
・
「ゴッホン、ゲッホン」
しばらく待っていたアラーナ(タルバン)が、わざとらしく咳ばらいをする。
カルトメリがアリィ(アラーナ)を放した雰囲気を察して、パルマとデュランも体の向きを戻した。
「兄さん、まだ日が高いですよ」
「日が高いと愛妻に口づけしてはいかんのか?」
「…好きにしてください」
「おっ、許可が出たぞ」
カルトメリはアリィ(アラーナ)を抱き寄せると、頬に口づけする。
アリィ(アラーナ)は、いくらかくすぐったい顔をしたが、抵抗はしない。
「…話しを戻したいんですけど」
「問題ない。耳は向いている」
その耳をアリィ(アラーナ)が軽く引っ張ると、カルトメリは開かれた本を見る。
「ソバ、と……ヤギ?」
「これならクリスパ領でも育つんじゃないかと」
「ふむ」
カルトメリも本に見入る。
「すると、入手先か?」
「ええ、ワーレンバーグ公爵家で当てはありませんか?」
「うーん」
カルトメリがポンと手を打つ。
「ココット商会に当たってみよう」
「ココット商会?」
【クランダルク王国の商人ではないですね】
「うむ、5年ほど前から勢力を伸ばしてきた商会だ。手広く物を扱っている。それに…」
「?」
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