【R18】入れ替わり農民の殿様ハーレム物語

県田 星

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第1章 瓜二つ

第2話 善久の正体

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「こちらはふく

善久は2人並んで座った女を紹介する。
年かさの方が微笑んで頭を下げた。

「母上のいとこで余の乳母うばでもある。そして福の娘のけい。余の側室だ」

若い女が頭を下げた。
善吉は改めて福と恵を見る。歳の差はあっても、どちらも美しい。

「お殿様のご側室…」
「ええ、善吉、よろしくお願いいたしますね」

恵が微笑んだ。笑った顔も母である福と似ている。

そこで権兵衛が「ごほん」と咳払いした。
本題に入る準備でもある。

「さて、善吉、おそらく察しておるだろうが…」
「ははっ、顔が似ていることを使って、善久様の影武者になって危険な場合には身代わりを務めよ、と」
「うーむ、そう思うだろうな…」

権兵衛は首を振った。

「すると、違うのですか?」
「殿の身代わりとなる。こちらは間違っておらぬ」
「はあ」
「しかし影武者ではない。善久様本人になってもらいたいのだ」
「はあっ?」

善吉は理解できなかった。

「手前が善久様になるとして、善久様はどうなされるのですか?」

善久が「どうなるだろうなあ」と笑う。
2人の女も笑ったが、権兵衛は渋い顔だ。

「それは後で考えるとして、そなたが善久様にならねばならぬ理由があるのだ」
「理由?それは何でしょうか?」

権兵衛が言おうとしたところで、善久が「余から言おう」と口を挟んだ。

「善吉、お前と余は瓜二つだ」
「はい」
「背格好も似ておるな」

善吉の歳は16、善久は1つ上の17。
しかし背の高さや体格はほとんど変わらない。

「さようでございます」
「しかし大きく異なる部分がある」
「はあ?」

ひと呼吸おいて、善久が言った。

「余は生まれながらにして女だ」
「……はあ!?」

意外な善久の言葉に、善吉はそっくり返りそうになった。

「お前も知っての通り、跡継ぎがいなければ黒峰藩は御公儀ごこうぎよりお取り潰しとなる」
「…はい」
「余は赤子の頃から活発だったのでな。なんとなく男として育てられてきた」
「そうでしたか…」
「弟が生まれれば、それと入れ替わって…だったと思う」
「…はあ」
「しかし、あいにく弟が生まれないままとなってな。そして、先だって父上が亡くなられた。そこで余が藩主となったのだ」

ようやく善吉は自分が連れてこられた目的を理解した。

「今くらいの歳であれば、女の余でも何とかなるだろう。しかし、この先はごまかしきれないに違いない。それに女と女では…」

善久は側室の恵に目を向ける。
恵は寂しそうに微笑んだ。

「子が生まれぬ」
「…確かに」
「そこで顔かたちのそっくりなお主に善久となってもらい、子種を振りまいて欲しいのだ」
「こ、子種…」

善吉は側室である恵を見た。

「それは、良い…の…です…か?」

恵は「問題ありません」とばかりに微笑む。
そこで善吉はさらなる状況にも気づいた。

「確かお江戸には、ご正室様がおられるのでは?」
「うむ、そちらも善吉に頼む」
「頼むって、ご正室様はご存じなのでしょうか?善久様が女と言うことを…」

善久は「知らん」とあっさり答えた。

「先年、江戸で嫁に迎えたのだがな。父上が亡くなったばかりで、『喪に服する』として寝所しんじょは別にしておった」
「そうでしたか」
「なので、そちらにも種を蒔いて欲しい」
「ご正室様を騙すのですか?いや、騙し切れるでしょうか?」

権兵衛が渋い顔をする。

「善吉、お前がやり遂げてもらわねば、この黒峰藩はお取り潰しよ」
「まあ、そうでしょうね」
「すると、数百人もの藩士やその数倍となる家族は路頭に迷い、代々黒峰家が善政を尽くしてきた領民は新たな藩主のもとで苦しむやもしれん」
「脅さないでください」
「脅すも何も事実だ」
「でしょうけど…」
「善吉、ここまで聞いておいて、もはや引き下がることはできぬぞ」
「…はあ」

その後は権兵衛から説明を受ける。

参勤交代で江戸に戻るまでの半年ほど。
立ち居振る舞いは元より、礼儀作法なども身に付ける。
もちろん黒峰藩の歴史や人間関係なども頭に叩き込む。
その成果を見つつ、善久本人に成り代わって江戸に向かう。

「善吉、やってもらうぞ」

善吉は言葉に詰まったが、ここまで来て引き下がることはできない。
藩主の立場に興味はあったし、何よりも美しい側室や江戸にいるであろう正妻に…

「種を蒔いてくれ」

そう言われて逃げる気にはならなかった。

「謹んでお受けいたします」

そう答えつつも、善吉には気になることがいくつかあった。

「そうなると刀槍とうそうや弓矢など修練するのでしょうか?」
「うむ、それぞれに上達する必要はないが、ひと通り触れてもらうことになるな」
「茶の湯や生け花、和歌なども…」
「それは我らが…」
「そうですね」

福と恵が胸元に手を当てて申し出た。

「あ、それから…」
「何じゃ、まだ何かあるのか?」

ますます権兵衛が渋い顔をする。

「いえ、その、あの…」
「ええい!はっきりと言わぬか!」
「…では、申し上げます」
「うむ」

それでも言いにくそうにしていた善吉だったが、再度「ほれ」と権兵衛に促される。

「私は……女を…知りません」
「はあっ!?」

権兵衛が呆気に取られた一方、善久、そして福と恵が笑いだす。
善吉は顔を真っ赤にして背中を丸めた。

「ぜ、ぜ、善吉!」

権兵衛が叱りかけたところで、善久が止める。

「うむ、そうした学びも必要だな。福、どうだ?」

福は「お任せください」と胸元を叩いた。

「善久様が男であれば、乳母であるわらわがそのお役目を務めたかもしれませぬ」
「ははは、そうだな」
「であれば、善吉の手ほどきもお任せくださいませ」
「よく言った!」

福の言葉を聞いて、善吉の股間が硬くなってきた。
湯殿での肉棒をしごいてもらった出来事を思い出したからだ。

こうした事態になるのも福は予感していたのかもしれないと善吉は考えた。

「頼もしいな」

ちょっと不満そうなのが、福の娘である恵。

「母上、随分とうれしそうに見えますね」
「うれしそう?お役目であれば、否も応もありませんよ」

しかし恵は「そうでしょうか?」と納得していない様子。

「父上がなくなって5年、いえ6年。それ以来寂しい思いをされているようですが、その憂さ晴らしを善吉で、とか考えておられるのでは?」
「恵!何を申すのですか!」

福の顔色と口調が変わる。

「善吉にしっかりと手ほどきをしておけば、そなたが相手になるときにも役立つでしょう。そうした母の心遣いも分らぬのですか?」
「まあ、それはそうですけど…」
「もしや、そなた、この母をよこしまな目で見ているのですか?」
「いえ、まあ……分かりました。失礼を申し上げました」

まだまだ恵は納得していない様子ながらも引き下がる。
そして善吉に笑顔をみせた。

「善吉、はように私の相手を務められるようになってくださいね」
「え、あ、はい」
「なにぶん、年増ばかりが相手では面白くないでしょうから」

またも福がいきり立つ。

「と、と、と、年増とは!」
「でも母上、間違ってはいませんでしょう」
「ええい!」

そうしたやり取りを聞きながらも、善吉は耳まで真っ赤になって背中を丸める。
そんな善吉の様子に、善久と福や恵はもちろん、権兵衛までもが笑いだした。
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