カースト最底辺からの成り上がり

けんもも

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第三章 古代遺跡編

テンバ王国

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翌日予定通りテンバ国に入った。
ここでもS級冒険者のカードは効果が大きかった。入場料も無料だ。
門兵に冒険者ギルドの場所を教えてもらってそのままギルドの建物に向かった。
国全体は人口が5万人も満たない小国だ。街自体は高い城壁で覆われていて、城壁の周囲にも畑が広がっている。昔の日本の城みたいなものなのかな。
冒険者ギルドは2階建てで、周囲と比べて割と大きな建物だ。

「えっと、済みません。黒竜の谷についての情報を集めているんですが?」

「おはようございます。黒竜の谷ですか?どのような情報でしょうか?」

幾分こちらを値踏みする感じでそう言った受付の男性は、俺の冒険者カードを確認すると、その場で直立して、

「申し訳ありません。S級冒険者の方でしたか。どのような用件でしょうか?黒竜の谷でしたね。ただ今詳しい者を呼んでまりますのでこちらへお越しください。」

そう言って無理やり奥の応接間みたいな場所に案内された。

しばらくすると、汗を拭きながら中年の人族の男性と、若い犬族の男性が資料を持って入ってきた。

「当ギルドのギルドマスターをしております、タマンといいます。急な御来訪で不手際があり申し訳ございません。」

「あっと、すみません。そんなに大げさにしないでください。黒竜の谷へ向かう前に立ち寄っただけですので。」

「そうですか。それで黒竜の谷のどのような情報をお求めでしょうか?」

「個人的に興味があって、見に行こうかと思ったのですが。」

「そ、そうですか。S級の方だとそのようなことも可能なのかもしれません。黒竜の谷はここから馬車で1日程入った場所にあります。谷自体に竜が住んでいる訳ではありませんが、谷の先に竜の住処があると言われています。数百年前まではこの地へも竜が降りて来たと言われますが、毎年竜の谷に魔物の肉を放置する代わりにこの地へ降りないと言う契約を交わしたのがこの国の王祖テンバです。以降、契約に従い魔物を届け、この地には竜は降りてきません。今から60年ほどになりますか、S級冒険者が竜の住処にあると言う古代遺跡の探索に向かいましたが帰らなかったと言われております。以降誰もあの谷を越えた者はいません。」

「古代遺跡があるのは本当なんですか?」

「それは解りません。ただ王祖の持っていた国宝の中に古代遺跡級アイテムが含まれていたことで、王祖が契約と引き換えに竜よりアイテムをいくつか受け取ったと言い伝えられています。その話が曲解されたのかもしれません。」

「国宝というと、マジックバックポーチ?」

「左様です。数百年前に宝物庫より盗まれて以降散逸しております。情報はあるのですがいずれも空振りに終わり、他の国宝とともにそのまま散逸しております。

「仮にその国宝が見つかったら、王国は買い戻すんだろうか?」

「それは勿論でございます。現在、古代遺跡級アイテムと認定されているのは3つのみですので、何を置いても買い戻されるでしょう。私も王国の出身者ですのでこの国の者なら誰でももつ気持ちだと思います。」

「古代遺跡級アイテムって何があるんですか?」

「S級の方ならご存知でしょうか、マジックポーチ、ステイタス板、それと念話の腕輪です。ステイタス板は冒険者ギルドが、念話の腕輪は帝国皇帝が所持していると言われておりますが、マジックポーチの方は、所在は定かではありません。」

「なるほど。いろいろありがとうございました。」

「それで黒竜の谷に入られるのでしょうか?」

「いえ、取り敢えず谷の入り口を見て他に行ってみようと思います。今はこの大陸のあちこちを見て回っている途中ですので。」

「そうですか。それはよかった。」

「マジックポーチの情報が入ったら気に留めて置きます。」

「よろしくお願いします。情報だけでも十分な謝礼を出させて頂きます。これは当ギルドとしてお約束させて頂きます。」


テンバの街を後にしながら馬車の中で物思いに耽っていた。マジックポーチはすでに作り変えちゃったしなー。もう一度作り変えることは簡単だけど、さてどうしたものか。

「拓哉、これ荷物移し替えたよ。どうするにせよもう一度元に戻しておいた方がいいと思う。」

「彩、いいのか?」

「えっ?どうして?むしろ新しいのを作ってもらえるから嬉しいかも。」

「そうか、ありがとうな。彩に贈った物だけどかえしてもらうな。その代わりこれをプレゼントするよ。ブレスレット型のマジックバック。ほらこうしたら手の中に入る感じになるだろう?」

「これいいよ、凄くいい。ずっと付けてられるし。他のエンチャントもかけてるんでしょう?」

「あーうん。魔力消費半減と、無詠唱を付けてみた。」

「やったー。無詠唱はまだうまくできなかったから嬉しい。凄い。イメージしただけで発動するんだ。」

「お兄ちゃん、何?お姉ちゃんだけ?」

「ちゃんと作ってるぞ。ほら、手を出してみろ。」

「やったー。綺麗なブレスレットだね。どんな効果があるの?」

「マジックボックスがついてる。それならお風呂でも常に身につけてられるだろう?」

「凄い。かっこいいねー。今までのバックも使っていいの?」

「別に構わないぞ。でもちゃんと管理するんだぞ。」

「アリア、本当に注意しなさいね。拓哉から貰った物は全て、古代遺跡級アイテムと同等品だよ。身につけている下着や服もそうだけど、こっちは他の人にはその効果は解らないけど、マジックバックだけは誰が使ってもその効果がわかっちゃうからね。とっても危険な物なんだよ。」

「そうだね、お姉ちゃん。注意する。お兄ちゃん達と暮らしていると感覚がマヒしちゃうよ。自分でも意識しないとね。」

「旦那様、ミミは・・・」

「ごめんごめん。ちゃんとミミにもあるぞ。ほら手を出してご覧。」

「ほおー。これは綺麗なブレスレットです。おー。手の中に物が吸い込まれて感じです。」

まあ喜んでくれてよかった。アンクレットの時にはそんなでもなかったのになー。でも体中アクセサリーだらけだな。何とか考えないとな。

一日と言われた距離を数時間で踏破して、黒竜の谷の入り口まで来た。谷を少し入った所には、祭壇みたいなものが作られている。ここに魔物を奉納するんだろうな。

「さて、どうする?ここから先は危険地帯らしいけどいざという時のために、馬車では行けないかな。歩きになるけど。」

「私たちは準備OKだよ。フル装備。万能薬もポシェットとブレスレットのマジックバッグに入れてるよ。」

「作った回復薬も全部バッグに入れてるから大丈夫。」

「ミミも準備万端ですぞ。食べやすいサンドイッチとカップケーキも準備しております。」

「よし、じゃあ行こう。いざとなったら転移で逃げるからな。俺の側から離れないように進もう。」
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