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2章 悪役令息、領地を改革する
悪役令息、領土の一部を貰う
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-side ジークハルト-
「ジークハルト」
「なんですか?父上?」
「国王陛下からお前へ勅令だ。ロンバルに行け。なんでもお前に領地経営を任せたいらしい。エンシェントドラゴンに精霊を従えたからその報酬だそうだ。俺もお前の領地経営には興味あるからな。楽しみにしている。ガハハハハ!」
「は、はあ……?」
パーティが終わってから数日後、いきなり父上ーーポチ=デズモンドに呼び出されたかと思えば、悪役すぎる豪快なガハハ笑いで、領地経営を押し付けられた。しかも押し付けられたのは辺境のど田舎。まあ、転移魔法で一瞬で行けるし、学園に通いながらも管理する事は充分可能か。古代竜であるズンドラゴンや精霊さんのローラもいるから移動や監視はなんとかなるだろう。それはそれとして、もうちょっと、上品に笑えないのだろうかこの親父。
問題はこの人が何を考えているかだ。ウィリアムがこの人のモーニングルーティンの調査中だが一向に尻尾を出していない。極めてほのぼのとした生活を送っているみたいだ。
笑ってるし、ぶっちゃけ何にも考えてなさそうではある。
でも、なんか裏がありそうなんだよなー……。
『なんも考えてないのです。真偽の目は発動していないのです』
ローラが教えてくれる。真偽の目は反応していない。
すなわち悪意もない上に本当だという事。
というか精霊さんのその機能めちゃくちゃ便利だな。やっぱり精霊と契約しといて良かった。こんなメリットがあるなんて。破滅回避に一歩近づけたような気がする。
『やっぱり、ウチの事道具だとしか思ってないのです?』
「ソ、ソンナコトナイヨ…」
『真偽の目が発動しているのです!』
「へ!?」
『冗談なのです』
焦った~。流石の俺様でも精霊さんを道具だと思うことはない。
大事な仲間だ。
『そういう仲間を思いやる心を持っているのが分かっているから契約したのです』
嬉しい事を言ってくれる。これからもお互いを信頼しあっていきたいところだ。
そんなこんなで、俺たちはその場から去ったのだった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「それにしても、こんな領地をもらったところで特になにもないな」
『行ったことあるけど、ど田舎なのです』
「ど直球だな」
もうちょっとオブラートに包もうか。聞けば、ロンバルという土地は黒字ギリギリの田舎らしい。
商業都市1つ、町が3個、村が20個住民も穏やかで、平和。結構頻繁に強い魔物が出るらしいが、冒険者ギルドが何箇所かあるため、倒せないほどではないみたいだ。俺は別に野心とかはないから、その土地をよくしたいとか、特にその土地を使ってやりたい事とかはない。
「我が広々と自由に飛び回れる土地だったらいいのだー!」
『王都よりも自然が豊かな土地だったらいいのです!』
「おっ!そうだな」
確かに、ズンドラゴンやローラにとってはロンバルの方が良いのかもしれない。
なんせ、王都でのこの子達はほとんど人前に姿を見せずに、隠蔽の魔法で透明化している。
田舎で人目につかずにのびのびと暮らしたいという欲はあるだろう。
国王陛下もそのために配慮してくださったのかもしれない。
そう考えると、領地を豊かにして存続させる必要があるのかもしれない。
これは領民のためではない。領地を豊かにするのはあくまで自分の仲間達のためだ。
『ふわわわわ!幸せパワーが溢れてくるのです?』
「……?」
「主人なんか徳積んだのか?」
「え!?いや、別に」
『確実に徳積んでるのです!精霊は主人が徳を積んでいると神々に認められると、幸せパワーでレベルアップできるようになるのです!』
「なんだそのシステム!というか本当に徳なんて積んでねーし!」
「どうせ主人のことだから、領民のことを思って色々な政策を思い浮かべているのだ。それが神々に認められたのだー」
「はあああ?べ、別にそんな大層な事やろうと思ってねーし。自分の為だし」
『素直じゃないのです!完全に真偽の目が発動しているのです!』
「はいダウト、また嘘だろ?」
『嘘じゃないのです!本当に真偽の目が発動しているのです!』
「はあああ?絶対そんな事ないだろ!?」
『嘘じゃないです!精霊の判断は絶対なのです!』
『いい加減認めるのだー。悪ぶっても主人の人の良さは隠しきれないのだー』
「悪ぶってねーし。というか!なんだその生暖かい目は!子供扱いするなー!」
この世界、素直じゃない奴に厳しすぎるだろう。ちょっと。
神様とか精霊とかが判断?そんなのそっちの方が正しいに決まってるじゃねえか!?
俺様認めねえけど。顔が熱い。そんな事を考えながらズンドラゴンに乗って王都を出発するのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「ジークハルト」
「なんですか?父上?」
「国王陛下からお前へ勅令だ。ロンバルに行け。なんでもお前に領地経営を任せたいらしい。エンシェントドラゴンに精霊を従えたからその報酬だそうだ。俺もお前の領地経営には興味あるからな。楽しみにしている。ガハハハハ!」
「は、はあ……?」
パーティが終わってから数日後、いきなり父上ーーポチ=デズモンドに呼び出されたかと思えば、悪役すぎる豪快なガハハ笑いで、領地経営を押し付けられた。しかも押し付けられたのは辺境のど田舎。まあ、転移魔法で一瞬で行けるし、学園に通いながらも管理する事は充分可能か。古代竜であるズンドラゴンや精霊さんのローラもいるから移動や監視はなんとかなるだろう。それはそれとして、もうちょっと、上品に笑えないのだろうかこの親父。
問題はこの人が何を考えているかだ。ウィリアムがこの人のモーニングルーティンの調査中だが一向に尻尾を出していない。極めてほのぼのとした生活を送っているみたいだ。
笑ってるし、ぶっちゃけ何にも考えてなさそうではある。
でも、なんか裏がありそうなんだよなー……。
『なんも考えてないのです。真偽の目は発動していないのです』
ローラが教えてくれる。真偽の目は反応していない。
すなわち悪意もない上に本当だという事。
というか精霊さんのその機能めちゃくちゃ便利だな。やっぱり精霊と契約しといて良かった。こんなメリットがあるなんて。破滅回避に一歩近づけたような気がする。
『やっぱり、ウチの事道具だとしか思ってないのです?』
「ソ、ソンナコトナイヨ…」
『真偽の目が発動しているのです!』
「へ!?」
『冗談なのです』
焦った~。流石の俺様でも精霊さんを道具だと思うことはない。
大事な仲間だ。
『そういう仲間を思いやる心を持っているのが分かっているから契約したのです』
嬉しい事を言ってくれる。これからもお互いを信頼しあっていきたいところだ。
そんなこんなで、俺たちはその場から去ったのだった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「それにしても、こんな領地をもらったところで特になにもないな」
『行ったことあるけど、ど田舎なのです』
「ど直球だな」
もうちょっとオブラートに包もうか。聞けば、ロンバルという土地は黒字ギリギリの田舎らしい。
商業都市1つ、町が3個、村が20個住民も穏やかで、平和。結構頻繁に強い魔物が出るらしいが、冒険者ギルドが何箇所かあるため、倒せないほどではないみたいだ。俺は別に野心とかはないから、その土地をよくしたいとか、特にその土地を使ってやりたい事とかはない。
「我が広々と自由に飛び回れる土地だったらいいのだー!」
『王都よりも自然が豊かな土地だったらいいのです!』
「おっ!そうだな」
確かに、ズンドラゴンやローラにとってはロンバルの方が良いのかもしれない。
なんせ、王都でのこの子達はほとんど人前に姿を見せずに、隠蔽の魔法で透明化している。
田舎で人目につかずにのびのびと暮らしたいという欲はあるだろう。
国王陛下もそのために配慮してくださったのかもしれない。
そう考えると、領地を豊かにして存続させる必要があるのかもしれない。
これは領民のためではない。領地を豊かにするのはあくまで自分の仲間達のためだ。
『ふわわわわ!幸せパワーが溢れてくるのです?』
「……?」
「主人なんか徳積んだのか?」
「え!?いや、別に」
『確実に徳積んでるのです!精霊は主人が徳を積んでいると神々に認められると、幸せパワーでレベルアップできるようになるのです!』
「なんだそのシステム!というか本当に徳なんて積んでねーし!」
「どうせ主人のことだから、領民のことを思って色々な政策を思い浮かべているのだ。それが神々に認められたのだー」
「はあああ?べ、別にそんな大層な事やろうと思ってねーし。自分の為だし」
『素直じゃないのです!完全に真偽の目が発動しているのです!』
「はいダウト、また嘘だろ?」
『嘘じゃないのです!本当に真偽の目が発動しているのです!』
「はあああ?絶対そんな事ないだろ!?」
『嘘じゃないです!精霊の判断は絶対なのです!』
『いい加減認めるのだー。悪ぶっても主人の人の良さは隠しきれないのだー』
「悪ぶってねーし。というか!なんだその生暖かい目は!子供扱いするなー!」
この世界、素直じゃない奴に厳しすぎるだろう。ちょっと。
神様とか精霊とかが判断?そんなのそっちの方が正しいに決まってるじゃねえか!?
俺様認めねえけど。顔が熱い。そんな事を考えながらズンドラゴンに乗って王都を出発するのだった。
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