【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第136話 ハルトの心境

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「最初は怖かったんですよ」

ハルト・ラント・ココットはわざとらしく身を縮こませた。

「公爵家の家人が驚かせてしまったようですね」

ハルトは「ええ」と大きくうなずいた。

「私の身元調査をしているらしいと分かるまでは、お父様もお爺様も私を閉じ込めておこうとしたり…」
「申し訳ありませんでした」

直接関わっていないものの、この場にいるワーレンバーグ公爵家の一員としてアラーナ(タルバン)が謝罪した。

「いえいえ、事情を察してからは、身に余る光栄と言うか、まさか私がと言うか…」

ハルトの言いように、アラーナ(タルバン)が「フフッ」と笑う。

「ところで、アラーナ様のクリスパ領ではいかがでしたか?」
「今にして思えば、見知らぬ人がいるなあと言うくらいで…」
「そうなんですね」
「まあ、クリスパ領自体が貧しい土地ですので、取られるものがないと言っても良いくらいで」
「でも“クリスパの宝石”が狙われていたんですよね」

アラーナ(タルバン)が笑みを強める。
後ろで聞いていたアリィ(アラーナ)は厚めの化粧の下で頬を赤らめた。

「その呼び方がふさわしいのかどうか…」

アラーナ(タルバン)の言葉にハルトが大笑いする。

「お似合いですよ。選ばれなかった私は言うのも変ですけど」

反応に困ったアラーナ(タルバン)は苦笑する。

「ただ、まさか私が公爵夫人にって気持ちが強かったので、落ち込むようなことはありませんでした」
「……」
「まあ、それはそれとして選ばれた人が気になりました」
「それで……」
「ええ、『ぜひ』なんですよ」

アラーナ(タルバン)はうなずいた。

「それで、いかがでしたか?」

ハルトは右手の人差し指を立てる。

「1つだけ、1つだけ確実に負けた……って、思いました」
「そう…1つ…。どこかお聞きしても?」

ハルトは「ここです」と自分の胸を両手でつかんで、ギュギュッと揉んだ。

一瞬、部屋が静まり返った後、アラーナ(タルバン)が噴き出した。
アリィ(アラーナ)とパルマも笑いをこらえるのに必死になる。

さらにアラーナ(タルバン)は腕と扇子で胸-パルマの傑作-を隠す。
この辺りのしぐさは、もはや自然なもの。

「失礼いたしました」

ハルトが深く頭を下げる。

「もっとも、その他が優っているってわけでもありませんし、素敵な公爵夫人だと思います」
「ありがとうございます」

アラーナ(タルバン)も深く頭を下げた。

それで終わりかと思ったものの、ハルトが話しを続ける。

「それに、王都で開催された結婚披露パーティーでも、ひと騒動あったとか」
「……そうでしたか?」

アラーナ(タルバン)は素知らぬふりをしようとしたが、ハルトは逃がさない。

「私だったら、逆に噴水へ突き落していたかもしれませんね」
「まあ!」

アラーナ(タルバン)は大げさに反応する。
ココット商会の耳目は、いろいろと遠くまで見聞きできるようだ。

「さて…」

ハルトは姿勢を正す。

「随分、お話が反れてしまいましたね」
「いいえ、楽しいお話でした」
「今回は何かご入用と伺いましたが…」
「はい」

アラーナ(タルバン)が目くばせすると、パルマが用意した本を広げた。
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