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黒い森の魔女
子供たち と 寝物語?
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この町の家は基本的に広い。
大きな街に比べれば人口は遥かに少ないものの、消して過疎化が進んでいる訳でもない。土地が広く地価もさほど高くないために、恐らく多くの家に客間がある。
それはこの家も例外ではなく、親戚が多いとかで寝具の用意もばっちりだった。
子供2人に流されて何やかんやで泊まらせてもらうことになったわけであるが、この子達は私と一緒に寝ると言っているし、見張りの交代だと席を立ったご夫人たちにも「仲良しね」「よかったね」と暖かい目で見られてしまった。寝るのか。子供と、魔女が。いいのか?我、魔女ぞ?
「お姉ちゃんは真ん中ね」
「いや、ここは大人が端に……」
「端は俺が行くから!ほら寝た寝た!」
と、いうわけで。2人用と思われるベッドに3人仲良く川の字になって寝転んだ。
「おやすみ、なさい……?」
「お話してから!」
「俺も聞きたい!」
「おおう、」
両脇をがっちり固められ、仰向けの大人は両腕上げて降参したくなった。気の弱い大人には効果覿面の包囲網。完全にこちらの敗北だ。
こうなっては仕方がない。話し下手ながらも他人の話を聞くことの楽しさを知っている私は、意外と満更でもないようで何か面白いネタはないかと考えた。
はて、子供に聞かせられる話なんてあっただろうか。
「えっと……何を話せば……聞きたいこととか、ある?」
「馬!俺あの馬の話が聞きたい!」
「馬?魔女なのにほうきに乗らないの?」
「馬だよね、ね?」
「あー……まあ、箒は乗りにくいからなあ……」
「乗りにくいんだ……」
棒状のものに跨るのは股間へのダメージも中々のものなのでおすすめはしない。
どちらかと言えば乗りやすさからして圧倒的に馬(の形をした別の存在)を推奨する。しかし、今回のように町へ出たり遠出したりすることは殆どないので乗ること自体はそう多くない。
いくら森広しといえども生活圏はそう広くないので徒歩で大体事足りてしまうのだ。ついでに言うと外出する機会もそんなに多くない。
人間関係構築がド下手で準引きこもりとか良いとこなしか?と自分で言いたくなったのは、子供たちの手前やめておいた。
「馬ってどんな子?色は、名前はあるの?」
「ええと、色は……色……」
「透明……?」
「まあ、そうか……あぁ、名前。そういえばそんなものもあったな。ノアっていうんだ」
森じゃわざわざ名前を呼ぶこともそうないのですっかり忘れていた。
だって仕方がないだろう。基本的に他に話しかける相手がいないのだから、名前を呼ばずとも自ずと自分に話しかけていると認識してくれるのだ。
必要のないものは忘れ去られる。これ自然の摂理なり。
「その子、名前呼んでもらってないの……?」
「意地悪している訳じゃないよ。他に話しかける相手がいないから呼ぶ機会が無いだけ」
そう言うと、ソニアちゃんの焦げ茶色の長い睫毛は不服そうに伏せられた。
年齢にしては少し大人びた雰囲気をもつ少女は、悪戯を咎められた子供のように唇をとがらせてぽつりと不満のような独り言をこぼす。
「何だか、かわいそう……」
「うん……」
「そう言われてもなあ……そうだな。じゃあ、次にあの子に会った時は2人が名前で呼んであげて」
「いつ?明日?」
「うん?んん……そうだな、考えとく」
「わーい!」
「わーい!」
______人前でそう簡単に姿を表すような種族ではないはずなのだけれど、あいつ人間嫌いだったりしないのかな。
呼べば来てはくれるだろうから帰りも送迎をお願いするとしよう。
「______という訳で、森の植物にはそこらのものよりマナや魔力の含有量が高く……ふふ、そうか。もう遅いもんね、おやすみ」
眠気に抗おうと船を漕いでいた2人も、耐えきれずにとろとろと眠りへと落ちていった。
ぎちぎちのベッドで寝た次の日は、体が痛くて仕方なかった。
大きな街に比べれば人口は遥かに少ないものの、消して過疎化が進んでいる訳でもない。土地が広く地価もさほど高くないために、恐らく多くの家に客間がある。
それはこの家も例外ではなく、親戚が多いとかで寝具の用意もばっちりだった。
子供2人に流されて何やかんやで泊まらせてもらうことになったわけであるが、この子達は私と一緒に寝ると言っているし、見張りの交代だと席を立ったご夫人たちにも「仲良しね」「よかったね」と暖かい目で見られてしまった。寝るのか。子供と、魔女が。いいのか?我、魔女ぞ?
「お姉ちゃんは真ん中ね」
「いや、ここは大人が端に……」
「端は俺が行くから!ほら寝た寝た!」
と、いうわけで。2人用と思われるベッドに3人仲良く川の字になって寝転んだ。
「おやすみ、なさい……?」
「お話してから!」
「俺も聞きたい!」
「おおう、」
両脇をがっちり固められ、仰向けの大人は両腕上げて降参したくなった。気の弱い大人には効果覿面の包囲網。完全にこちらの敗北だ。
こうなっては仕方がない。話し下手ながらも他人の話を聞くことの楽しさを知っている私は、意外と満更でもないようで何か面白いネタはないかと考えた。
はて、子供に聞かせられる話なんてあっただろうか。
「えっと……何を話せば……聞きたいこととか、ある?」
「馬!俺あの馬の話が聞きたい!」
「馬?魔女なのにほうきに乗らないの?」
「馬だよね、ね?」
「あー……まあ、箒は乗りにくいからなあ……」
「乗りにくいんだ……」
棒状のものに跨るのは股間へのダメージも中々のものなのでおすすめはしない。
どちらかと言えば乗りやすさからして圧倒的に馬(の形をした別の存在)を推奨する。しかし、今回のように町へ出たり遠出したりすることは殆どないので乗ること自体はそう多くない。
いくら森広しといえども生活圏はそう広くないので徒歩で大体事足りてしまうのだ。ついでに言うと外出する機会もそんなに多くない。
人間関係構築がド下手で準引きこもりとか良いとこなしか?と自分で言いたくなったのは、子供たちの手前やめておいた。
「馬ってどんな子?色は、名前はあるの?」
「ええと、色は……色……」
「透明……?」
「まあ、そうか……あぁ、名前。そういえばそんなものもあったな。ノアっていうんだ」
森じゃわざわざ名前を呼ぶこともそうないのですっかり忘れていた。
だって仕方がないだろう。基本的に他に話しかける相手がいないのだから、名前を呼ばずとも自ずと自分に話しかけていると認識してくれるのだ。
必要のないものは忘れ去られる。これ自然の摂理なり。
「その子、名前呼んでもらってないの……?」
「意地悪している訳じゃないよ。他に話しかける相手がいないから呼ぶ機会が無いだけ」
そう言うと、ソニアちゃんの焦げ茶色の長い睫毛は不服そうに伏せられた。
年齢にしては少し大人びた雰囲気をもつ少女は、悪戯を咎められた子供のように唇をとがらせてぽつりと不満のような独り言をこぼす。
「何だか、かわいそう……」
「うん……」
「そう言われてもなあ……そうだな。じゃあ、次にあの子に会った時は2人が名前で呼んであげて」
「いつ?明日?」
「うん?んん……そうだな、考えとく」
「わーい!」
「わーい!」
______人前でそう簡単に姿を表すような種族ではないはずなのだけれど、あいつ人間嫌いだったりしないのかな。
呼べば来てはくれるだろうから帰りも送迎をお願いするとしよう。
「______という訳で、森の植物にはそこらのものよりマナや魔力の含有量が高く……ふふ、そうか。もう遅いもんね、おやすみ」
眠気に抗おうと船を漕いでいた2人も、耐えきれずにとろとろと眠りへと落ちていった。
ぎちぎちのベッドで寝た次の日は、体が痛くて仕方なかった。
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