転生したら嫌われデブに!? ~性格の悪いブタ男になってしまったので、態度を改め真面目に生きようと思います~

米津

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第3章 対抗戦編

45. 下手に引き受けると後悔する

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 ミーアと別れ、俺はジャンと一緒に公園に向かった。

 横並びでベンチに座っている。

「それでどうしたんだ?」

 普段、ジャンとはまったく話さない。

 まあ俺、嫌われてるしな。

「……」

 ジャンが思い詰めたように黙っている。

 いやなんだ、これ。

 気まずいんだけど。

 マジでどうしたんだ?

 嫌味でも言いに来たのか、こいつ。

 だったら相手してやろうじゃねーか!

 俺の嫌味ボキャブラリーなめんなよ。

 死ねとアホとバカしかねーからな。

 バカって言ったやつがバカなんですー!

 って小学生のときに言ってたな。

 懐かしい。

 てか、ホントに何のようなの?

「その……なんだ……」

 ジャンがようやく口を開いた。

 でも、すぐに口を閉ざす。

「ん? なに?」

「……」

 ほんとにどうしただよ、お前。

 全然話が進まないんだけど。

 いつものジャンはどこ行ったんだ?

 罵倒するなら早く罵倒してくれ!

 別に俺はMじゃないけどな!

「……いまのお前は悪くない」

 ん?

 どういうこと?

 なにが悪くないの?

 顔か?

 ダイエットして痩せたからな。

 前よりもイケメンになってると思う。

 ジャンが続けて言う。

「俺はずっとお前を疑っていた。なにか仕出かすんじゃないかと」

「あ、うん」

 なるほど。

 俺は疑われていたのか。

 まあ疑われて当然だよな。

 いきなり態度変わったんだから、そりゃあ怪しいと思うだろうね。

「風紀委員に入ってきたときも追い出してやろうと思っていた」

 うん、わかるよ。

 まあ結局ジャンが追い出されたんだけど。

 ……これだと俺が追い出したみたいになるな。

 勝手にジャンが出ていっただけだ。

「一ヶ月間ずっとお前の行動を見てきた」

 え、なにそれ怖い。

 もしかしてジャンってストーカーだった?

「それでわかった。お前は悪くない」

 ふむふむ。

 なるほどな。

 俺をストーカーした結果、俺が悪くないことがわかった、と。

「え、どういうこと?」

 なんだよ、お前は悪くないって。

 何が悪くないんだよ。

 抽象的過ぎて、全然伝わってこんぞ。

 報連相は具体的にしろって、会社で教わらんかったのか?

 いや会社は行ってないか……。

 それとジャン、お前は相変わらず上から目線だな。

「お前は風紀委員でしっかりと働いている」

 働かされてるの間違いじゃない?

 あと、なんでさっきから上から目線なんだ?

 いや別に気にしてないけどさ。

 お前が辞めたせいで、こっちは大変だったんだからな?

 ぜんぜん気にしてないけど!

「俺はアランを誤解していたかもしれない。傲慢で自分勝手なやつだと」

 ……うん。

 それは誤解ではないと思うよ?

 実際、昔のアランは傲慢なやつだったし。

「アラン、これだけは言わせてくれ」

 ジャンが改まって俺を見てきた。

 なんだ、なんだ?

 そんな神妙な顔されると緊張するじゃねーか。

 わざわざ公園まで呼び出しといて……さてはお前告白だな?

「今まで本当にすまなかった」

 ジャンが頭を下げてきた。

 いや待て。

 こいつは何をしている?

 なぜ頭を下げているんだ?

 俺につむじを見せようってのか?

「えっと、どうした? 頭でも打った? 病院行く?」

 ジャンが顔をあげる。

「頭は打っていない。病院も行かない。お前のことを馬鹿にして悪かった」

 いやほんと、どうしたんだよ。

 お前はジャンなのか?

 人なんてそんな簡単に変わるもんじゃねぇ、とか俺に言ってなかった?

 は!?

 もしかしてこいつ、俺と同じか?

「一つ聞いてもいいか?」

「なんだ?」

「転生とかしてない?」

「は? なに言ってるんだ?」

 あれ?

 転生じゃない?

 じゃあ、なんなんだ?

「お前……もしかしてジャンなのか?」

「もしかしても何も……他の奴に見えるか?」

 え、まじか。

 転生じゃないのか。

 つまり本物のジャンってこと?

 だったら、こいつすげぇな。

 嫌っていた相手に頭を下げるなんて、なかなかできることじゃない。

 なんか急にジャンが良いやつに見えてきた。

 お前は悪くないぞ。

 悪いのは昔のアランだ。

 つまり、俺もお前も悪くない。

 ウィンウィンってやつだ!

 ちょっと使い方間違ってるけどな!

「俺のほうこそ、ごめん。ジャンに嫌われるのも当然だった思う」

 まあ過去の俺が悪いのであって、俺は悪くないんだけどな。

 だけど俺が代わりに謝っといてやるよ。

 にしても俺って単純かもな……。

 ちょっと謝られただけで、すぐにジャンをいいヤツだなんて思ってしまう。

 てか、仲直りできたんだし、こいつ風紀委員戻ってくるんじゃ……。

「風紀委員に戻ってくるつもりはないのか?」

「それはダメだ。一度自分で決めたことだ。魔法使いに二言はない」

 それ言うなら、男に二言はない、だろ。

 お前は侍かよ。

 いや魔法使いか。

 微妙に言葉変えてくるの辞めて欲しい。

 真面目な話してるのに、笑っちまうだろうが。

「そっか……。ジャンが戻ってきてくれれば、だいぶ楽になるんだけどな」

 まあテトラが風紀委員に入ってくれたおかげで、少しは楽になったんだけど。

 あの子、意外と風紀委員に向いてる。

 テトラが一睨みするだけで、大抵の生徒は萎縮する。

 本人いわく、睨んでるんじゃなくて見ているだけらしいが。

 無表情でじーっと見られるのは、怖いんだよ。

「迷惑をかけていることはわかっている。しかし……」

「まあ大丈夫。気が向いたら戻ってくればいいよ」

 だから早めに気が向いてね?

 なんなら今すぐに気が変わって、戻ってきてもいいから。

「恩に着る。それとアラン。こんなことを頼むのは申し訳ないんだが……」

 申し訳ないなら頼まなくてもいいよ。

「俺を鍛えてくれないか?」

「は?」

 いやどういうこと?

「なんで俺が?」

「俺はアランに完敗した。その上、お前とサイモン先生との模擬戦を見て、自分の力不足を痛感した」

 模擬戦かぁ。

 あのときはみんな驚いてたよなー。

 そういえばサイモンはまだ見つかっていないらしい。

 生徒たちには「サイモン先生は諸事情により退職した」と伝えられている。

 事件のことが知られると、混乱を招きかねないからだ。

 ただでさえミーアの事件で不安が広がっており、これ以上不安にさせたくない、というのが学園の考えらしい。

 だが、おそらくそれは建前だ。

 実際はサイモンの問題が発覚すると、それを雇った学園側の責任にもなってしまうからだろう。

 つまり問題の隠蔽だ。

 どこの国でもやることは一緒だな。

 と、それはさておき。

 なんで俺がジャンを鍛えるの?

 やっぱり意味がわからない。

「他の人はいないのか?」

「アラン以上の実力者なんてそうそういない」

「オリヴィアさんは?」

「合わせる顔がない」

 なるほど。

 オリヴィアに啖呵を切ってたもんな。

 まあオリヴィアはそんなこと気にしないんだろうけど。

「それにアランは火属性の魔法が得意だろ?」

発火イグニッションのことか? でも俺のはちょっと特殊だぞ?」

「大丈夫だ」

 何が大丈夫なのかわからんけど……まあいいや。

「対抗戦のためなんだよな?」

「ああ。俺も新人戦の候補者に挙げられている。対抗戦で結果を残して、自分の価値を証明したい」

 価値を証明したいか……。

 ジャンにはジャンなりの悩みがあるんだろうな。

 そういえば、クラリスも新人戦に選ばれたって言ってたな。

 もしかしてこいつ、クラリスのために頑張ろうってことか?

 ふふ~ん、な~るほどね~。

 そりゃあもう応援するしかないだろ。

「何をニヤニヤしてる?」

「いやなんでもない。ジャンのために一肌脱いであげよう」

「本当か?」

「ああ。まあ俺がやれることなんてたかが知れてるが、それでも大丈夫か?」

「問題ない。ありがとう」

「じゃあ対抗戦まで二週間ちょいだけどよろしくな」

「よろしく頼む」

 ジャンが右手を出してきた。

 うむ、くるしゅうない。

 俺はジャンの手を握り返す。

 てか、ノリで引き受けたけど大丈夫かな?

 俺、人に教えるの苦手なんだよね。

 それに自分が誰かに教えられるレベルだとは思っていない。

 ミーアにでも丸投げしようかな?

 いや、さすがにそれはダメか。

 ジャンは魔族のこと毛嫌いしてるし。

 まあ引き受けたからには、ちゃんとやろう。
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