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第159話 三人を比べて
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【いろんなことがありましたね】
クリスパ領から王都に戻る前夜、アラーナの寝室をパルマが訪れていた。
もちろんアラーナの求めがあってのこと。
アラーナがワーレンバーグ公爵家に嫁いで後も、アラーナの部屋はそのままに維持されていた。
ただし、家具や調度こそ変わらないものの、ホルストやラマナイトが適度に手を入れたことで、随分ときれいになっている。
ベッドに腰かけてパルマを迎えたアラーナ。
ポンポンとベッドを叩いて、横に座るようパルマを誘う。
「失礼します」
こぶし3つ分くらいの間を空けて座ったパルマ。アラーナはサッと腰を寄せる。
2人は顔を見合わせて微笑んだ。
「概ね上手く進んでいるようで何よりです」
【豆とソバも失敗ではありませんし】
「芋も瓜も料理方法を工夫すれば、多くの方に楽しんでもらえると思います」
【デザートも好評でしたね】
2人はレビグラスとハルトの食べっぷりを思い出す。
もちろん自分達でも味見をしていたものの、ワーレンバーグ公爵家やクリスパ伯爵家に関わっていない人達に食べてもらうのは実質的には初めてだった。
「食べ過ぎると、お腹が張るのは困りものですが」
【兄様の企みはどうなったと思います?】
「思惑は外れたのでしょうけど…」
パルマはタルバンの「女って、怖いな」の言葉や、その時の様子をアラーナに語る。
アラーナもハルトがブローブ子爵家の馬車に乗って帰って行ったのを見ている。
【仲が良さそうでしたね】
「はい、装ったようには見えませんでした」
そこでパルマは話題を変える。
「もしタルバン様がご結婚するのであれば、どなたが良いと思われますか?」
【テレシア様も含めてですね】
「はい」
聞かれたアラーナは考えた。
現在、自分と一番距離が近いのはワーレンバーグ公爵邸にいるテレシア・リフォリア子爵令嬢だ。
もっとも、侍女のアリィとしての立場であって、親しく言葉を交わしたことは全くない。
その上で、アラーナに扮したタルバンがテレシアと親しく会話しているのは度々見かける。
ただし、あくまでも貴族令嬢同士の交わり。
『クリスパ領の貧しさに耐えられるか…』
…難しいかもしれないと思う。
それなりに領地が豊かになってからであればとは思うが、何年先になるだろうか。
その意味ではレビグラス・ブローブ子爵令嬢も似たようなもの。
恵まれた貴族令嬢が貧しいクリスパ領で暮らすのは難しいだろう。
『もっとも心の強さはあるみたいですが…』
結婚披露パーティーでアラーナ(タルバン)を突きとばそうとしたことを思い出す。
そうと知った当初、レビグラスに対して良くない感情を抱えたものの、今ではすっかり消えている。
むしろそれくらいの気持ちの強さがあってこそ、公爵夫人になれるのかもしれないとすら思う。
【現時点ではハルト様でしょうか】
ハルト・ラント・ココットは、とにかく強い女であると実感している。
もし彼女が公爵夫人になっていれば、ワーレンバーグ公爵家の権勢を積極的に利用しただろう。
それは貧しいクリスパ伯爵家でも同様。
積極的に領地を盛り上げる方法に取り組むに違いない。
「そうなると、ハルト様を『お姉様』のように呼ぶことになりますね」
【なかなか想像できないかも】
2人は笑い合った。
【そろそろ休みましょうか】
「はい」
パルマが灯りを絞ると、2人はベッドに横になった。
クリスパ領から王都に戻る前夜、アラーナの寝室をパルマが訪れていた。
もちろんアラーナの求めがあってのこと。
アラーナがワーレンバーグ公爵家に嫁いで後も、アラーナの部屋はそのままに維持されていた。
ただし、家具や調度こそ変わらないものの、ホルストやラマナイトが適度に手を入れたことで、随分ときれいになっている。
ベッドに腰かけてパルマを迎えたアラーナ。
ポンポンとベッドを叩いて、横に座るようパルマを誘う。
「失礼します」
こぶし3つ分くらいの間を空けて座ったパルマ。アラーナはサッと腰を寄せる。
2人は顔を見合わせて微笑んだ。
「概ね上手く進んでいるようで何よりです」
【豆とソバも失敗ではありませんし】
「芋も瓜も料理方法を工夫すれば、多くの方に楽しんでもらえると思います」
【デザートも好評でしたね】
2人はレビグラスとハルトの食べっぷりを思い出す。
もちろん自分達でも味見をしていたものの、ワーレンバーグ公爵家やクリスパ伯爵家に関わっていない人達に食べてもらうのは実質的には初めてだった。
「食べ過ぎると、お腹が張るのは困りものですが」
【兄様の企みはどうなったと思います?】
「思惑は外れたのでしょうけど…」
パルマはタルバンの「女って、怖いな」の言葉や、その時の様子をアラーナに語る。
アラーナもハルトがブローブ子爵家の馬車に乗って帰って行ったのを見ている。
【仲が良さそうでしたね】
「はい、装ったようには見えませんでした」
そこでパルマは話題を変える。
「もしタルバン様がご結婚するのであれば、どなたが良いと思われますか?」
【テレシア様も含めてですね】
「はい」
聞かれたアラーナは考えた。
現在、自分と一番距離が近いのはワーレンバーグ公爵邸にいるテレシア・リフォリア子爵令嬢だ。
もっとも、侍女のアリィとしての立場であって、親しく言葉を交わしたことは全くない。
その上で、アラーナに扮したタルバンがテレシアと親しく会話しているのは度々見かける。
ただし、あくまでも貴族令嬢同士の交わり。
『クリスパ領の貧しさに耐えられるか…』
…難しいかもしれないと思う。
それなりに領地が豊かになってからであればとは思うが、何年先になるだろうか。
その意味ではレビグラス・ブローブ子爵令嬢も似たようなもの。
恵まれた貴族令嬢が貧しいクリスパ領で暮らすのは難しいだろう。
『もっとも心の強さはあるみたいですが…』
結婚披露パーティーでアラーナ(タルバン)を突きとばそうとしたことを思い出す。
そうと知った当初、レビグラスに対して良くない感情を抱えたものの、今ではすっかり消えている。
むしろそれくらいの気持ちの強さがあってこそ、公爵夫人になれるのかもしれないとすら思う。
【現時点ではハルト様でしょうか】
ハルト・ラント・ココットは、とにかく強い女であると実感している。
もし彼女が公爵夫人になっていれば、ワーレンバーグ公爵家の権勢を積極的に利用しただろう。
それは貧しいクリスパ伯爵家でも同様。
積極的に領地を盛り上げる方法に取り組むに違いない。
「そうなると、ハルト様を『お姉様』のように呼ぶことになりますね」
【なかなか想像できないかも】
2人は笑い合った。
【そろそろ休みましょうか】
「はい」
パルマが灯りを絞ると、2人はベッドに横になった。
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