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第4章 父親の影
第52話 病気ではなく
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「戻ったぞ!」
家臣達に挨拶を受けつつ、善久が足早に久の部屋へと向かう。
「お、お殿様ぁ」
その後を恵も懸命に追いかけるが、男女の差もあって、駆けていく善久に追いつかない。
「久!」
内からの応答もないまま、ふすまを開けた善久は呆気にとられる。
肝心の久が美智や和と談笑していたからだ。
「うん?」
「あら、善久様、お帰りなさいませ」
久が頭を下げると、美智と和もそれに倣う。
「潤栄院様のご機嫌はいかがでございましたか?」
「おう!母上に加えて智と貞の3人を合わせて、ズッコンバッコンやりまくったよ。金玉袋が空になるまで出し切ったなあ」
などと余計なことは言わない。
「あ、ああ、機嫌は悪くはなかった…が」
「それはよろしゅうございましたね」
久は微笑む。
「久、そなた具合が悪いのではないのか?」
善久が尋ねると、久は美智と和とで顔を見合わせて笑った。
そこでようやく恵も追いつく。
「ふぅ、善久様、慌てないでくださいませ。大事ないと申したではありませんか」
「それはそうだが…」
善久は久に向かい合って座ると、久の額に手を当てた。
「熱はない…な」
心配された久は頬を赤らめる。
そんな2人を間近で見た美智は驚いて口を覆い、和は羨ましそうに見つめ、恵は不服そうに善久の袖を引っ張った。
「本当に大事ないと申しましたのに」
そこまで恵に言われたところで、善久は「そうか」と手を放した。
「ええ、怪我や病気ではありませんから」
久が微笑みつつ腹をさすっていると、善久はようやく気付く。
いつもの帯姿ではなく、ゆったりした着物をまとっているだけだ。
「うむ?もしや…」
久が「はい」とうなずいた。
「赤子か!?」
美智も和も、そして恵もうなずいた。
「でかした!」
善久は立ち上がって久を抱きかかえる。
久を抱きしめたままで善久は、その場でくるくると回り始めた。
「あーれー、お殿様、目が回ってしまいますー」
「おお!すまぬ、すまぬ」
久の悲鳴を聞いて、ようやく善久が止まる。
そっと久を下ろした善久は、両脇に手を入れてゆっくりと座らせた。
「どれ、音を聞かせてくれ」
久の腹に耳を当てる善久だったが、何の音も聞こえてこないので、がっかりした顔になる。
「善久様、さすがに、まだ早ようございますよ」
「さようでございます。せめて、もうふた月か三月は待たないと」
美智と和が善久に教える。
「そうなのか…」
「もし聞こえるとしても、久様のお腹の虫くらいでしょう」
恵が軽口を言うと、善久が苦笑し、女達もそろって笑った。
「うむ、腹の虫には大きく鳴いてもらおう。これから赤子の分も食べるんだからな」
「はい、2人分いただきます。でも…」
「でも?」
久が言いかけると、善久が聞き返す。
「殿にも励んでいただかないといけませんよ」
「余が?ここに至って、余が何かすることがあるのか?」
久が「やれやれ」と言いたげに首を振る。
「善久様、女子は、わらわ1人ではございませんよ」
「あっ!」
ようやく善久は気づいた。
いつの間にか、美智が善久の羽織の右袖をつかみ、和は左袖を握っている。
そして恵は善久を背後から抱きしめた。
「おおう!」
それを見た美智と和が善久の腕にしがみつく。
さらに恵が善久の襟首に吸い付くと、美智と和も善久の頬に唇を寄せる。
チュッ、チュッ、チュパッ…
3人の唇の雨は止みそうになかった。
女達の顔に囲まれつつも戸惑っている善久を、久は微笑んで見つめる。
「皆にも子種を振りまいてくださいね」
「よ、よしっ」
善久は何とか立ち上がると、3人の女達は仰向けにころんと転がった。
「とりあえず今はこれまでじゃ、よいな!」
「そんなぁ」
3人は善久にすがろうとするものの、善久は両手を振って押し留める。
「その代わり、今夜は3人一緒に、な」
善久の言葉を聞いた3人から「きゃあ!」と声が上がる。
その夜の善久は頑張った。
と言うよりも、3人によって搾り取られた。
東の空が白くなるまで。
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次回の更新予定は3月4日です。
善久が登城し、大きく展開が動きます。
家臣達に挨拶を受けつつ、善久が足早に久の部屋へと向かう。
「お、お殿様ぁ」
その後を恵も懸命に追いかけるが、男女の差もあって、駆けていく善久に追いつかない。
「久!」
内からの応答もないまま、ふすまを開けた善久は呆気にとられる。
肝心の久が美智や和と談笑していたからだ。
「うん?」
「あら、善久様、お帰りなさいませ」
久が頭を下げると、美智と和もそれに倣う。
「潤栄院様のご機嫌はいかがでございましたか?」
「おう!母上に加えて智と貞の3人を合わせて、ズッコンバッコンやりまくったよ。金玉袋が空になるまで出し切ったなあ」
などと余計なことは言わない。
「あ、ああ、機嫌は悪くはなかった…が」
「それはよろしゅうございましたね」
久は微笑む。
「久、そなた具合が悪いのではないのか?」
善久が尋ねると、久は美智と和とで顔を見合わせて笑った。
そこでようやく恵も追いつく。
「ふぅ、善久様、慌てないでくださいませ。大事ないと申したではありませんか」
「それはそうだが…」
善久は久に向かい合って座ると、久の額に手を当てた。
「熱はない…な」
心配された久は頬を赤らめる。
そんな2人を間近で見た美智は驚いて口を覆い、和は羨ましそうに見つめ、恵は不服そうに善久の袖を引っ張った。
「本当に大事ないと申しましたのに」
そこまで恵に言われたところで、善久は「そうか」と手を放した。
「ええ、怪我や病気ではありませんから」
久が微笑みつつ腹をさすっていると、善久はようやく気付く。
いつもの帯姿ではなく、ゆったりした着物をまとっているだけだ。
「うむ?もしや…」
久が「はい」とうなずいた。
「赤子か!?」
美智も和も、そして恵もうなずいた。
「でかした!」
善久は立ち上がって久を抱きかかえる。
久を抱きしめたままで善久は、その場でくるくると回り始めた。
「あーれー、お殿様、目が回ってしまいますー」
「おお!すまぬ、すまぬ」
久の悲鳴を聞いて、ようやく善久が止まる。
そっと久を下ろした善久は、両脇に手を入れてゆっくりと座らせた。
「どれ、音を聞かせてくれ」
久の腹に耳を当てる善久だったが、何の音も聞こえてこないので、がっかりした顔になる。
「善久様、さすがに、まだ早ようございますよ」
「さようでございます。せめて、もうふた月か三月は待たないと」
美智と和が善久に教える。
「そうなのか…」
「もし聞こえるとしても、久様のお腹の虫くらいでしょう」
恵が軽口を言うと、善久が苦笑し、女達もそろって笑った。
「うむ、腹の虫には大きく鳴いてもらおう。これから赤子の分も食べるんだからな」
「はい、2人分いただきます。でも…」
「でも?」
久が言いかけると、善久が聞き返す。
「殿にも励んでいただかないといけませんよ」
「余が?ここに至って、余が何かすることがあるのか?」
久が「やれやれ」と言いたげに首を振る。
「善久様、女子は、わらわ1人ではございませんよ」
「あっ!」
ようやく善久は気づいた。
いつの間にか、美智が善久の羽織の右袖をつかみ、和は左袖を握っている。
そして恵は善久を背後から抱きしめた。
「おおう!」
それを見た美智と和が善久の腕にしがみつく。
さらに恵が善久の襟首に吸い付くと、美智と和も善久の頬に唇を寄せる。
チュッ、チュッ、チュパッ…
3人の唇の雨は止みそうになかった。
女達の顔に囲まれつつも戸惑っている善久を、久は微笑んで見つめる。
「皆にも子種を振りまいてくださいね」
「よ、よしっ」
善久は何とか立ち上がると、3人の女達は仰向けにころんと転がった。
「とりあえず今はこれまでじゃ、よいな!」
「そんなぁ」
3人は善久にすがろうとするものの、善久は両手を振って押し留める。
「その代わり、今夜は3人一緒に、な」
善久の言葉を聞いた3人から「きゃあ!」と声が上がる。
その夜の善久は頑張った。
と言うよりも、3人によって搾り取られた。
東の空が白くなるまで。
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善久が登城し、大きく展開が動きます。
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