【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第137話 新たな問題

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「なるほど…」

ハルトは農業書を手に取った。

「こちらのソバであれば、来週にもお届けできます」

提案したアリィ(アラーナ)の顔が明るくなった。

「基本的な育て方は変わらないと思いますし、数年で安定した収穫が期待できるでしょう」
「良かった」

安心したアラーナ(タルバン)に、ハルトは「お待ちください」と手を広げる。

「私が知る限り実の粒が大きいんですよ」

アラーナ(タルバン)は不思議そうな顔をする。

「大きければ収穫や加工は楽ですし、食べやすいのでは?」
「その通りですが、質が不揃いであったり大味でもあったり…」
「つまり、おいしくない、と」
「ありていに言えば」

アラーナ(タルバン)は少し考えたが、「それでもお願いします」と頼んだ。

「とりあえず生産体制を整えることを優先させます。食べ方はその後に考えましょう。最悪は飼料にでも…」
「承知しました。できるだけ早くお届けします」
「はい」
「届け先はこちらに?それともクリスパ領へ?」
「そうね。クリスパ領に運んでください」

話題はヤギに移る。

「パシュミーラ品種ですね。織物は取り扱っていますが…」
「難しいですか?」
「雄と雌、それぞれ何匹か必要ですよね」
「はい」
「できると思います。ただ、ひと月ほどお待ちください」
「分かりました」
「で、こちらもクリスパ領に?」
「ええ」

ハルトが改めてアラーナ(タルバン)の顔を見る。

「私が自らお届けしましょう。ですので…」
「はあ?」
「タルバン・クリスパ伯爵様に紹介状を書いていただけますか?」

ハルトに対峙した3人の息がわずかに止まる。
まさか「あらあら、タルバンなら、ここにいますよー」などとは言えない。

「アラーナ様と双子なのですよね。お会いできるのが楽しみです」
「ああ、その、そこまでして頂くことも…ないかな…と」
「そうですか?」
「ええ、ココット商会の方にでも届けていただければ。もしくはワーレンバーグ公爵家に運んで…」
「いえいえ、私の好奇心ですから。それにもしかしたら、もしかしたら、ですよ」
「?」
「アラーナ様の姉になれるかもしれませんし」

またもアリィ(アラーナ)とパルマが噴き出しそうになるのを精一杯こらえる。
アラーナ(タルバン)が咳払いして、横目で睨んだ。

「本当にもしかしたら、ですから。アラーナ様はお気になさらず」
「え、ええ、まあ、用意しておきましょう」

そんな話をしている間に。クリスパ領ではちょっとした騒動が起きていた。

無論、クリスパ領の当主であるタルバンを始め、アラーナもパルマもデュアンも知らない。
皆がそろってワーレンバーグ公爵家の別邸にいるためだ。

領地を切り盛りしているホルスト・ラッペルから手紙が届くまでは。
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