【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第151話 揚げて蒸して煮て

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「このまま人でも殴り殺せそうな…」

ぶっそうな例えを口にしたのはパルマ。
ツルから切り離した瓜を両手で抱えた。

「…姉さん」
「確かに」
【鈍器ですね】

しかし他の3人も似たようなことは考えていた。

ハルト・ラント・ココットから「瓜」と言って渡された種
クリスパ領とともにワーレンバーグ公爵家の敷地でも立派に実った。

ホルストからの手紙には、寝かせた芋と合わせて近日中に送ると書いてあった。

【来年はもっと広めましょう】
「見た目が問題だが…」

先日の芋と言い、今回の瓜と言い、あまり良い感じがしない外見だ。

全体的にデコボコしており、硬くて重い。
色は濃い目の緑が目立ち、ところどころが黄や赤っぽくなっている。

「いきなりこれが出てきたら、化け物と勘違いするかも」

瓜を頭の上に乗せたデュランに皆が笑う。
公爵邸では大小合わせて30個ほどが収獲できた。

「とにもかくにも、味です」
【すぐに食べられるんですよね】
「ただ、芋ほどではないですけど、寝かしておくと甘みが増すと…」

結局、20個を熟成させることにして、10個ほどを調理に回した。

「これをねえ…」

調理場にいたネリーは口を尖らせる。

【どうかお願いします】
「煮たり蒸したり揚げたり、ペーストにもできると…」
「へえ」

パルマとアリィ(アラーナ)も手伝うが、最初に割るのはデュランの仕事。

「よしっ!」
「それっ!」
「ほいっ!」

2つ目、3つ目くらいまでは手こずったものの、コツをつかんだようで4つ目以降はすんなり割っていく。

「こんなになってるんだ」

真ん中がポッカリ空いて種が無数に入っているので、それをかき出す。
半分に切ったものをアリィ(アラーナ)が手にする。

【試しに粗めに切って蒸してみましょう】
「他は?」
「薄切りにして油で揚げましょうか」

パルマも半分切ったものを手にした。

香ばしい匂いが調理室に立ち込める。
やがて4人の前に湯気の立つ皿が出てきた。

「ネリーも一緒に」
「はあ」

ネリーも勧められて皿の前に座る。

最初に手を出したのはデュラン。

「ま、毒見ってことで」

薄めに切って揚げたものを口に運ぶ。

「美味い!」

デュランの反応を見て他の4人も揚げたものを口にした。

「これが!」
「おいしい!」
「ほのかに甘いのね」
【おいしいです】

「うーん、ひと工夫したいね」

塩を持ってきたネリーはパラパラと振りかけた後にひと口かじる。

「いけますよ」

勧められるがままに4人も塩をかけて食べる。

【甘みが引き立ちます】
「揚げる前に塩や胡椒を振っても良さそうですね」

あっという間に揚げた瓜を乗せた皿が空になる。

「じゃあ、こちらも…」

デュランが蒸した瓜を乗せた皿に手を伸ばす。

ひと口かじると、「皮も柔らかいな…」と残りも食べた。

「どう?」

デュランが首を傾げる。

「ちょっと甘い。で、不味くは無いけど、物足りない」

そう言って塩を振りかける。

「これなら、まあ…」

他の4人も塩を振りかけて口にした。

「うーん」
「これは…」
「悪くは無いけど」

揚げたものを食べた時ほどの好反応がない。

【味付けして煮るか パイにすれば】
「それなら良さそうですね」

その晩の食事には、下味をつけて揚げたものと、他の野菜と合わせて煮込んだものが提供された。

カルトメリやヴァイン・ワーレンバーグ先代公爵を含め、おしなべて好評だった。
しかし瓜の実物を見た時、「これが…」のように手が止まったのは、皆似たような反応だった。
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まあ、カボチャと思ってください。
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