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第158話 強敵が転じて
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153話と同様に下品な表現(おならとか、屁とか、転失気とか)が頻出します。
許容できる方はどうぞ。 .....〆(^_^///)ゞ
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「風が心地よいですね」
レビグラス・ブローブ子爵令嬢とハルト・ラント・ココットがタルバンの言葉に同意する。
「よろしければ、少し出かけませんか?」
昼食後の腹ごなしを兼ねて、タルバンが外出を勧めた。
目的地はカルトメリ・ワーレンバーグ公爵とアラーナが結婚式を挙げた教会だ。
さしたる名所や旧跡のなかったクリスパ領。
観光客が押し寄せるまでには至らなかったものの、歴史の古さもあって改めて注目を集めていた。
馬車の中ではレビグラスとハルトが並んで座り、向かいにタルバンが腰かける。
レビグラスが窓から外を見る。釣られてタルバンも外を見た。
タルバンにとっては見慣れた貧しい景色。
レビグラスにとっても2度目の光景ながら、「良い眺めですね」と褒め言葉を口にした。
「ありがとうございます」
タルバンが微笑みを返す。
反対側の窓から顔を出したハルトが深呼吸して、「空気がきれいですね」と感想を述べる。
「ありがとうございます」
やはりタルバンが微笑みを返した。
タルバンをめぐり、2人の張り合う気持ちは変わらない。
それでもおいしい食事を共にしたことで、間にある壁は随分と低いものになっていた。
向かいに座るタルバンを意識しつつも、女同士で話が弾む。
しかし、次第に口数が少なくなってきた。
「タルバン様、まだ、かかりそうですか?」
ハルトが窓から外を見て尋ねる。さり気なく腹を押さえていた。
「半分ほど来たところですね。急がせましょうか?」
「あ、いえ…」
ハルトとレビグラスが何気なく視線を交わす。
レビグラスも腹に手を当てていた。
さらに進んだところで、わだちに車輪がはまったらしく少し馬車が揺れた。
ガタンと大きな音がしたと同時に…
ププッ!
レビグラスの腰の辺りから音が聞こえた。
…が、誰も何も言わない。
音の発信源と思われるレビグラスがわずかに頬を赤らめているくらい。
あからさまな態度はとらないのも、こうした場における振る舞いのひとつ。
自然な微笑みを浮かべて視線を交わした後、それぞれが別な方向を見た。
さらに馬車が進んだ時…
プーッ!
今度はハルトの方から音がした。
やはり誰も何も言わない。
ハルトは手にした扇子を広げて、顔に軽く風を送った。
その後、教会に着くまでに2人の腰の辺りから数回ずつ異音が聞こえた。
「着きましたよ」
教会の前で馬車が止まる。
事前に知らせていたため、司教とその妻が迎えに出ていた。
「どうぞ」
先に馬車を降りたタルバンの手を借りて、レビグラスとハルトが馬車を降りた。
レビグラスが司教の妻に切り出す。
「先に用を足したいのですが…」
「あ、私も」
「それでは、こちらへ…」
司教の妻に付いて2人は建物の中に入っていった。
「こちらでございます」
「ありがとう」
「ありがとう」
レビグラスとハルトが中に入る。個室が5つ並んでいた。
ハルトが「どうぞ」と先を譲ると、レビグラスが「ありがとうございます」と会釈して一番奥にこもる。
それを見届けたハルトは最も手前の個室に入った。
それぞれの個室から布地がこすれる音がする。
しばらく後…
ブブッ!
奥の個室から大きめの音が響く。
直後に…
ブーッ!
手前の個室からも音が聞こえた。
それがきっかけとなったのか、まるで競うように2つの個室から異音が続いた。
やがて水滴が弾けるような音がした後、再び布地がすれる音の後に2つの扉が開いた。
「…ごきげんよう」
「…ごきげんよう」
そう言った後、ほぼ同時に2人の令嬢は吹き出した。
「タルバン様が『お腹が張る』とおっしゃっていましたが、ここまでとは…」
「ええ、ここまでとは思いませんでした」
そこでハルトがちょっと首を傾げる。
「ひとつ気になるのですが…」
「何をでしょう?」
「タルバン様は、これを予想しておられたのでしょうか?」
聞かれたレビグラスは「さあ?」と、こちらも首を傾げる。
「ハルト様は、どう思われますか?」
「うーん」
聞き返されたハルトは答えに詰まりながらも考えを述べる。
「…タルバン様は結婚に乗り気ではなさそうですよね」
「…ええ」
「何とか無難に帰ってもらおうと考えたとか」
「無難、ですか?」
またしても2人は同時に吹き出した。
「タルバン様の思惑がどうあれ、ここまで恥ずかしい思いをしてしまったのですから、もう怖いものはないかと」
ハルトの言いように、レビグラスも同意する。
「あら、奇遇ですのね。私も似たような考えです」
2人は笑顔でタルバンと司教の元に戻った。
クリスパ家へと戻る馬車。
「あ…、えーと…」
乞われたタルバンは2人の間に座り、左右の令嬢がタルバンの腕を抱えていた。
馬車が少し進んだところで…
プウッ!
車の振動に合わせて異音が聞こえた。
「あら、ごめんあそばせ」
ハルトが笑みを浮かべてタルバンの腕をしっかり抱える。
ププッ!
またも異音がした。今度は反対側から。
「ごめんあそばせ」
今度はレビグラスがタルバンの腕に力を込めた。
クリスパ家に着くまで、それが幾度となく繰り返される。
その上で何もないように2人の令嬢は楽しく会話を交わしていた。
「タルバン様、本日はありがとうございました」
お礼を述べたレビグラス・ブローブ子爵令嬢が自分の馬車に乗り換える。
タルバンに会う目的を達成して満足そうな表情をしている。
「タルバン様、とても楽しかったです」
ハルト・ラント・ココットがココット家の馬車、…ではなく、ブローブ子爵家の馬車に乗り込んだ。
不思議そうな顔をするタルバンに、2人の令嬢が窓から微笑みをみせた。
「私達、とっても良いお友達になりましたの」
「ええ」
王都へと向かった馬車を見送った後、タルバンが家に入る。
「タルバン様、どうなさいました?」
パルマがタルバンに尋ねる。
「…女って、怖いな」
「知りませんでしたか?」
パルマは「何をいまさら」と言わんばかりの笑みの浮かべた。
許容できる方はどうぞ。 .....〆(^_^///)ゞ
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「風が心地よいですね」
レビグラス・ブローブ子爵令嬢とハルト・ラント・ココットがタルバンの言葉に同意する。
「よろしければ、少し出かけませんか?」
昼食後の腹ごなしを兼ねて、タルバンが外出を勧めた。
目的地はカルトメリ・ワーレンバーグ公爵とアラーナが結婚式を挙げた教会だ。
さしたる名所や旧跡のなかったクリスパ領。
観光客が押し寄せるまでには至らなかったものの、歴史の古さもあって改めて注目を集めていた。
馬車の中ではレビグラスとハルトが並んで座り、向かいにタルバンが腰かける。
レビグラスが窓から外を見る。釣られてタルバンも外を見た。
タルバンにとっては見慣れた貧しい景色。
レビグラスにとっても2度目の光景ながら、「良い眺めですね」と褒め言葉を口にした。
「ありがとうございます」
タルバンが微笑みを返す。
反対側の窓から顔を出したハルトが深呼吸して、「空気がきれいですね」と感想を述べる。
「ありがとうございます」
やはりタルバンが微笑みを返した。
タルバンをめぐり、2人の張り合う気持ちは変わらない。
それでもおいしい食事を共にしたことで、間にある壁は随分と低いものになっていた。
向かいに座るタルバンを意識しつつも、女同士で話が弾む。
しかし、次第に口数が少なくなってきた。
「タルバン様、まだ、かかりそうですか?」
ハルトが窓から外を見て尋ねる。さり気なく腹を押さえていた。
「半分ほど来たところですね。急がせましょうか?」
「あ、いえ…」
ハルトとレビグラスが何気なく視線を交わす。
レビグラスも腹に手を当てていた。
さらに進んだところで、わだちに車輪がはまったらしく少し馬車が揺れた。
ガタンと大きな音がしたと同時に…
ププッ!
レビグラスの腰の辺りから音が聞こえた。
…が、誰も何も言わない。
音の発信源と思われるレビグラスがわずかに頬を赤らめているくらい。
あからさまな態度はとらないのも、こうした場における振る舞いのひとつ。
自然な微笑みを浮かべて視線を交わした後、それぞれが別な方向を見た。
さらに馬車が進んだ時…
プーッ!
今度はハルトの方から音がした。
やはり誰も何も言わない。
ハルトは手にした扇子を広げて、顔に軽く風を送った。
その後、教会に着くまでに2人の腰の辺りから数回ずつ異音が聞こえた。
「着きましたよ」
教会の前で馬車が止まる。
事前に知らせていたため、司教とその妻が迎えに出ていた。
「どうぞ」
先に馬車を降りたタルバンの手を借りて、レビグラスとハルトが馬車を降りた。
レビグラスが司教の妻に切り出す。
「先に用を足したいのですが…」
「あ、私も」
「それでは、こちらへ…」
司教の妻に付いて2人は建物の中に入っていった。
「こちらでございます」
「ありがとう」
「ありがとう」
レビグラスとハルトが中に入る。個室が5つ並んでいた。
ハルトが「どうぞ」と先を譲ると、レビグラスが「ありがとうございます」と会釈して一番奥にこもる。
それを見届けたハルトは最も手前の個室に入った。
それぞれの個室から布地がこすれる音がする。
しばらく後…
ブブッ!
奥の個室から大きめの音が響く。
直後に…
ブーッ!
手前の個室からも音が聞こえた。
それがきっかけとなったのか、まるで競うように2つの個室から異音が続いた。
やがて水滴が弾けるような音がした後、再び布地がすれる音の後に2つの扉が開いた。
「…ごきげんよう」
「…ごきげんよう」
そう言った後、ほぼ同時に2人の令嬢は吹き出した。
「タルバン様が『お腹が張る』とおっしゃっていましたが、ここまでとは…」
「ええ、ここまでとは思いませんでした」
そこでハルトがちょっと首を傾げる。
「ひとつ気になるのですが…」
「何をでしょう?」
「タルバン様は、これを予想しておられたのでしょうか?」
聞かれたレビグラスは「さあ?」と、こちらも首を傾げる。
「ハルト様は、どう思われますか?」
「うーん」
聞き返されたハルトは答えに詰まりながらも考えを述べる。
「…タルバン様は結婚に乗り気ではなさそうですよね」
「…ええ」
「何とか無難に帰ってもらおうと考えたとか」
「無難、ですか?」
またしても2人は同時に吹き出した。
「タルバン様の思惑がどうあれ、ここまで恥ずかしい思いをしてしまったのですから、もう怖いものはないかと」
ハルトの言いように、レビグラスも同意する。
「あら、奇遇ですのね。私も似たような考えです」
2人は笑顔でタルバンと司教の元に戻った。
クリスパ家へと戻る馬車。
「あ…、えーと…」
乞われたタルバンは2人の間に座り、左右の令嬢がタルバンの腕を抱えていた。
馬車が少し進んだところで…
プウッ!
車の振動に合わせて異音が聞こえた。
「あら、ごめんあそばせ」
ハルトが笑みを浮かべてタルバンの腕をしっかり抱える。
ププッ!
またも異音がした。今度は反対側から。
「ごめんあそばせ」
今度はレビグラスがタルバンの腕に力を込めた。
クリスパ家に着くまで、それが幾度となく繰り返される。
その上で何もないように2人の令嬢は楽しく会話を交わしていた。
「タルバン様、本日はありがとうございました」
お礼を述べたレビグラス・ブローブ子爵令嬢が自分の馬車に乗り換える。
タルバンに会う目的を達成して満足そうな表情をしている。
「タルバン様、とても楽しかったです」
ハルト・ラント・ココットがココット家の馬車、…ではなく、ブローブ子爵家の馬車に乗り込んだ。
不思議そうな顔をするタルバンに、2人の令嬢が窓から微笑みをみせた。
「私達、とっても良いお友達になりましたの」
「ええ」
王都へと向かった馬車を見送った後、タルバンが家に入る。
「タルバン様、どうなさいました?」
パルマがタルバンに尋ねる。
「…女って、怖いな」
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パルマは「何をいまさら」と言わんばかりの笑みの浮かべた。
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