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第2章 風紀委員編
39. サイモン・キラー
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こいつ……自殺でもしようってのか?
俺はサイモンの腹に突き刺さった短剣を見る。
ミーアのときと同様、真っ黒な魔力が溢れ出していた。
「アッハハハハハハッ――!」
サイモンが狂ったように笑い声をあげる。
「力がみなぎる……みなぎるぞ! これで私は強くなれる!」
男の魔力量が膨れ上がった。
なるほど。
魔力暴走を起こすことで、一時的に魔力量を増やそうってわけか。
それめちゃめちゃリスキーだけど大丈夫?
いや大丈夫じゃないよな。
「死ぬ気ですか?」
「死ぬ? 馬鹿なことをいうな。この程度の魔力、私なら簡単に……っ、がああぁぁぁぁ!」
大丈夫じゃないやん。
ぜんぜんコントロールできてないし。
そもそもあの短剣、魔力操作が得意なミーアですら制御不能になるものだ。
「――――」
突如、サイモンの体が膨れ上がった。
血管が浮き出て、目が充血し、筋肉が肥大化する。
「なんだよ、その姿……化け物じゃねーか」
魔力暴走の慣れ果てか?
それとも短剣の効果か?
なんにしろ醜い姿だ。
「終わりにしましょう」
化け物が目の前にいるはずなのに、意外なほど冷静な自分がいる。
「終わり……だと?」
サイモンが充血した目で睨んできた。
「終わるのはお前の方だ、アラン・フォード! この力をみよ! 魔力があふれるぞっ。力も技術も全て私は持っている! この私に敵う者などいない!」
サイモンがつばを撒き散らしながら笑う。
なんて言ったらいいのかな?
この微妙な気持ちは。
ミーアやテトラにやった行いに対する怒りは、すでにない。
それよりも――
「――悲しいですね」
そんな姿になってまで何を得ようというのか?
俺には理解できないし、理解したくもない。
だって全然かっこよくないし。
まだ昔の俺の太った体のほうが好感を持てる。
サイモンの姿を、悲しく愚かだと思った。
「悲しいだと!? 私を愚弄するな!」
サイモンが膨大な魔力を身にまとう。
その魔力量は、昼に戦ったときよりも数倍多い。
「終わりだ! アラン・フォード!」
サイモンが俺に向かって突っ込んできた。
ただの肉弾にしか見えない。
力は認めるが、技術はまったくなく、増大した魔力を扱いきれていない。
冷静さを欠いているのがよくわかる。
せめて剣くらいは持てよ。
「死ねぇぇぇ!」
サイモンが雄叫びを上げて接近してくる。
俺はサイモンに右手の手のひらをみせる。
そして魔法陣を展開させる。
直後、巨大な火球が右手の前に出現した。
だが、まだ発射しない。
火球を圧縮する。
小さく、小さく……。
拳ほどの大きさまで火球を圧縮する。
小さくしたものの、エネルギーの総量は変わらない。
火球には、とてつもないほどのエネルギーが込められていた。
「終わりだ、サイモン・キラー」
俺はサイモンに向けて火球を放った。
――火球。
◇ ◇ ◇
サイモンは高揚していた。
アラン・フォードという小童を肉片にしてやろうと意気込んでいた。
サイモンは、魔法剣士に憧れていた。
剣術は一流であり、魔力操作も得意だった。
しかし、魔力が足りなかった。
この世界は魔力量で強さが決められてしまう。
サイモンは、魔法剣士として最低限の魔力しか持っていなかった。
足りないのは魔力量、それだけ。
だが魔力が少ないだけで、どれほど努力しようが一流の魔法剣士にはなれなかった。
サイモンがそこそこの地位で満足できる男なら、それで良かった。
しかし、なまじ才能がある分、魔力が少ないというコンプレックスがサイモンを苦しめた。
魔力さえあれば……。
願いは叶う。
サイモンは全能感を得るほどの魔力量に包まれていた。
今なら誰にも負けない。
サイモンはそう確信し――
――火球。
小さな火の玉がサイモンに向かって飛んでくる。
その動きがひどくスローモーションにみえた。
しかし避けることはできず、火球がサイモンの目の前に来た。
そして次の瞬間、
「あ……」
サイモンの動きが止まる。
「――――」
火球の圧縮されたエネルギーが解放された。
直後、爆音が響く。
急激に膨張した火球は、サイモンの体を瞬時に飲み込む。
続いて部屋全体に衝撃が走り、爆煙が舞う。
床がぽっかりと空き、天井が丸裸になった。
暗い夜空の中、星と月の光が地下室に降り注ぐ。
一瞬の出来事だった。
爆煙が収まり、視界が鮮明になる頃には、サイモンの姿はどこにもなかった。
俺はサイモンの腹に突き刺さった短剣を見る。
ミーアのときと同様、真っ黒な魔力が溢れ出していた。
「アッハハハハハハッ――!」
サイモンが狂ったように笑い声をあげる。
「力がみなぎる……みなぎるぞ! これで私は強くなれる!」
男の魔力量が膨れ上がった。
なるほど。
魔力暴走を起こすことで、一時的に魔力量を増やそうってわけか。
それめちゃめちゃリスキーだけど大丈夫?
いや大丈夫じゃないよな。
「死ぬ気ですか?」
「死ぬ? 馬鹿なことをいうな。この程度の魔力、私なら簡単に……っ、がああぁぁぁぁ!」
大丈夫じゃないやん。
ぜんぜんコントロールできてないし。
そもそもあの短剣、魔力操作が得意なミーアですら制御不能になるものだ。
「――――」
突如、サイモンの体が膨れ上がった。
血管が浮き出て、目が充血し、筋肉が肥大化する。
「なんだよ、その姿……化け物じゃねーか」
魔力暴走の慣れ果てか?
それとも短剣の効果か?
なんにしろ醜い姿だ。
「終わりにしましょう」
化け物が目の前にいるはずなのに、意外なほど冷静な自分がいる。
「終わり……だと?」
サイモンが充血した目で睨んできた。
「終わるのはお前の方だ、アラン・フォード! この力をみよ! 魔力があふれるぞっ。力も技術も全て私は持っている! この私に敵う者などいない!」
サイモンがつばを撒き散らしながら笑う。
なんて言ったらいいのかな?
この微妙な気持ちは。
ミーアやテトラにやった行いに対する怒りは、すでにない。
それよりも――
「――悲しいですね」
そんな姿になってまで何を得ようというのか?
俺には理解できないし、理解したくもない。
だって全然かっこよくないし。
まだ昔の俺の太った体のほうが好感を持てる。
サイモンの姿を、悲しく愚かだと思った。
「悲しいだと!? 私を愚弄するな!」
サイモンが膨大な魔力を身にまとう。
その魔力量は、昼に戦ったときよりも数倍多い。
「終わりだ! アラン・フォード!」
サイモンが俺に向かって突っ込んできた。
ただの肉弾にしか見えない。
力は認めるが、技術はまったくなく、増大した魔力を扱いきれていない。
冷静さを欠いているのがよくわかる。
せめて剣くらいは持てよ。
「死ねぇぇぇ!」
サイモンが雄叫びを上げて接近してくる。
俺はサイモンに右手の手のひらをみせる。
そして魔法陣を展開させる。
直後、巨大な火球が右手の前に出現した。
だが、まだ発射しない。
火球を圧縮する。
小さく、小さく……。
拳ほどの大きさまで火球を圧縮する。
小さくしたものの、エネルギーの総量は変わらない。
火球には、とてつもないほどのエネルギーが込められていた。
「終わりだ、サイモン・キラー」
俺はサイモンに向けて火球を放った。
――火球。
◇ ◇ ◇
サイモンは高揚していた。
アラン・フォードという小童を肉片にしてやろうと意気込んでいた。
サイモンは、魔法剣士に憧れていた。
剣術は一流であり、魔力操作も得意だった。
しかし、魔力が足りなかった。
この世界は魔力量で強さが決められてしまう。
サイモンは、魔法剣士として最低限の魔力しか持っていなかった。
足りないのは魔力量、それだけ。
だが魔力が少ないだけで、どれほど努力しようが一流の魔法剣士にはなれなかった。
サイモンがそこそこの地位で満足できる男なら、それで良かった。
しかし、なまじ才能がある分、魔力が少ないというコンプレックスがサイモンを苦しめた。
魔力さえあれば……。
願いは叶う。
サイモンは全能感を得るほどの魔力量に包まれていた。
今なら誰にも負けない。
サイモンはそう確信し――
――火球。
小さな火の玉がサイモンに向かって飛んでくる。
その動きがひどくスローモーションにみえた。
しかし避けることはできず、火球がサイモンの目の前に来た。
そして次の瞬間、
「あ……」
サイモンの動きが止まる。
「――――」
火球の圧縮されたエネルギーが解放された。
直後、爆音が響く。
急激に膨張した火球は、サイモンの体を瞬時に飲み込む。
続いて部屋全体に衝撃が走り、爆煙が舞う。
床がぽっかりと空き、天井が丸裸になった。
暗い夜空の中、星と月の光が地下室に降り注ぐ。
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